4■実践篇

これがクイズ番組の実態だ。

ここまで知っていれば、怖くない

100万円・クイズハンター

三枝の国盗りゲーム

世界一周・双六ゲーム

パネルクイズアタック25

クイズタイムショック

アップダウンクイズ

クイズ・100人に聞きました

アメリカ横断ウルトラクイズ




アメリカ横断ウルトラクイズ
−−−−知力・体力・時の運。みんなニューヨークに行きたいかー。オー!。



■東名開通がヒントに
 アメリカ横断ウルトラクイズの人気はあいかわらず凄いようです。特に中高校生は熱心に見ているようで、番組や出場者宛にファンレターも数多く来るそうです。
 さて、この超ユニークなクイズ番組は、そもそもどのようにして生まれたのでしょうか。
 放送レポート誌によると、この企画はなんと東名高速道路開通がヒントだったそうです。それまでクイズはスタジオでするものでしたが、おのずと限界があり、外に出てやるおもしろいクイズ番組の登場が待ち望まれていたのです。そこで挑戦者をクルマに乗せて、各インターチェンジでクイズをやりながら先へ先へと行く。負けた人はそこで降りてもらう。静岡なら森の石松の恰好をした男がでてきてクイズを出し、浜松だったらウナギ、名古屋だったらウイロウやシャチホコの問題といったように、行った土地の観光案内を兼ねるクイズ番組を作ろうと。
 この東名高速クイズは結局実現しませんでしたが、76年、アメリカ建国二百年記念の年の始め、これにちなんだ企画を練っていた矢先、かつての東名高速クイズが再び浮かんできたのです。
 東名をアメリカにすることによって、現在のものとほぼ同じスタイルの企画ができました。すなわち、羽田に向かうバスの中で何人かが落ち、飛行機の中でも落とす。そしてハワイ、ニューヨークと渡り、7月4日のアメリカ建国二百年記念日にワシントンのホワイトハウスの前で決勝戦をする。この模様は衛星生中継でやる。しかし、7月4日決勝では準備期間があまりになく、結局この年は見送り、翌77年に実現となりました。
 また、このころパンナムが世界一周便を就航させました。これを使ったクイズにするつもりだった、という話も聞いたことがあります。挑戦者をこの世界一周便に乗せ、立ち寄った土地では1泊。しかし休むヒマもなくクイズを開始。寝ていようが風呂に入っていようがマイクを突き出し、クイズをする。できなかったものはおいてきぼり。できた者のみ次の世界一周便で次の土地へ行く……。第8回のサイパン・ココス島での深夜のクイズを見た時、この企画が活きたのかな、と思いました。

■いくつもの問題点を乗り越えて
 さて、1年間の準備期間を置いたウルトラクイズですが、実現までにはいくつもの問題点がありました。第一に、賞金も賞品もないクイズに人が集まるだろうか、仮に集まったとしても、落とされた人が暴動を起こさないかという不安。暴動対策は真剣に協議されたそうです。次に2〜3週間ものロケに必要な長期の休暇を、学生以外の人がとれるのだろうかという疑問。第三は罰ゲームなどのジョークを日本人に理解されるだろうかということ。第四は30人にもおよぶ制作スタッフをどうやって揃えるかということ。第五は、航空会社の協力が果たして得られるかということなどなどでした。
 スタッフはプロデューサー曰く「現在日本で考えられる最高のスタッフ」が揃いました。ロケ地である観光名所・遊園地は、一般観光客に対する細かい配慮をした上で撮影許可が降りるので、保証金が必要な所も多くありました。しかもロケ地は、周辺状況、日照、交通の便、ホテルからの距離、電源の有無、雨天時の避難場所などをすべて調べた上で決定しなければなりませんでした。また、旅客機の国際線は搭乗2時間前までにチェックインが必要ですが、直前までジャンケンやらなにやらの予選をしているため、その時間内のチェックインは無理。離陸ギリギリまで遅れることを航空会社や旅行代理店が認めてくれるか。航空券やホテルの予約をするにも、いつ誰が落ちるかわからないので、どういう名前で予約を入れるか。さらに、一般の乗客がいる機内で撮影もするが、食事のサービスや乗務員の仕事の合間をぬって撮影が可能かどうか。クイズに使う小道具や撮影機材などは百個以上にもなるが、それらを壊さずに各地を転々とできるか……。通常のクイズやロケではとても考えられない多くの難問を一つ一つ解決していき、77年10月、第1回アメリカ横断ウルトラクイズは放送されるに至ったのです。
 一方、視聴者側からみても、当時ウルトラクイズを知る人は当然ありませんでしたが、それでも新聞告知などで聞きつけた約四百人が後楽園に集合。いまでこそグラウンドを大勢が走りまわる○×クイズも、こじんまりと観客席に座って行われました。そこを通過した80人が羽田空港でジャンケンをし、グァムへ。さらにアメリカ各地でクイズや罰ゲームを繰り広げ、ニューヨークで決勝、そしてラスベガスの土地が優勝賞品という結末。このスケールの大きさには多くの人々がビックリし、かつ感動しました。

■若者の熱狂的な支持を得て
 ウルトラクイズは回を重ねるごとに過熱していますが、特に若い人達はウルトラクイズ参加を真剣に考えているようです。各地でウルトラクイズ研究会が生まれ、ぼくのもとにも「ウルトラクイズに優勝するためなら2浪も辞さない」「まだ中学生だが、自分が出れるようになるまでウルトラクイズを続けて欲しい」などといった手紙が来るほどです。あるいは「一緒に後楽園を走ってください」という依頼も。これらの若い人達の熱狂的な支持はウルトラクイズが単純なクイズ番組ではなく、人生までもを考えさせてくれる、いわば人間ドラマであるからこそでしょう。
 そこで、考えられる限りのウルトラクイズ対抗法を紹介して、ウルトラクイズに青春をかけている若い人達の参考にしていただきたいと思います。

■応募は18歳から
 ウルトラクイズに応募するにはまず120円切手を同封した封書で申し込みます。すると応募規定と、誓約書を兼ねた申し込み用紙が送られてきますので、必要事項を記入し、パスポートのコピーも貼りつけて返送します。それが審査に通ったら整理番号の入ったハガキが送られてくるのです。
 だからパスポートを取得していないとウルトラクイズには参加できません。パスポートは各都道府県の旅券課に申請します。このとき渡航能力を証明するものとして「旅行代理店の旅行引き受け書、航空券、会社の海外出張命令書」などを提示しなければなりませんが、普通の学生さんはどれも無理です。こんなときは往復の航空運賃と現地での滞在費くらいの金額のある「預金残高証明書」がこれに代わります。「金がねー」学生さんは誰かから金を借りて残高を一時的にアップするか、パスポート取得を諦めるかのどっちかですな。必然的にアメリカのビザも必要ですから、一緒に取っておきましょう。
 応募規定はかなり厳しく、まず18歳から45歳までの心身ともに健康な男女。18歳でも高校生は不可。「心身」の「心」のほうが怪しいからおまえは出場できない、なんて冗談を毎年仲間うちで言ってますが。それはともかくテレビで見るより実際はハードですので、身体の弱い人、乗物に弱い人、妊娠中の人などは遠慮したほうが無難です。テレビには映しませんでしたが、身体を壊して車椅子でクイズ会場に向かった挑戦者もいるくらいなので、各自の責任で注意しましょう。本土に渡ってからは1人ずつ落ちていきますが、ニューヨーク直前では4人の中から2人が落ちてちょうど2人がニューヨークに行きます。これは誰かがリタイアしても録画が続けられるように1人余計に連れていっているのだと思います。

■後楽園が最大の難関
 ウルトラクイズで二度以上海外脱出に成功した者は、いままでに極めて少ない事実があります。それは1問でも間違えたらすべてがダメになる、○×クイズの予選が最初に最難関として控えているからです。この後楽園の○×クイズをどうクリアするかで、勝負の半分はつくといって過言ではありません。そこで後楽園では3人寄れば文殊の知恵とばかり、グループでクイズに立ち向かっている人達をよくみかけます。
 後楽園ではまずゲートで問題が出されます。そのため、前日に下見に行くクイズマニアもいるそうですが、ゲートの問題ボードは予選当日の朝取り付けられますので、下見をしてこっそり問題を見ようと思ってもムダです。ボードには布が張ってあって、福留アナが演説するまでその布は張られたままで問題は読めません。でも隙をみて、こっそり覗いてしまった人はいるそうです。また、後楽園で徹夜をする人もいますが、地方から出てきて宿もない、という学生さん以外は遠慮したほうが無難です。疲れるだけで、なんの得にもなりません。
 問題のボードを当日朝までどこに隠しているのか考えた人もいます。後楽園の看板などの装飾物は、球場裏にある「シミズ舞台工芸」という会社が引き受けていることが多いので、そこかもしれない、と推理したそうですが、果たしてそこに当日まで問題ボードを置いているかは、さだかでありません。その会社が問題ボードを作っているかどうかもわかりません。
 会場整理のアルバイト学生が大勢いますが、1問目の答えだけは彼等に知らされていた、という情報もあります。場内が混乱した場合に備えて、ということだそうですが、もしそれが本当なら友達に会場整理のアルバイトをして貰うといいことが期待できそうです。もっとも、ぼくが受付の子に「答えを知ってる?」と聞いたら、「わたしたちは知らないんです」と言ってましたが。まー、知っていても教えてくれるわけがないけど。
 また、一説によると84年はヨーロッパ横断ウルトラクイズも計画されていたとかで、そうなると問題を非常に多く消費してしまうので、明治・早稲田・法政などのクイズ研究会に問題制作を依頼していたそうです。だからかれらとコンタクトを取ればいいことが期待できそう。

■過去のチャンピオンについて走るな
 さて、ウルトラクイズにはグループ参加の人達が大勢来ます。過去のウルトラクイズで参加した人達はたいてい同窓会を作っていますから同窓会組がいます。そして同窓会組は有名な顔ばかりですので、そのまわりにはグルーピーがつきまといます。一緒に走っておこぼれで予選通過を狙おうという人達です。こういう人達は同窓会組と一緒に必ず落ちます。なぜなら、有名な人で2年続けて後楽園に通った人はまずいないからです。だから、同窓会組について行くことだけはやめたほうがいいです。2年も続けて運がいいわけがないじゃないですか。

■みんなでゲート問題を考える
 ぼくはクイズの友達10名くらいと一緒に参加してます。集合場所は「あるところ」としか言えませんが、あんまり人が来なくて、お茶も飲めて、電話もあるので、いい場所だったのですが、近年、時間ギリギリになると、球場前の電話からあぶれた人達が電話をしに押し掛けてくるようになってしまいました。
 84年の第8回は「自由の女神と上野の西郷さんは同じ方角を向いている」という問題で、仲間の森田君がいちはやくタクシーをとばして上野まで行って西郷さんを視察してくれました。でも上野には同じような挑戦者がいっぱい来ていて、カメラも来ていたそうです(番組をご覧になった方はご存じですね)。
 そこで西郷さんの前に立って、西郷さんと同じ方角をにらんだら「宝ホテル」が見えたことを確認、水道橋まで帰ってきました。同じく仲間の小室君は後楽園までクルマで来ていて、クルマからロードマップを取ってきました。そこで道蔦岳史君や大木一美さん、英語のできる松山弓子君などと一緒に西郷像と宝ホテルの位置関係を一生懸命割り出しました。
 自由の女神が南南東の方角を向いているのは、第6回の1問目で出題されていましたから、ようするに西郷さんがどっちを向いているかがわかればいいのです。ロードマップをよくよく見れば、西郷像も南南東を向いているようなので、○に行くことに決めました。しかし、一部の者は、西郷さんは南東を向いているとして、×へ行きました。最終的な判断は各人の責任で決めているのです。
 また、あとでわかったのですが、西郷像の向きは角川文庫の「雑学おもしろ百科」に出ていました。それから、以前に出題された「自由の女神は裸足である」はKDDの国際電話のパンフレットの表紙写真にバッチリ写っていましたし、「自由の女神は石でできている」はアメリカ発行のガイドブックに「銅製」とありました。意外とどこかに答えが載っているのです。それが見つからないか、見ても記憶に残ってないだけです。
 この他後楽園には無線機を持ってきて近くの友人と交信する者、百科事典一式を担いできた男、過去の○×のデータで答えを出そうとする者などなど、皆さん苦心していました。

■自由の女神を見に行く
 この答えは○で見事正解。わざわざ上野まで行くなんて森田はなんて物好きな、と思われた読者もいらっしゃるでしょう。しかし、ぼくは83年秋に森田と共に、ニューヨークまで行って自由の女神を視察してきたくらいなのです。方向を割り出すのにニューヨークの自由の女神の売店で買ってきた自由の女神のガイドブックも役立ちました。売店には子供向けのやさしい英語で書いてある本から、移民の歴史にまで言及してある、とても読めない本まで10冊くらいあり、全部買い占めてきました。ついでに書くなら81年秋にはパリにも行っており、一人団体コースから離れ、リュクサンブール公園にある自由の女神原像も、セーヌ河にあるアメリカが贈った自由の女神も見てきています。

■電話をかけてもムダだけど
 テレビを見て一番おもしろいのは家族や友人の家に電話をして、答えを調べてもらおうとする挑戦者の姿ではないでしょうか。日曜の早朝ゆえ、電話に出た家族は朦朧としている方が多いようです。しかも、家庭にある百科事典やガイドブックには載ってないようなことがらから出題してありますから、「調べてくれー」と公衆電話で叫んでも10分やそこらで調べられるわけがありません。だから電話をかけてもムダだと思うんだけど、ワラにもすがる思いでかけてるんだろうね。
 余談ですが、後楽園の馬券売場の予想屋のように、ウルトラクイズに予想屋や千円でゲート問題の答えを教える解答屋が出たら怒られるかな。
 それでもどうしても電話をしたい人のために空いている電話の場所ですが、黄色いビル内の電話がアナ。それも1階でなく上の階。それから水道橋駅側の電話。中には近くのホテルにわざわざ泊まって、部屋に資料を置いたり部屋の電話を使う人もいます。但し公衆電話は締め切りが近付くとどこも混んできますのでお早めに。

■自由の女神の電話番号は
 また、直接ニューヨークまで電話をしようと公衆電話に英文科の学生を呼んでかけさせようとした挑戦者もいましたが、緑のカード式公衆電話の説明パネルが金色のものでないと国際電話はかけられません。いまのところその電話は後楽園に設置されていませんので、どうしても国際電話をかけたいのなら、近くのホテルに部屋をとるか、だれかのうちを中継点にしてそこから国際電話するしかないでしょう。でもいったい何番にかけるつもり? 自由の女神の電話番号って知ってるの?。
 そこでズバリ、皆様に成り代わってKDDに聞いたら、212‐732‐1286とのこと(スターチュ・オブ・リバティ・モニュメント)。でも後楽園予選の行われる東京の日曜日朝は、ニューヨークでは土曜日の夜だから多分留守番電話になっていて話はできないでしょう。
 また、この他のゲート問題関係の電話番号は、
  ニューヨーク州州政府商務局    03‐213‐2856
  ニューヨーク港湾局貿易振興事務所 03‐213‐4387
  アメリカ大使館          03‐583‐7141
  アメリカ商務省観光局       03‐212‐2421
  アメリカンセンター        03‐436‐0901
  フランス大使館          03‐473‐0171
  フランス政府観光局        03‐582‐6965
  パンアメリカン航空広報部     03‐240‐8819
  日本交通公社ニューヨーク支店   212‐246‐8030
  日本航空ニューヨーク支店     212‐838‐4400
  日本航空パリ支店         1‐225‐8505
  上野恩賜公園(西郷像)      03‐828‐5644
  忠犬ハチ公維持会(国鉄渋谷駅内) 03‐461‐0604
  奈良東大寺(大仏)        0742‐22‐5511
 などです。予選当日は日曜日ですので、電話がかからないかも。特にパリは時差の都合で真夜中です。また、電話で問い合わせる際にはくれぐれも失礼のないようにすること。
 82年末、ウルトラクイズは史上最大の敗者復活戦を行いました。この日は平日でしかもゲート問題に「決勝戦の行われるパンナムビル屋上から自由の女神が見える」「過去のチャンピオンで敗者復活戦をした人がいる」の2問が出たため、ぼくの会社にまで電話がかかってきたのです。本人が出て「北川はでかけております」と言いましたが。また、パンナム東京支社などにはスタッフから手がまわっており、かけた者は「夕方までその件につきましてはお答えできません」と言われたそうです。でも1問目は第5回のニューヨーク決戦のビデオを見ればすぐわかったし、2問目は以前からのウルトラクイズファンならピンときたでしょう。

■予想問題を作って調査する
 当日慌てて友人に電話をしても確かな答えは得られないから、予想問題を作って事前に調べておきましょう。例えば、
「ニューヨークの自由の女神の展望台は禁煙である」
「ニューヨークの自由の女神の修復委員会の委員長は、クライスラー社のアイアコッカ氏である」
「ニューヨークの自由の女神は実はニューヨークにはない」
「ニューヨークの自由の女神があるリバティー島の面積は後楽園球場の面積より広い」
「ニューヨークの自由の女神の台座には幸せのコインが埋められている」
「ニューヨークの自由の女神の台座には小さな池がある」
「ニューヨークの自由の女神のあるリバティ島には、自由の女神を作った彫刻家バルトルディ自身の像もある」
「自由の女神のあるニューヨークとパリは姉妹都市である」
「奈良の大仏が立ったとしたら、ニューヨークの自由の女神よりも背が高い」
「ニューヨークの自由の女神と奈良の大仏とでは、奈良の大仏のほうが重たい」
「ニューヨークの自由の女神のたいまつを灯す電気代はニューヨーク市が支払っている」
 こんな問題が出たらガイドブックだってお手あげ。それにしてもどうやって調べたらいいのやら……。
 ちなみに第6回のゲート問題、「ニューヨークの自由の女神は贈り主フランスの方角を向いている」は前からぼくらの予想問題としてリストアップされていました。ところがアメリカの広報の仕事をしている会社に問い合わせたら「フランスのほうを向いている」とのお答え。で、○へ行ったら正解は×でした。調査にはフォローが必要。念には念を入れるべきです。なおこの問題の答えは、アメリカで発行しているガイドブックに出ていました。ついでながら、外国発行のガイドブックは丸善や紀伊國屋書店などの洋書店で買えますし、丸の内の日本交通公社(財)観光文化資料館(03‐214‐6051)では各国の観光ガイドブックが自由に閲覧でき便利です(コピーもしてくれます)。

■○か×か。球場は興奮の坩堝に
 いろいろ苦労してゲート問題を考えた末、球場内に入ります。入口は整理番号順に分かれています。ある年、友人が応募開始と同時に日本テレビに応募用紙を持参したらNo1の番号を貰ったことがありました。中には後楽園に何人集まったか目安にするため、締め切りギリギリに申し込む人もいます。そうすると自分の整理番号がラストに近い番号になりますからね。
 入口奥で○なら赤、×なら白のボールをもらい、それぞれのコーナーに行きます。ゲート問題の答えが発表されるまではいくら自信があっても緊張するもの。周りの見ず知らずの参加者とも一体感が生じ、「まーる、まーる」「ばーつ、ばーつ」のコールが自然と出てきます。

■見えた答え
 客席の雰囲気が盛り上がったころ、過去のチャンピオンがオープンカーに乗ってグラウンド中央のお立ち台に向かいます。前回チャンピオンより優勝旗返還。台の上で福留アナと簡単なやりとりがあったあと、「では過去のチャンピオンに○か×か、答えと思うほうに走っていただきましょう」となります。客席では自分たちのほうへチャンピオンが来ると、安心して思わず声をあげてしまいます。
 でもねー、第6回の時なんて福留アナの台本が開いたままで、答えが見えちゃったんだよねー。「ニューヨークの自由の女神はフランスを向いている。答え×」と。
 控え室の雑談では、ぼくと宗田ブッチャーは○へ、真木君は×へ行くつもりでした。でも正解が○でなくて×なんて、最初は信じられなかった。われわれをだますためにわざと台本を開いているのかとも思った。あのお立ち台の上では迷いました。○の席へ入っている仲間を裏切って×へ行くか、それとも○へ行くべきか。しょうがなく真木君と共に×へ走りました。ブッチャーは予定どおり○へ。×が正解でしたが、なんとも後味の悪いもの。出場者なら誰も答えを知りたいと思うでしょうが、本当に答えがわかっちゃうと、何ともイヤなものです。

■ホームランカメラの向く方が正解?
 グラウンド上で行われる○×クイズの対抗法として、スコアボード上にあるホームランカメラの向くほうが正解という説があります。正解者の喜びの表情を撮るために、カメラが向く、という理由です。福留アナの著書「私情最大!アメリカ横断ウルトラクイズ(スポーツライフ社)」には第1回からそれを考慮していたとあるのですが、ぼくらの実感として3〜4回目くらいまでは考慮していなかったのでは? とも思うけど、福留さんはカメラの向きで答えを決めてもだめと言っているので素直に従いましょう。

■最後のほうで負けても成田へ行ける
 成田へ行く100人を選ぶのに、最後の2〜3人が走り廻っているシーンまで放送していますが、そこで負けた人たちだって成田へ行ってます。ビデオで確認すればすぐわかること。
 なぜ敗者が成田へ行けるか。それは正解者の中から辞退する者が出るために、前もって補欠を選んでおくのです。最後の2〜3人は補欠の上位だからまず行けるはず。毎年20人くらいが補欠になり、5人くらいは成田へ行ってるようです。
 後楽園に通過した100人は、後楽園近くの会場で渡航に際してのオリエンテーションを受けます。補欠も別の場所で説明を受けています。ここでは通称勝者弁当と呼ばれる、幕の内弁当を支給されます。勝者でなければ振る舞ってもらえないから、いつしかクイズマニアの間でそう呼ばれるようになりました。
 説明を聞くまでは物見遊山気分でいる挑戦者たち。「観光の時間はありますか」なんて質問も出ますが、あくまで番組撮影のためにアメリカへ行くのだからこれは「仕事」。当然とはいえかなり厳しい制約があるのです。
 観光の時間はまずありません。クイズをするか次の都市に移動するかの毎日です。さらに成田を発ちニューヨークへ行って日本へ帰るまでの約3週間は、会社・学校・家庭その他支障のある関係各所にウルトラクイズ参加の了解を取った旨の誓約書を出さなくてはなりません。この誓約書には、参加後に支障が生じた場合は、日本テレビが被る被害を賠償するようにまでなっています。個人の都合で帰られたり別の土地へ行かれたんじゃ、撮影できませんものね。
 そしてクイズ全問の判定はウルトラクイズ審査委員会が行い、判定決定後の意義申し立ては認められません。だから誤問題が出ても文句を言えるのはその場限り。負けになってあとで俺が正しいと言ってもダメなのです。実際時々誤問題があり、放送ではカットするかナレーションを入れ換えるかしています。
  後楽園から約2週間後の土曜日、一度麹町の日本テレビに集合したのち、バス3台を連ねて成田空港近くのホテル、エアポートレストハウスへと向かいます。

■ウルトラクイズごっこで練習を
 少し横道にそれますが、ご家庭でも遊べるウルトラクイズごっこの話をしましょう。成田へ行く前にクイズごっこで遊んで知力体力をつけておきます。
 ぼくらの仲間に蕨市の大地主がいるので、彼の家の裏庭でバラマキクイズや○×クイズをしてみました。バラマキクイズはあらかじめ幹事役が問題を100問くらい作って封筒に入れます。難しい問題の封筒は裏庭の奥に、簡単なのは手前に捲きました。ビデオカメラも用意し、好都合にも上空を飛行機が飛んできたので、いかにもそれがバラ捲いたように写してからクイズスタート。10人くらいでやったのですが、単純におもしろかった以外に、炎天下で走ってクイズをすると普通ならできる問題にも答えられなくなることがわかりました。呼吸を整えるだけで精一杯なのです。頭もボーッとしてきます。
 次の○×クイズは裏庭の奥に○と×の看板を立て、司会役が問題を出したら自分の思う方へ走るだけ。敗者へのインタビューもしっかりあり「このクイズはキミの人生にとって何だったんだ」「あえておめでとうと言おう」「どうしたー」なととそれらしくやります。でも有名クイズマニアばかりなので、相手の顔色を伺ってしまい、固まって走ってばかりいました。これらのクイズ有名人ばかり参加しているビデオは今見ても傑作です。
 さて、こういうクイズごっこに欠かせないのがBGM。いろいろ捜した結果、
 ウルトラクイズのテーマ曲になっている澄んだトランペットの曲は、メイナード・ファーガソンのLPカンクイスタダーの中のテーマフロムスタートレック(第2回のテーマ曲はこれとは違い、クインシー・ジョーンズのLPバッドガールの中のチャンプチェンジ)。
 後楽園の○×クイズの考える時間に流れる、なんとなくハラハラする曲はジェームス・ラスト・バンドのLPセダクションの中のファンタジー。これには45秒のロングバージョンと30秒のバージョンがあり、いずれも編集してありますので、ダブルカセットで本物らしく作ってください。
 ついでにニューヨーク上空をヘリコプターが飛ぶシーンの曲はバート・レイノルズ主演の映画「グレート・スタントマン」で使われたもの。六本木WAVEの検索コンピュータでサウンドトラック盤を捜したのですが、ありませんでした。でもレンタルビデオがワーナーから出ていますので、これを使ってください。

■成田はジャンケン
 成田での予選方法は毎年いろんな仕掛けをしますが、結局ジャンケンです。バカバカしさと迫力で、ジャンケンを越える方法はないでしょう。アンケートでアミダやクイズになっても、なんらかの形でジャンケンをするようになっています。
 そこでジャンケンの必勝法ですが、まず気合。絶対に勝ってやる。こんな相手はイモだ。そう思い込むのです。次に大声を出す。福留アナが「ジャンケンポン!」と声をかけますが、これと一緒に大声で「ジャンケンポン!」と怒鳴ること。相手を威圧しましょう。相手の目をにらむのもいいでしょう。
 でもアタマも必要です。むしろ頭脳勝負の要素のほうが多いみたい。統計を取ったり、コンピュータを使ったりする人もいます。
 ジャンケンに負けたってまだ悲観することはありません。成田でも敗者復活戦があるのです。テレビでも放送していますが、一部カットされているので、敗者復活戦で生き残る人は実際はもっと多いはず。

■機内クイズは2回にわけて
 成田で勝った約50名は、グァムかサイパンへ飛ぶコンチネンタル航空機へ慌ただしく乗り込みます。前部の席には一般の旅客が座っていますので、便名が判れば予約しておくことだって可能なはず(第8回の時は、成田発11時のコンチネンタル航空500便)。
 水平飛行に移ったらすぐ400問のペーパークイズが行われます。すべて三択で、約5秒に1問のペースで解かなくてはなりません。実際は最初に200問やって問題用紙を一度回収ののち、次の200問をやります。後半の200問にわれわれが取り組んでいる間、スタッフは前半200問の採点をします。短い飛行時間内で効率よく作業をしているのです。機内ペーパークイズの内容については、ウルトラクイズの本にすべて載っていますので、そちらをご覧ください。よく読むと、かなりやさしい問題も出題されています。
 ところで、機内クイズの答えがわからなくても正解できちゃう方法があるのです。第1回から第4回までのウルトラクイズの本をお持ちの方は、三択の答えがどういう順序で並んでいるか調べてください。
 例えば、第4回の最初の40問は、
  1 3 2 2 1 3 3 2 1 1 3 2 2 1 2 3 1 2 3 3 2 1 3 1 1 2 3 3 2 1 1 2 3 2 3 1 2 3 1 3
 の順です。次の41〜80問は、
  1 3 2 2 1 3 3 2 1 1 3 2 2 1 2 3 1 2 3 3 2 1 3 1 1 2 3 3 2 1 1 2 3 2 3 1 2 3 1 3
 どうです。40問ごとに答えのパターンがまったく同じですね。ペーパークイズは問題用紙1ページに20問あります。問題の脇に 1 2 3の解答欄があり、正解と思う位置を、マークセンス方式でマーカーで塗りつぶします。スタッフは正解の部分にだけ穴の開いている下敷きをあてて、そこから顔をのぞかせているマーカーの数だけ数えるのです。その合計が得点です。
 この採点方法はテレビでも映していましたが、それを見て一つの仮説がひらめきました。
「採点する下敷きを何枚も用意していたのではたいへんだ。下敷きの数は少ないのではないか。となると答えの出方には一定のパターンがあるのでは……」
 これを証明すべく、第1回〜第3回のウルトラクイズの本から三択の答えを抜き出してみると、あんのじょう、40問ごとに同じでした。つまり、1ページに20問ずつ問題が載っていますから、奇数ページと偶数ページとが同じ答えパターンなのです。また、後半の201問目からは別のパターンでした。
 だから、たとえ12問目の答えがわからなくても、52問目の答えがわかれば12問目の答えだってわかってしまうのです。うまくいけば全問正解も可能です。我ながら、こういう発見をよくすると感心。
 このパターン方式を、第4回の機内で実際に行うには勇気がいりました。すべての問題に目を通して答えるのではないから−−−。
 まず、配られた問題用紙の各ページにノンブルをふり、奇数ページと偶数ページがはっきりわかるようにして、確実にわかる問題に取り組みました。わからない問題でも、同じ位置だったら同じ番号が正解のはずです。飛行機が揺れて思わぬ番号にマークしてしまったものや、うっかり間違ってしまったものもあり、パーフェクトにはなりませんでしたが、かなりの点を取れた自信はありました。しかしサイパン空港で福留アナは「機内最高360点。9割のでき」と発表しました。実際はもう少し取れていたと思うのですが……。
 但し、今年この方法でやろうと思ってもダメですよ。ぼくがこの方法をしたので、次の第5回からは解答用紙が別紙になり、パターン方式はできなくなりました。

■グァム・ハワイを通り越せ
 グァム、もしくはサイパンではこのところ「ドロンコクイズ」です。実は第5回の時、飛び込み方の悪かった挑戦者が首を打って、ドロの中で動けなくなる事故がありました。これを見ていたプロデューサーが「飛び込み方が悪い。俺が手本を見せてやる」と景気よくドロに飛び込んでみせたのです。そしたらなんと、プロデューサーも飛び込み方が悪くて、ドロに埋もれたまま動かなくなってしまいました。本当なら大爆笑がわくところ。でもスタッフはドロの事故現場を布で隠して、ドロまみれのプロデューサーを引き出し、ドロをぬぐって大慌て。なにしろ現場の最高責任者までが事故ってしまったのだから。現場にいた挑戦者は笑うに笑えなかったけど、本当におかしかったと言っていました。ちなみにこのドロ、ぼくも第4回でお世話になりましたが、染料が入っているようで色がなかなか落ちず苦労しました。ドロまみれのTシャツなどは洗濯するのもアホらしく、捨ててきました。
 グァムのドロンコやハワイの綱引などは、一発勝負型のクイズですから、運が左右します。でもこれらをクリアできる運があったなら、そして今までに何回かクイズの経験があるなら、その後かなりの都市まで行けるはずです。なぜなら運だけで来ている人が多いので、本土に上陸して知識クイズで勝負するようになったら、やっぱり経験者のほうが圧倒的に強いのです。事実、過去のチャンピオンの大部分は、ウルトラクイズ出場前になんらかのクイズ番組で優勝しています。ウルトラクイズは他のクイズ番組のような予選をしていないため、いっそう差が出るのです。ちなみにクイズマニアは、次々クイズに答えて先に進む者をクイズ要員、視聴者を笑わせたり、負けた時に泣いて感動させる者を演出要員と言っています。
 でもスタッフは、知力偏重教育への反抗的な気持ちで番組を作っているそうなので、「一生懸命挑戦したんだけど、力つきて負けてしまった。でもチャレンジすることはなんて素晴らしいんだろう。いい友達にも巡り会えた。日本へ帰ってからもがんばるぞ」こういう演出要員がスタッフから好かれます。スタッフが勝たせたいと思ってる人は不思議と勝ち進むようです。
 なお、本土に行った10数人はもう一度誓約書を書かされます。それはウルトラクイズ放送後3ヵ月は他のクイズ番組に出場しない、クイズや罰ゲームの内容を放送前に人に話さない、など。ここまで管理する権利があるのか疑問ですねぇ。

■罰ゲームこわい?
 よく聞かれるのが「罰ゲームは本当にやっているのですか」という質問。特に年配の方からよく受けます。第5回では敗者の女性にスカイダイビングや闘牛をさせたので、新聞の投書欄に「先日のスカイダイビングは見ていても恐怖で鳥肌が立ったほどです。この罰を与えられたのは、か弱き女性でした。無事帰国との字幕を見てホッとしましたが、あまりショッキングな罰ゲームは考えものと思います(45歳主婦) 」というような抗議が載りました。これに対し日本テレビは「この番組はクイズの決定版をめざすのと同時に、1ヵ月の旅の中でクイズ挑戦者がどう変わっていくかを描くドキュメンタリーで、主役は敗者なのです。主役の真の姿を浮き彫りにするためにも罰ゲームを科しています。罰ゲームはいかなる場合もテレビ画面に見えないところで安全策をとっております。ご安心ください。本人の意志を尊重することは申すまでもありません」と答えています。
 この番組は全体が壮大なシャレになっているのですが、罰ゲームもシャレの一つ。シャレをシャレとして見れなくなる堅い頭になったらダメ。若い人ならテレビがどんなものかよく心得ているから、罰ゲームは本当にやってるかどうかなんてわかりますよね。

■豪華賞品のゆくえは
 罰ゲームと同じくよく聞かれるのが「賞品は本当に貰っているんですか」。テレビを見ている人って、よっぽど猜疑的なんですね。
 いままでの賞品と優勝者は、
第1回 ラスベガスの土地−−−−−−−−松尾清三
第2回 家族とのニューヨーク旅行−−−−北川宣浩
第3回 競走馬−−−−−−−−−−−−宗田利八郎
第4回 組み立て式飛行機−−−−−−−−上田由美
第5回 石油採掘権−−−−−−−−−−−真木法男
第6回 世界一周旅行−−−−−−−−−−高橋直樹
第7回 組み立て式丸太の家−−−−−−−横田 尚
第8回 組み立て式クラシックカー−−−−石橋史行
第9回 (85年9月末に決定。あなたの名前が書き込めるといいですね)
 ウルトラクイズの賞品は他のクイズ番組の現実的な賞品とは違い、大きな夢を与えてくれるもの。テレビを見て雄大な気持ちになればいいのです。それが本当に貰えるかどうかなんて小さなこと。
 そう、ウルトラクイズ最大の賞品は「ウルトラクイズに優勝したこと」なのです。


クイズのメニューに戻る    前に戻る    次に進む