名人が教える150のノウハウ
野球でもなんでも、刻々とかわる試合の姿をキチンと記録しておくのは、将来にわたって大きな意義があるものです。クイズも、机をたたきながら見るだけでなく、その結果も記録してみませんか。つまり、スコアをつけるのです。
クイズに出れば、何問できたか何問間違えたかを単純に問うよりも、何点取れたかが重要になってきます。そこで早押しをしながら「どの問題に答え」「どの問題に間違え」「どの問題をテレビに先取りされ」「どの問題がわからなかったか」などをノートに記録しましょう。そうして番組終了後にクイズ番組と同じ方法で点数を集計してみるのです。
スコアをつけると、例えばアップダウンクイズでは、どんなにたくさん答えても1問間違えると途端に振り出しに戻ってしまう恐ろしさが身をもって体験できるだろうし、また、間違えずに10問答えるのが、いかに難しいかもよくわかります。
クイズ・ミスターロンリーでは、クイズ開始後すぐの問題につまずけば、あとの問題がいくらわかっても、みんな無駄になってしまいます。そういう悔しさが実感となってわかることでしょう。 スコアのつけかたは、上図をご覧ください。
以上、 5早押ししながら見る、 6スコアをつける、で説明してきたことは、すなわち、テレビを相手に実戦さながらのクイズをするということです。早押しや採点をしながらテレビを見るのだから、一種のテレビゲームですね。こうすれば「1回“お出”になったけど、シルエットゲストを見事に当てたのでハワイへ行けた」「市販のサイコロを振りながら世界一周・双六ゲームを見たら、いい線までいったのだけど、がっくり都市へ入ってしまった」などと、かなり現実的にクイズの得点が出ます。そして自分の実力のほどもわかり、今が出場時か、あるいはまだ勉強が必要か、よくわかるでしょう。
クイズ番組は、それぞれの番組カラーを出すために、出題にある種の傾向があるのが普通です。時事問題が多い、スポーツの問題が多い、問題文が長い、問題文が短い、かなりつっこんだ内容まで出る、ナレーターが早口などなど。あるいは、シルエットクイズやイントロクイズ、漢字クイズなどといった、毎回必ず出題される、特定コーナーを持つ番組も多くあります。これらについての対策をあらかじめ立てておくと、1~2問は確実に取れる可能性が強く出てきます。だから番組をじっくり観て、どういう出題傾向があるか、どういうコーナーがあってどの程度の問題が出されるかをよく研究しておきましょう。
■最大のクイズソースは新聞
出題傾向に合わせ、何が出るか予想をたてておけば自信がつきます。出題を予想するには、クイズ作家が何をもとしてクイズ問題を作るかを考え、そのクイズソースを手に入れればいいのです。そして最大のクイズソースは新聞です。
まず新聞各紙のなかで、どの新聞を読むかですが、テレビ局と新聞社は密接な関係がありますから、出場するテレビ局と同系列の新聞を読むのが一番ベターでしょう。系列新聞にしか載ってない話題から出題されることも多いのです。
東京・名古屋・大阪の放送局と新聞社の関係は、
日本テレビ---中京テレビ----読売テレビ---読売新聞----報知新聞 TBSテレビ--CBCテレビ---毎日テレビ---毎日新聞----スポニチ フジテレビ---東海テレビ----関西テレビ---サンケイ新聞--サンスポ テレビ朝日---名古屋テレビ---朝日テレビ---朝日新聞----日刊スポーツ
と、なります。例えばパネルクイズアタック25は朝日テレビですから、系列の朝日新聞からの話題がよく出ます。また、選抜高校野球は毎日新聞社の主催ですから、他のクイズ番組より、アップダウンクイズでの出題率が高いはずです。その他のスポーツ大会や、囲碁の対局の勝敗を問うものも、まず主催新聞社の系列クイズ番組でしか出題されません。
なお、一般紙を読むのはもちろんですが、スポーツ新聞も1紙は読みたいものです。
まず政治面・経済面・外交面の、普通の人があまり読まない紙面からは、内容ズバリより語句の意味がよく問われます。例えばSDI(戦略防衛構想)、ASEAN(東南アジア諸国連合)、OPEC(石油輸出国機構)、インテルサット(国際商業衛星通信機構)などの略号とその意味を問うもの。ニュースになっている国名と首都や主要都市・元首の名を問うものが多く出題されます。サミットや大統領選挙の結果などの大きな話題は、内容を問われる場合もあります。海外トピックス、特派員報告などのコラムには、海外のおもしろい話題が載っているので、ここからの出題もよくあります。
これらの面の下部にはよく本の広告が載っていますが、話題作や有名作家の作品もマークしておきましょう。
家庭面は意外とクイズになる記事があります。例えば「ミセスのための秋のファッション」という記事からはファッション用語や今年の流行がクイズになりますし、植物・動物の育て方や料理についても、クイズ問題はいくらでも作れます。主婦向けのコラムにも最近のヤングにはやっている遊びやアンケート調査の結果が載る場合もあるので、家庭面はアナです。
次のスポーツ面では、スポーツ大会の優勝者・優勝チームを必ずマークしておきます。極めて出題率が高い話題です。このほかルールや記録、外国での話題などもよく出題されますので、スポーツ新聞と合わせてよく目を通しておきましょう。
地方版の記事からはあまり出題されません。他地区の人にはなじみがないからです。それでもよっぽど変わった話題はヤマカンクイズなどに取り上げられることもあります。ヤマカンクイズの問題は、地方新聞の小さな記事をよくネタにすることを付記しておきます。
社会面では、見開き右ページの、いわゆる第二社会面からの出題が多いようです。ここには明るい話題や楽しい話題がよく載るからです。左ページには殺人や強盗、事故などの痛ましい記事が多く、あまりクイズにはなりません。
最終面はラテ面(ラジオ・テレビの番組表)です。今日はどんなクイズ番組があるか捜してください。
夕刊では、芸能ニュースと第二社会面、それにラテ面下の映画の広告が必見。芸能ニュースはスポーツ紙の方に、はるかに詳しく載っています。映画の広告は話題作の監督と主演、あらすじをチェックしてからクイズに臨みましょう。
総合すると、
▽明るい話題、楽しい話題がクイズ問題になりやすく、暗いニュースや個人・団体の名誉にかかわることがらはまずクイズに出ません。
▽「天声人語」「編集手帳」「海外トピックス」「時事用語解説」などのコラムからの出題もよくあります。
▽「……の予定」「……の見込み」と、近い将来変更が予想される記事はクイズに出ません。録画終了後、内容が変わってしまったら大変だからです。
最終的には新聞などのクイズソースから自分で問題を作ってみることです。問題を作ると、クイズ作家が一つのネタをどう料理するか、その心理がわかり、解答する際に役立ちます。
例えば政治面に、
『九月の国連総会を機にニューヨークで開催するサミット参加七カ国の外相会議では、米ソ軍縮交渉、東西関係と並んで米国のSDI(戦略防衛構想)が討議の重要なテーマになる……』 という記事があったとします。この記事からどのような問題を作れるでしょうか。
問題「いま、盛んにとりざたされているアメリカの戦略防衛構想のことを、アルファベット3文字で何というでしょう」(答え、SDI)
これなら勉強して出た人なら「……防衛構想のことをアルファ……」くらいでボタンを押せるはず。そこで、もう少し別の資料を加えて、
問題「いま、盛んにとりざたされているアメリカの戦略防衛構想のことを、ある映画のタイトルを使って、俗に何計画というでしょう」(答え、スターウォーズ計画)
としてみます。解答者は「……防衛構想のことをある……」で押して「SDI」と答えるでしょう。でも判定はブー。ワザと間違えるように作ることもできるのです。そこで、
問題「いま、盛んにとりざたされているSDI・戦略防衛構想のことを、ある映画のタイトルを使って、俗に何計画というでしょう」
としたら、今度は素直に答えてもらえますね。
あるいは記事の別の項目に注目して、
問題「この九月に、国連総会が開かれる都市はどこでしょう」(答え、ニューヨーク)
これは普通は「国連本部のある都市は」という問題なのですが、「総会が開かれる都市は」と表現を替えているのがミソ。ニュースでおなじみの会議場は、当然ニューヨークの国連本部にあるのですが、「総会」とすることにより問題の幅を拡げてみました。
こういう作業をしてみると、一つの記事からもいろいろなクイズを作れることがわかります。しかも出題者は「どこでボタンを押させるか」「この問題は答えさすか」「ちょっとひねって間違えてもらうか」「ボタンのスピードで勝負してもらうか」「じっくり考えた末に押してもらうか」など、演出も含めた、さまざまな思惑の上で問題を考えていることもわかるのです。
クイズ問題を自分で作ってみると知識がつき、さらに出題者の心理もわかってボタン押しのタイミングも上手になります。漠然と資料を読まずに、工夫を凝らして問題を作ってみてください。
では、次からは出題方法別、ジャンル別の勉強法・対抗法を書いていきます。