TVクイズまる金必勝マニュアル

名人が教える150のノウハウ

©北川宣浩 1985
クイズビデオ2

アメリカ横断ウルトラクイズ(6)


■見えた答え

 客席の雰囲気が盛り上がったころ、過去のチャンピオンがオープンカーに乗ってグラウンド中央のお立ち台に向かいます。前回チャンピオンより優勝旗返還。台の上で福留アナと簡単なやりとりがあったあと、「では過去のチャンピオンに○か×か、答えと思うほうに走っていただきましょう」となります。客席では自分たちのほうへチャンピオンが来ると、安心して思わず声をあげてしまいます。
 でもねー、第6回の時なんて福留アナの台本が開いたままで、答えが見えちゃったんだよねー。「ニューヨークの自由の女神はフランスを向いている。答え×」と。
 控え室の雑談では、ぼくと宗田ブッチャーは○へ、真木君は×へ行くつもりでした。でも正解が○でなくて×なんて、最初は信じられなかった。われわれをだますためにわざと台本を開いているのかとも思った。あのお立ち台の上では迷いました。○の席へ入っている仲間を裏切って×へ行くか、それとも○へ行くべきか。しょうがなく真木君と共に×へ走りました。ブッチャーは予定どおり○へ。×が正解でしたが、なんとも後味の悪いもの。出場者なら誰も答えを知りたいと思うでしょうが、本当に答えがわかっちゃうと、何ともイヤなものです。

■ホームランカメラの向く方が正解?

 グラウンド上で行われる○×クイズの対抗法として、スコアボード上にあるホームランカメラの向くほうが正解という説があります。正解者の喜びの表情を撮るために、カメラが向く、という理由です。福留アナの著書「私情最大!アメリカ横断ウルトラクイズ(スポーツライフ社)」には第1回からそれを考慮していたとあるのですが、ぼくらの実感として3~4回目くらいまでは考慮していなかったのでは? とも思うけど、福留さんはカメラの向きで答えを決めてもだめと言っているので素直に従いましょう。

■最後のほうで負けても成田へ行ける

 成田へ行く100人を選ぶのに、最後の2~3人が走り廻っているシーンまで放送していますが、そこで負けた人たちだって成田へ行ってます。ビデオで確認すればすぐわかること。
 なぜ敗者が成田へ行けるか。それは正解者の中から辞退する者が出るために、前もって補欠を選んでおくのです。最後の2~3人は補欠の上位だからまず行けるはず。毎年20人くらいが補欠になり、5人くらいは成田へ行ってるようです。
 後楽園に通過した100人は、後楽園近くの会場で渡航に際してのオリエンテーションを受けます。補欠も別の場所で説明を受けています。ここでは通称勝者弁当と呼ばれる、幕の内弁当を支給されます。勝者でなければ振る舞ってもらえないから、いつしかクイズマニアの間でそう呼ばれるようになりました。
 説明を聞くまでは物見遊山気分でいる挑戦者たち。「観光の時間はありますか」なんて質問も出ますが、あくまで番組撮影のためにアメリカへ行くのだからこれは「仕事」。当然とはいえかなり厳しい制約があるのです。
 観光の時間はまずありません。クイズをするか次の都市に移動するかの毎日です。さらに成田を発ちニューヨークへ行って日本へ帰るまでの約3週間は、会社・学校・家庭その他支障のある関係各所にウルトラクイズ参加の了解を取った旨の誓約書を出さなくてはなりません。この誓約書には、参加後に支障が生じた場合は、日本テレビが被る被害を賠償するようにまでなっています。個人の都合で帰られたり別の土地へ行かれたんじゃ、撮影できませんものね。
 そしてクイズ全問の判定はウルトラクイズ審査委員会が行い、判定決定後の意義申し立ては認められません。だから誤問題が出ても文句を言えるのはその場限り。負けになってあとで俺が正しいと言ってもダメなのです。実際時々誤問題があり、放送ではカットするかナレーションを入れ換えるかしています。
  後楽園から約2週間後の土曜日、一度麹町の日本テレビに集合したのち、バス3台を連ねて成田空港近くのホテル、エアポートレストハウスへと向かいます。

 

 

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