TVのクイズ番組を裸にした本!
数々の番組で優勝を続ける筆者が、自らの経験と頭脳からあみ出した、本当は公開したくない、
TVクイズ攻略のまる秘カリキュラム一挙公開!
ぼくは子供のころから「理科」が好きだったので、科学ジャンルについては、とりたてて勉強した覚えはない。でも科学は、できる人とできない人の差が大きいと思う。女性や文科系の方には、"科学アレルギー"の方も少なくないようで、数式や化学式、電気器具の簡単な修理など、まったくオテアゲの方がいる。
そんな方は、まず小、中学生向きのやさしい本をお読みになってはいかがだろう。子供向きの「数のふしぎ」とか「なぜなに事典」のたぐいの本は、身近な疑問からスタートしていろのでおもしろい。第一気楽に読める。そうしているうちに、科学に興味が持てたらしめたもの。興味があるもの、楽しいものは、よく覚えられるからだ。たとえば「宇宙について」や「発明発見の科学史」の本などは、文科系の方にとっても読みやすいと思う。実際には高校生レベルの問題も出るが、高校の内容は、かなり難しくなってきているし、科学にあまり興味がない人に、高校生の参考書まで読めと勧めるのは、かえって逆効果だろう。難しい本を読むより、むしろ雑学的知識を仕入れたほうがいい。たとえば植物名や植え万は、女性の方が詳しいし、俳句をひねる方なら、樹木の名にも通じているだろう。
例・高校生レベルの問題
●物質1グラム当量を電気分解するのに要する電気量は。答、1ファラデー
●数学で、順列をあらわす記号はP、では組み合わせは。答、C
特に科学のジャンルについての注意点は、クイズはごくあたりまえのことがらが問題になるので、深く考えないこと。エンジニアやお医者さんは、自分の専門分野の問題に対して、ついつい「気圧が一定でない時は……」「検査方法によっては異なる反応が出るから……」なんて深く考えすぎてしまって、当然できるべき問題をのがしてしまったり、とんでもない答えを出して減点になる場合がままある。広く浅い一般的な知識があればよいのだから、「オッ、オレの本職だ!」と力まず、やさしく考えること。
1979年11月の第3回ウルトラクイズ後楽園予選で、「鉄はさびると重くなる。○か×か」が出た。○なら赤いボールを拾って○の陣地へ、×なら白いボールを持って×の陣地へ走る。ぼくは、
1、さびるとは、すなわち酸素と化合することである。
2、化学式で書くと、
2Fe+O2 →2FeO(酸化第1鉄)
4Fe+3O2 →2Fe2 O3 (酸化第2鉄)
3Fe+4H2 O→Fe3O4 +H2 O(三酸化鉄)
3、鉄がさびたら、それは酸化鉄になり、もはや鉄ではない。
4、酸化鉄が鉄より重いのは、酸素の重さがあるからで、鉄そのものの重さは反応の前とかわらない。
5、よって鉄そのものはさびても重くならない。こいつはひっかけ問題だ。答えは×!
なんてややこしく考えたからいけない。こんがらかって○を意味する赤いボールを持って×の陣地へ走ってしまった。で、失格。正解はタダの○で、単純に「さびたら酸素の分だけ重くなる」と考えればよかった。
一方、金属材料学が専門の、横浜市の飯島隆裕氏から次のようなコメントをいただいた。「普通大気中で鉄がさびて赤サビを生ずる反応は4Fe+3O2 →2Fe2O3 (酸化第2鉄)で表されます。つまりサビが完全にもとの鉄に付着していれば、酸素の分だけ重くなるはずです。しかし通常ではボロボロ剥れてどこかにいってしまうでしょう。我々が金属材料の研究をする場合でも、腐食減量とか減肉量とかいう言葉を使い、それで腐食の程度を評価しています。また、比重についても、鉄は7.86、酸化第一鉄は5.1から5.2とずっと軽くなっています。出題者の意図は推察できますが、とにかくあまりいい問題ではなかったようですね」