TVクイズまる金必勝マニュアル

名人が教える150のノウハウ

©北川宣浩 1985
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15.番組見学で情報収集


 高木彬光の推理小説「誘拐」に、誘拐を計画している人間が事前に誘拐事件の裁判の傍聴をし、誘拐を勉強する恐ろしいシーンがあります。これを読んでぼくはハタとヒザを打つものがありました。つまりクイズ番組に出る前に、その番組を見学して雰囲気に慣れておけばより良いのではと。
 現在ほとんどの番組には観客がいて、拍手をしたり珍答に笑ったり、声援を送ったりしています。でも司会者が「楽しい番組です。皆さんも遊びに来てください」と言ったのを真に受けて、ふらっと局へ「遊びに」行っても、警備の都合でスタジオに入れてもらえません。なにしろチェッカーズを見に来たのか、クイズを見に来たのかわかんないもんね。

 実はこの観客の多くは「仕込み」とか「手ばたき」と呼ばれるアルバイトの学生やおばさんたちで、専門の派遣会社まであるのです。残りのごくわずかが本当の意味での観客、出場者の付き添いです。だから見学したいのなら、出場者に付いて行くことです。観客はアシスタントディレクターから拍手の練習をさせられます。一度すると必ず「拍手が小さい」と再び拍手をやらされます。でもこれは多重録音をして人数が多いようにしているだけのことです。

 そして出場前にその番組を見学してみると、スタジオの雰囲気や進行の方法がわかるから、自分の本番ではそれほどあがらなくて済むかもしれません。

 見学の利点はほかにもあります。出題したのに誰も答えなかったスルーの問題を、放送ではカットして次の回に再び出題することがよくあるのですが、見学していればバッチリ答えられます。クイズマニアはカット問題までマークしているのです。

 ウルトラクイズでは、実際に出題された問題より放送される問題のほうがはるかに少ないのですが(ウルトラクイズの問題集でも、機内クイズ以外は放送された問題しか載ってない)、あるときクイズに答えながらも問題を一生懸命メモしている出場者がいて、怒られたとか。クイズマニアの問題への執念は恐ろしいものです。

 

 

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