アメリカ横断ウルトラクイズ
クイズ王の本

歴代クイズ王が語るウルトラクイズ必勝法
「知力・体力・時の運」次のクイズ王はあなた!かも、しれない?

クイズ王の会/篇
©北川宣浩・森田敬和 1987
パンナムビルニューヨーク

スタッフが語る、ウルトラクイズ秘話(5)

これからのウルトラクイズ

 ウルトラクイズはもうやめることはできません。視聴者一人一人の頭の中にウルトラクイズのイメージができあがっており、日本テレビを離れて一人歩きをしている雰囲気さえあります。スタッフは今後のウルトラクイズについて、もっと壮大にやりたいと語ってくれました。例えば、キリマンジャロの山頂で、天安門で、モスクワの赤の広場で。しかも生活密着型の、観光名所以外の現地の人々の生活に溶け込んだ場所で行いたいそうです。そのうち、市場や家庭の居間に入り込んでクイズが行われるようになるのではないかな。

 一方で、スタッフは番組開始から10歳も年をとってしまったけれど、挑戦者は毎年若い人の活躍が目立ちます。そのギャップをひしひしと感じてもいるようです。確かに第1回のビデオと第10回のビデオを見比べると、福留さんは第1回では「ワルガキ」という感じ。それが第10回ではすっかり貫祿がつき、挑戦者を自在に操っています。徳光さん高島さん石川さんも昔は若かった、今も若いけど。もちろん挑戦者の顔ぶれも歴然と違い、おっさんぽいのばかりがいた第1回と、十代ががんばる昨今。クイズ形式のハードさは見ればわかりますが、ナレーションのテンポすらアップしています。

 ウルトラクイズはある意味では挑戦者とスタッフの闘いでもありますから、今後スタッフのおじさま方には、ますますがんばっていただくしかありません。

 それから挑戦者の皆さんへのメッセージとして、参加したからにはクイズの一回一回を楽しんで欲しい。勝ち負けは二の次。出て、見て、とにかく楽しんで欲しい。クイズマニアも歓迎する、いい賞品はもらえないけど、ぜひ来て欲しい。ということでした。

 スタッフ曰く、総論すれば挑戦者はロマンチストなのです。1ヵ月もの間、家庭も仕事も学校もおっぽり出してウルトラクイズに挑戦する。夢を持っているからできるのです。スタッフは彼らを通して生身の人間を描く。生きているから感じる、喜び哀しみを描く。それをテレビを使って伝える。テレビを見た人の中で一人でも多くの人がそれに共感し、自分の生き方を見つめ直してくれれば、番組を送り出す役のスタッフとして、なによりも嬉しいことなのです。

 

おわりに

 ウルトラクイズ10周年を記念して、私たち10人のクイズ王から何か「お返し」ができないかと考えたのは今年の3月でした。その一つの形がこの本になりました。

 クイズ王それぞれの感じたウルトラクイズを素直に伝える。ウルトラクイズのテレビに写らなかった部分を、読者すなわち視聴者の皆様に伝える。それによって少しでも多くの人がウルトラクイズに共感を感じて参加してくださるのなら、一歩でも先の都市へ行っていただくことができるのなら、私たちにとってこんな喜びはありません。

 この本を書くにあたって、私たちはもう一度自分たちのビデオを見直し、あのときの気持ちを整理してみました。そこで感じたのは、たいへんおこがましいのですが、やはり「勝負は勝たなければウソ」ということです。「敗者が主役」なんて詭弁にすぎません。人生は勝たなければ何もならないのです。あのとき負けていれば、今の私たちもこの本も、この世に存在しなかったのです。

 ウルトラクイズは人生の縮図とも言います。人生は勝たなければウソです。皆様も、仮にウルトラクイズに負けたとしても強く生きて、自分の人生には勝ってください。

 今年、そしてこれからもずっと、後楽園でお逢いできるのを楽しみに。

 

1987年6月     クイズ王の会

 

 

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