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友と語り合った旅………第3回/宗田利八郎(2)

出会いは1回目から

 僕とウルトラクイズとの出会いは、やはり1回目の放送でした。それまでのクイズ番組とはまったく違ったスケールの大きさに感動しました。そしてニューヨークで優勝した初代クイズ王の松尾さんを見て、世の中にはなんてすごい人がいるんだと、心の底から感動したのを覚えています。

 機会があればなんとしてでも参加したいと思っていたのですが、なにぶん当時は単発のスペシャル番組という感じでしたので、あまり期待もせず1年が過ぎました。

 

 1年後、2回目があったのはたいへんうれしかったのですが、残念ながらケガをしていたため出場を断念、テレビを見るだけで終わってしまいました。北川君は他のクイズ番組にも出場していたから、多分彼が勝つんではないかと見ていたところ、案の定優勝してしまいました。

 そして79年夏、第3回目にしてはじめて後楽園の人工芝を踏んだのです。当時29歳、まだ独身。しかも東京は学生時代を過ごしたところで、万事、気楽なつもりで行きました。

 

 参加者は1000人を越え、風船を握っているか手放すかで判定する○×クイズとか、ボールを拾って○×サークルにかけこむとか、いろいろ新趣向が登場したのもこのころからです。ひねた問題もかわして調子よく勝ち進み、去年のクイズ王北川君も途中で落ちる乱戦気味でしたが、見事突破。成田へ行けることになったのです。もうそれだけで気分はアメリカ。いい気なもんですが、人生気楽が一番です。

 

 僕は家業の造り酒屋で働いていますが、そのころは父親も健在。そこで仕事をまかせて成田空港へ。ここでは当然ジャンケンだろうと予測をして、前もってジャンケンの練習をしたのを覚えています。正直なところジャンケンは弱いんです。「本番」でも3対2の大接戦。かろうじて勝ちました。ちなみに2年後の第5回にはハワイまで行けましたが、この時のジャンケンも3対2。僕の成田はいつもヒヤヒヤものです。

 

寝るのは日本でもできる

 いざ、アメリカへ旅立ってからは遊んでばかりいました。だからスタッフから「第2回の挑戦者はもっと勉強をしていたぞ。少しはクイズの勉強をしたらどうだ」と、しかられてばかりいました。でも、そんなことは日本でもできるじゃないですか。せっかく全国から世代を越えてアメリカへ来てるんです。僕には、お酒を飲んでカードゲームをして語り合った夜が、なによりの思い出です。


 そんな調子だから、はっきり言って、僕は毎日ほとんど寝てませんでした。寝るのがもったいないと思ったんです。寝ることこそ日本でもできますよね。せっかく遠くアメリカまで来てるんだから寝るなんてもったいなくて。
だからグランドキャニオンではフラフラ。前の晩の夜遊びがたたったんですね、なんとクイズ中に寝てしまったんですよ。トメさんの読む問題の声が遠くで聞こえてきて、急にフーッと自分のほうに近づいてくる……。ハッと思って我に帰ると、学校の机上ならぬここはグランドキャニオン。すぐ後ろは断崖絶壁なんですから、我ながらたいしたものです。後半必死で追い上げことなきを得ましたが、この時は苦戦しました。
クイズが終わって振り返って見たグランドキャニオンの雄大な景色。こんなすごいところが地球上にあるなんて、クイズの苦戦もあったでしょうが、長い旅の中で最も印象深い場所として心に残っています。

 

過酷なクイズが次々登場

 後楽園でもそうだったように、この回からクイズ内容がバラエティ豊富になってきました。あのバラマキクイズが登場したのも第3回ですし、腰にタイヤをくっつけて、15m先の早押しハットめざして走るリタイヤクイズが行われたのもこの回です。

 実は、僕は体力を使うクイズが好きなんです。普通の早押しクイズは、今度落ちるのはもしかして……と強迫観念が強いのか胃がキリキリ痛むんです。スタッフが、神経性胃炎ならぬクイズ性胃炎と名付けてくれましたが、体力クイズになるとこのクイズ性胃炎が消えるんですね。胃が痛いのを気にするどころではない、というのが真相でしょうけど。
 リタイヤクイズはただでさえ重たいタイヤを腰につけて、なんとマイアミの砂浜で行われました。砂浜なんて普通に歩いていても、砂に足がめり込んで歩きにくいですよね。


 胃の痛みを気にしないのはよかったのですが、もう疲れました。問題の答えがわかって走っても走っても、最年長だった僕は早押しハットにたどりつけないんです。若い連中がサーッと走っていって、ピンポーンと答えちゃうんですよ。こうなったらかけひきです。誰も答えられない難しい問題だけ答えるようにしました。かと言って、みんなが先に勝ち抜けていけば負けるのは僕なんですから。ようやく勝ち抜けたときは、身も心もヘトヘトでした。

 

シャレにならないバス強盗?

 ワシントンを経てニューヨークへ行けることになりましたが、ニューヨークの第一印象は噂どおりの怖い街。なぜって、ぼくらが乗っていたロケバスが、市内で他のクルマと接触してしまいました。よくあることですが、そしたらそのクルマから、女連れの男がナイフを持ってバスに乗り込んで来たんです。最初は、ウルトラクイズのことだからどうせ「どっきりカメラ」だろうとタカをくくっていました。でも周りを見るとカメラはまわってないし、一緒に乗っているスタッフは大慌て。警察が来て事なきを得たんですが、あれ、本当の殴り込みだったんですね。あのままナイフを振り回されたらどうなっていたことか。多分ウルトラのスタッフのことだから「ブッチャー、おまえやれ!」なんて僕に押しつけて逃げたでしょうね。

 

 

■ルートガイド


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