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北海道の中央部には、ひげのように伸びた枝線がいくつもあった。炭鉱へと伸びる線路である。なかでも万字線は、ずばり「炭山」とついた駅が終着駅であり、石炭輸送のための路線であることをはっきりと示していた。そして、石炭産業の斜陽とともに消えていった。
筆者が訪れたのは、夏の日の夜であった。岩見沢駅前のスワン食堂で、カツどん汁付250円を食べ、18時42分発の937Dに乗った。先を急ぐ乗りつぶしのために真っ暗になってこの駅に着いた。ホームから駅舎まで100mは離れている不思議な駅だった。駅舎や駅名票の写真は残っていない。入場券を買い求めると、最低区間の乗車券といっしょになった切符だった。19時30分の終列車で戻ったがガラガラの3両で、万字炭山から乗ったのは筆者だけだった。
万字炭山駅がどんな駅だったのか、ヤードは広かったのか、記憶がない。いまではたった1枚のこの切符が、万字線の想い出である。
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