名人が教える150のノウハウ
普通、30分の知識クイズ番組で出題される問題数は約40問ですが、スタッフは40問だけ作っているわけでなく、この何倍もの問題を作っては、その多くをボツにしています。問題はやたらと難しいものを作ればいいのではなく、誰にでも答えられるもの、ちょっと難しいもの、これができれば感心されるもの、年配向け、ヤング向け、男性向け、女性向けと、さまざまなジャンル、難易度を必要とします。どの解答者もある程度の点を獲得し、しかも視聴者からは、「さすがテレビに出る人たちは違うなー」と思われるようにしなければなりませんので、なかなか大変です。
一般に問題を作成するのは専門の放送作家の他に、外部スタッフとして学生、主婦、サラリーマン、医者、教師などさまざまな職業の人が行っています。彼等は一般の新聞や雑誌はもとより、専門の雑誌や官庁の広報誌、独自に見聞したことなどをもとに、何百問というクイズ問題を作ってきます。それらを、一つの方向にかたよることのないよう注意を払って、また、出場者の予選問題のできにより、得手不得手まで分析したうえ、出題順や問題文のテニヲハまで含めて検討した結果、残った数十問が出題されているのです。「構成」という肩書でテロップが流れる人がこれら一連の作業をするスタッフです。
さて、クイズ問題を作る上で一番難しいのは、作った問題とその答えが、本当に正しいのかウラを取る作業です。クイズ番組には問題のチェックを専門にするチェックマンがいて、問題と答えが正しいかどうか調べます。いかにチェックが難しいかを示す有名な例題に「日本で一番長い川は」という問題があります。なんだ、そんなデータなら小学校の教科書にも載ってるよ、と思われるでしょうが、それがクセモノ。川の長さは年によって変わっていくのです。つまり、川はクネクネと蛇行してますね。蛇行が激しくなって陸地を浸食するとそのぶん川は長くなるし、さらに浸食して三日月湖を形成してしまうと、逆に川は短くなってしまいます。だから川の長さは常に変わっているのです。単純に手元の事典を見て信濃川だとか、石狩川だとか答えを決めつけてしまうのは危険なわけです。
チェックの結果、出典が曖昧だったり、説がいろいろあって答えが幾つも出てしまうような問題は、どんなにおもしろい問題でもボツにします。また、方言もある程度は調査しますが、普通は一般に用いられている言葉を正解としますので、たとえ方言では正しくても間違いにされる場合もあるので、地方からの出場者はご注意を。
また、はやりの内外の珍しい話題を素材にした番組では、海外にも情報提供者をおいて話題集めているそうですが、同じ話題にいくつかの局が、はち合わせすることもあるそうで、そうなったらせっかく高いお金をかけて取材してもボツにすることがあるそうです。