廃線前を訪ねて


かつて北海道の大地を駆け巡っていた、今は廃線となった国鉄ローカル線のありし日の姿。

©北川宣浩 2000
白糠線

 

廃線前を訪ねて

標津線


線名:標津線(しべつ・せん)
区間:標茶(しべちゃ)-根室標津(ねむろしべつ) 69.4Km
   中標津(なかしべつ)-厚床(あっとこ)  47.5km
全駅:標茶-(多和)-泉川-光進-西春別-上春別-計根別-(開栄)-当幌-中標津-上武佐-川北-根室標津
   中標津-協和-春別-平糸-別海-奥行臼-厚床
(  )の駅は、仮乗降場。
開業:1933年12月01日 厚床-西別(別海駅の旧称)
全通:1937年10月30日
廃止:1989年04月30日
訪問:1981年05月03日

標茶駅
標茶駅前は現在は舗装されている。1981年
上春別駅
上春別駅
開栄仮乗降場
開栄仮乗降場
上武佐駅
上武佐駅。高倉健主演「遙かなる山の呼び声」に登場した。
根室標津駅
どんづまりの終着駅、根室標津
根室標津駅入場券
根室標津駅スタンプ

標津線は、どこまでもどこまでも広大な根釧原野を走るローカル線だった。路線は変則で、標茶-根室標津間の中標津駅でもう1線が分岐し、厚床まで向かっていた。地図で見るとギリシャ文字のλ(ラムダ)を鏡像にしたような路線だった。
特に中標津-厚床間は、真っ青な空の下、緑色の牧草に覆われた大地に点在する白と黒の牛たち。そこを走る1両だけの赤い国鉄気動車。この色のコントラストは、誰が見ても絵になる風景だった。
標茶駅に行くには釧路駅から釧網本線(せんもうほんせん)に乗るが、車窓から見え隠れする釧路湿原はアマゾンのようで(行ったことはないが)、この部分と合わせて、日本で最も美しい路線ではなかったか。
かつて、仕事で大変お世話になっている北沢さんが北海道出身と聞き、「北海道はどちらですか?」と聞き返すと「根室の方です」と曖昧に答えたので「別海ですか?」と言うと、(何で知っているんだと)びっくりしたように「そうです、そうです」と頷かれた。別海町は何度も訪れて、そのつど感動していたのだ。
その後、父上が牧場を経営していたことや、少年時代にこのあたりを自転車で走り回った話を聞き、心底うらやましく思った。
北沢さんが2000年夏に帰省された際、このコンテンツの影響で「廃線跡」の写真を撮ってきてくださった。まったく鉄路の痕跡のない、地元民でもかつての鉄道の存在がわからないほど、変わり果てていた。

川北駅 中標津駅
奥行臼駅
駅舎前に駅員がいるのがわかりますか?
厚床駅
奥行臼駅
1986年に両親とクルマで訪れたとき。
奥行臼駅
奥行臼駅頭で、母と。

 

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