廃線前を訪ねて


かつて北海道の大地を駆け巡っていた、今は廃線となった国鉄ローカル線のありし日の姿。

©北川宣浩 2000
夕張線

 

廃線前を訪ねて

万字線


線名:万字線(まんじ・せん)
区間:志文(しぶん)-万字炭山(まんじたんざん) 23.8Km
全駅:志文-上志文-朝日-美流渡-万字-万字炭山
開業:1914年11月11日 志文-万字炭山
全通:1914年11月11日
廃止:1985年04月01日
訪問:1974年08月05日

万字炭山駅入場券

北海道の中央部には、ひげのように伸びた枝線がいくつもあった。炭鉱へと伸びる線路である。なかでも万字線は、ずばり「炭山」とついた駅が終着駅であり、石炭輸送のための路線であることをはっきりと示していた。そして、石炭産業の斜陽とともに消えていった。
筆者が訪れたのは、夏の日の夜であった。岩見沢駅前のスワン食堂で、カツどん汁付250円を食べ、18時42分発の937Dに乗った。先を急ぐ乗りつぶしのために真っ暗になってこの駅に着いた。ホームから駅舎まで100mは離れている不思議な駅だった。駅舎や駅名票の写真は残っていない。入場券を買い求めると、最低区間の乗車券といっしょになった切符だった。19時30分の終列車で戻ったがガラガラの3両で、万字炭山から乗ったのは筆者だけだった。
万字炭山駅がどんな駅だったのか、ヤードは広かったのか、記憶がない。いまではたった1枚のこの切符が、万字線の想い出である。

万字線--空中写真--1976年


国鉄万字線全駅の空中写真である。
国土交通省の地図・空中写真閲覧サービスは、国土地理院がこれまで整備した地図や航空カメラで地表面を撮影した空中写真、公共測量で整備した地図を検索して閲覧することができる。都市計画図、都市計画基図、航空写真、旧版地図、昔の地図、迅速図、迅速測図原図などが自分のパソコンで見られるのは素晴らしい。
昭和末期の写真には今や廃線となった国鉄路線が伸びている写真があり、目を奪われる。このうち駅部分を拡大してご覧いただく。なお、写真によって拡大率は異なる。

志文しぶん

万字線は岩見沢駅が始発だったが、1駅区間だけ室蘭本線と共用し(線路戸籍は室蘭本線)、その分岐駅が志文だった。広い田園地帯をレールがのびのびと南から東へと曲がっている。

志文駅

上志文かみしぶん

小さな駅。

上志文駅

朝日あさひ

市街地からやや離れた場所に建つ。駅は写真の右側にある。炭住が並んでいる。

朝日駅

美流渡みると

そこそこ広い集落だ。待避線もあって、貨車が停まっている。

美流渡駅

万字まんじ

2両編成のディーゼル車がちょうど停まっている。

万字駅

万字炭山まんじたんざん

炭鉱の終着駅。駅から坂道を下ると集落に出る。
夜中に着いて駅舎とホームが離れていた記憶があるが、空からみるとやはりそうだった。貨車が数珠(じゅず)のように連なっている。

万字炭山駅

 

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