名人が教える150のノウハウ
■クイズ問題は繰り返される
クイズ番組を熱心に見ていると、以前出題された問題が再び出題されていたり、パネルクイズアタック25で出題された問題が、その夜のアップダウンクイズでも出題された、なんてのに気づくこともあります。先にも書いたように、クイズ問題は中学生レベルを基準に作っているので、一定の傾向を維持するには、どうしても同じような問題になってしまいがちなのです。クイズ作家に言わせれば、「答えてくれるならいくらでも難しくする」そうですが、難しくすると視聴者の方が「この番組はなにがなんだかわからない」となり、チャンネルを変えられてしまうので、そのレベルはくずせないとか。
だから、クイズ問題は無限に作れるとはいえ、番組で出題される問題にはある程度の限界があり、同じ問題が繰り返し出題されている、と考えて差し支えありません。となると、番組を見て「えーっと、この答えはなんだっけ」と悩んでいるその問題が、出場したときに再び出題されるかもしれないのですよ。
ぼくは普段、わからない問題、頻出問題などをノートにメモしながら番組を見ていました。ノートはいわゆる大学ノート。将来、ジャンル別や難易度別に分類するつもりでもあるなら、バインダー式のも便利でしょう。見開きの右ページにはクイズ番組で出題された問題や、自作の問題をメモし、左ページには新聞や雑誌のクイズになりそうな記事の切り抜きを貼った「クイズノート」を作っていました。問題を「書く」ことによって覚え、さらに再び「見返す」ことでまた覚えることができ、ノート作りもぜひお勧めします。
■ワープロの利用も
さて、今ぼくは問題メモにワードプロセッサを利用しています。ワープロは文章の挿入・移動・削除などが簡単にでき、印刷すればいつでも鮮明。さらに問題文を並べ換えたり、あるジャンルの問題だけを出力したり、特定の語句の検索もできます。
検索機能を使えば、例えば、夏目漱石について過去にどういう問題が出されたかを知りたい時、ワープロに「入力してある問題文中から夏目漱石を捜せ」と命令してやると、お利口にも「夏目漱石」を捜してくれるわけ。また、出場者のデータも入力しておけば、対戦相手研究にも役立つでしょう。ビデオやワープロなどの文明の利器も、りっぱにクイズに応用できるのです。
■カードも役立つ
問題メモのほかにクイズによく出題される事柄をカード化するのもいい方法です。例えば、「アメリカンフットボールは1チーム何名?」という問題が出たなら、野球は、水球は、バレーボールは、ラグビーは、ハンドボールは、と次々に同様の問題が作れますね。そこでB6カード(文具店で売っている)1枚に1項目ずつ、こういうクイズ問題になりやすい事柄のデータを記入していきます。上部に「スポーツチームの人数」という具合に見出しを入れ、メモした日付も書いておきます。カードは自分なりに分類してバインダーに綴じておけば、スタジオなどへの持ち運びも楽だし、クイズ用事典の体裁も果たすでしょう。 このカードには問題データだけでなく、クイズ番組のデータ、すなわち予選ハガキや予選問題、出場依頼通知、スタッフの性質などもメモしておけば、かなり強力なデータバンクになります。
B6カードよりも小振りな図書カード大のカードを利用している人もいますが、こちらの方が携帯には便利です。知識を自分なりに整理できるよう、ノートとカードをうまく使いわけてください。
■早押しはクイズの醍醐味
「クイズ番組を見ていると8割方は解答できるんですがね、でる気はないですが……」なんてお父さんにときどきお目にかかります。でる気がないのは結構ですが、でたところで8割なんてできやしない。3割がいいところでしょう。なぜならクイズには千分の一秒を争う早押しがあるのです。答えがいくらわかっていても、相手より先にボタンを押して解答権を得なければ得点になりません。知識があれば優勝できるほどクイズはカンタンではないのです。
最近のクイズ番組は早押しをしないものも多いですが、クイズの醍醐味はやっぱり早押しにあります。問題のポイントをいちはやくつかみ、人より早くボタンを押し、正解した瞬間の心地好さは出場した人でないとわからないでしょう。そこでクイズに出るつもりでクイズ番組を見ているなら、テレビの出場者と同じように、早押しをしながら見るべきです。
あなたはクイズ番組を見ています。問題が出ます。
「シェイクスピアの悲劇リア王で、ただひとりリア王に親切だった、3番目の娘の名はなんでしょう」
テレビを見ながらボタンに見立てたもの、机でも膝でもなんでも構いません。適当なものを答えがわかったところでポン!とたたいてください。テレビの解答者が押したピンポーンが早かったらあなたの負け。あなたのボコッが早ければあなたの得点です。たぶん「3番目の」のあたりでテレビではピンポーンとボタンを押すのではないでしょうか。「親切だった」のあたりで押せれば合格です。(答えはコーデリア)
テレビを見ながら机などをボタンに見立ててたたく勉強法を「発明」した当時、「オレも本当にビョーキだなあ」となさけなくなったものでしたが、その後いろいろなクイズマニアの方と知り合ってみると、みんな指を動かしながらテレビを見ていたので安心しました。
■ビデオのリモコンを使う
机や膝じゃ雰囲気がでないという方にはとっておきの方法があります。再びビデオの登場です。ビデオのリモコンスイッチに「一時停止/静止」がありますが、このボタンを早押しのボタンに見立てるのです。つまりクイズ番組をまず録画。この時は見ないでおきます。録画終了後再生し、ビデオと一緒にクイズをして、答えが分かったところでリモコンボタンを押す。あなたの方が早ければ画面が停止するだけ。テレビの方が早ければピンポーンの音が聞こえる、というわけ。この方法なら判定がかなり正確にできるし、いかにも早押しボタンを押している雰囲気がでます。 ビデオの一時停止ボタンなら、世界一周・双六ゲームの電子サイコロをストップさせるのにも応用できますが、ビデオの機種によっては、画面が美しい状態で停まるように、ボタンを押してから少しテープが先に進むものがあるので、機種によるクセをよくのみこんでください。
これをやりすぎてビデオのリモコンボタンを壊し、修理にいった電器屋さんに「これは壊れることはないんですがねー」と不思議がられたマニアもいるくらいです。
しかし、友達同士で遊んだり練習するのにはビデオは不向きです。かといってわかったら手を挙げるのも原始的。判定が曖昧になり、喧嘩のもとにもなりかねません。
そこでついに、ぼくらの仲間では早押し機械を作ってしまいました。みんなで金を出し合い、電気メーカーに勤めている仲間が組み立てたのです。この機械は最高8人までが同時に遊べ、本物の早押し機と同じく千分の一秒までの差を判定できるスグレもの。過去のクイズ番組のビデオを見ながら、みんなで早押しして対戦する姿はなかなか壮観です。しかもぼくらの仲間はあちこちのクイズ番組で優勝している者ばかりだから、ビデオに出ている一般の人たちよりレベルが高く、順番待ちしている仲間から、テレビよりこっちの方が凄いと言われました。
こうして早押ししながら番組を見ていると知識を増やすだけでなく、早押しが実戦でいかに大事かかってくるし、問題文のどこでボタンを押せばいいのかタイミングもつかめて、ボタンの差で勝ち抜くこともできるのです。
この早押し機、いまでは各大学のクイズ研究会にもあるそうですが、元祖はやっぱり我々のグループではないでしょうか。
■つねにボタンに指をかけておく
ボタン押しのコツは、つねにボタンに指をかけておくこと。テレビを見ていると、力一杯押せばいいのかと、腕を上にふりあげて、おもいっきりボタンにたたきつけている人がいますが、あれはまったくのムダ。手を上にふりあげる時間で、すでに何人もの人がボタンを押してしまっています。また、人差指1本で押すのじゃ、神経が指先に集中しすぎてしまい、指がブルブルと震えてしまいます。逆にてのひをおおいかぶせている人もいますが、てのひらでは神経が鈍く、瞬間の反応が遅れると思います。
ぼくの場合ボタンの形状にもよりますが、人差指・中指・薬指の3本をボタンにかけるようにしています。そしてボタンの遊びをギリギリまで無くすというのでしょうか、力を若干加えておき、問題のポイントを聞いた瞬間に、指をパーンとはじくようにして押しています。でも、体重をかけすぎて、問題がでる前からボタンを押してしまい「さあ、答えは!」と司会者に迫られた人もいますので、力の入れ具合はほどほどに。どの番組でもリハーサルがありますから、充分練習してください。