かつて北海道の大地を駆け巡っていた、今は廃線となった国鉄ローカル線のありし日の姿。
線名:日高本線(ひだか・ほんせん)
区間:苫小牧(とまこまい)-様似(さまに) 146.5Km
全駅:[廃止される区間のみ]鵡川-汐見-富川-日高門別-富郷-清畠-厚賀-大狩部-節婦-新冠-静内-東静内-春立-日高東別-日高三石-蓬栄-本桐-荻伏-絵笛-浦河-東町-日高幌別-鵜苫-西様似-様似
開業:1913年10月01日 苫小牧-佐瑠太
全通:1937年08月10日 苫小牧-様似
廃止:2021年04月01日 鵡川-様似
訪問:1974年08月03日
最初に乗ったのは大学自転車部で広尾から襟裳岬を走り、様似駅で自転車を分解して輪行にして苫小牧へと向かった時で、DISCOVER⇒JAPANスタンプ帳は昭和49年(1974)8月3日の日付がある。駅のスタンプや郵便局の旅行貯金にはながらく夢中になっていた。
1986年夏、両親と3人で北海道一周旅行をした。日高本線に乗って様似駅に行き、駅前からバスに乗って襟裳岬を訪ねた。そして広尾線に乗り継いで帯広に出た。もう細部は覚えていないのだが、おそらく最初で最後の両親との3人旅ではなかったか。
●2日目:1986年9月14日日曜日札幌7:20(急行えりも2号)10:06静内10:25(837D)12:19様似12:30(国鉄バス)13:38えりも岬14:38(国鉄バス)15:42広尾16:40(830D)18:48帯広
2017年6月、JR北海道が「単独で維持困難な線区」と掲げた線区は、まもなく廃線になるだろうからと、お別れ乗車してきた。
帯広駅前からバスで広尾バスターミナル(元広尾線広尾駅)に出て、襟裳岬をほぼ乗客のいないバスで訪れ、さらにバスを乗り継いで、様似駅に出た。様似駅は鉄道は長期運休中だが観光の拠点になっているので、それなりに人がいた。駅前の旅館に一泊して、翌朝の列車代行バスで鵡川まで出る。日高本線は、苫小牧と様似を結ぶ全長146.5kmの路線だが、その約8割にあたる鵡川~様似間は、2015年の高波による路盤流出など大きな被害が出て、長期運休となっている。その様子は代行バスからも見られた。
日高門別駅は門別町の玄関口にあたるが、まったく人がいなく、レールは錆びている。
運航を再開させるにはレールを直すだけでなく、今後の高潮被害を避けるために護岸も必要で、莫大な経費が掛かり、それを上回る収入は期待できないのでJR北海道はいろんな理由を付けて廃線に持ち込もうとしている。しかし沿線の7町はそれぞれの思惑が違い、なかなか廃止決定に持ち込めていない。
さらに、廃止にならなそうな苫小牧~鵡川間は、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震で被災し運休となっていたが、11月19日に運転を再開した。
JR北海道は踏んだり蹴ったりだが、踏切の遮断棒を取り外したりして、だんだんと廃線に持ち込もうとしている。
2019年4月、Googleマップがリニューアルした時に、日高本線は鵡川で途絶えていた(写真左)。
ある意味正しかったが、すぐにクレームが来たのだろう、ほどなくしたら様似まで伸びていた(写真右)。
水害で流された路盤は復旧には莫大な費用が掛かり、さらに毎年のメンテナンスにも費用が掛かり、とてもJR北海道は負担しきれないと泣きが入った。しかし地元も負担できる金はない。道も国も手を貸すわけがなく、結局復旧されないまま、2021年の新型コロナウィルス禍の中で、鵡川~様似間は息を引き取った。
苫小牧~鵡川間の、わずか30.5kmのミニ本線になった。