中年になってからバイク・オートバイの免許を取得し、北海道ツーリングや関東周辺のツーリングを楽しむノウハウ
盆堀林道(東京都八王子市) 2008/10/18
2008.10.18 Saturday
和田峠から盆堀林道へ


2008年9月21日に、北海道9泊10日のツーリングから帰って以来、燃え尽き症候群というか腑抜けというか、バイクに触る気すら起こらず、土日も部屋に引きこもってテレビやビデオを見る生活を繰り返していた。
それに鬱状態が続き、あらゆるものへのやる気が失せていた。

でも、このままじゃいけない。
幸い週末の天気はいいみたいだから、近くまで軽く走ってみるか。紅葉にはまだ早いが兆しは感じられるだろう。

そこで、大学自転車部時代からの練習の場である八王子の和田峠に行ってみることにした。ホームグラウンドのようなものか。
さらにその先に盆堀(ぼんぼり)林道という知らない道があるのを見つけた。武蔵五日市に抜けられるようだが、WEBの情報によるとゲートがあったりがけ崩れがあったりの、さんざんな道のようだ。行ってみて通れなかったら戻るしかないが、家からさほど遠くないからダメージは少ないだろう。

8時40分に家を出て国道20号線の大垂水峠を越えて、藤野から和田峠へ。途中、右折して陣場の湯という山間の温泉があるので行ってみる。いくつか温泉宿があるようで、最初に目についた陣谷温泉という宿に入ると、まったく誰もいない。傾斜地に作られているのでどうやら階下がフロントのようで降りてみると、奥にスリッパが並んでいる部屋があり、「囲碁会場」とあった。時間は11時半でちょうど終わったようで、じいさまが大挙して部屋から出てきた。そして奥からおかみさんが出てきて会計。うろうろしている私はおかみさんに見つかり、一時は囲碁のじいさまと間違えられたが、「日帰り温泉は?」と聞くと「1000円」と言われた。いささか高いと思ったが、ここまで来たので仕方なく1000円払う。
温泉は外階段で降りた先にあった。教えられないと見つからなかったろう。

陣谷温泉

狭い浴室に木の浴槽がデンとおかれている、不思議なつくりの温泉だった。どうにも温泉らしくない。湯は無色透明無臭。けれど足にかけると染みるよう。天気が良くてジャケットやオーバーパンツは暑いくらいだったが、やっぱり冷えていたようだ。

温泉を辞し再び林道和田線に戻って、チンタラ走って和田峠に。途中、富士山が望めるという展望台に立ったが、いくつもの山並みは見えるものの富士山は見えなかった。

和田峠

峠の売店は開いておりおばさんがいた。駐車料金は600円。ここに車を止めて徒歩で山登りをする人用だろうが、峠は民有地なのだろうか。前から有料で気になっているのだが。

和田峠

すると、峠の脇の林道からオフロードバイクが2台出てきた。ここが醍醐林道の終点と知っていたが、通り抜けできるのか。去年のツーリングマップル関東には「H18通行止め」とあったが、ライダーに聞いてみると通り抜け可能でほとんど舗装されているとのこと。和田峠との接点だけ未舗装なのだが、向こうから来れば下りなのでマジェスティでもなんとか走れそうだ。今度来よう。

和田峠の八王子側(東側)は道幅が狭く急坂で徒歩のハイカーもいるため走りにくい。そういえば去年、セローに積んでいた荷物がほどけて、往生したっけ。

ずっと下って、上恩方の交差点を右に行けば八王子市内で帰路だがここを左に1kmほど走ると盆堀林道の入口がある。

盆堀林道

入口についたら予想通りゲートがあり、運がいいことに向こうから来た軽自動車が鎖をはずしてこちらに出ようとしていた。すかさず曲がって会釈をして通り抜ける。降りて運転手に聞いたら、五日市まで走りぬけられるという。看板には通行止めと書いてあるが、工事が終わって解除されているらしい。
これを聞かなければ通り抜けできないとここで断念していた。何事も聞き込みが大事だ。
舗装されているが、こぶし大の落石や道の真ん中が苔むしているような道路をチンタラ走る。

盆堀林道

途中、入山トンネルをくぐる。峠の手前でトンネルになる不思議な道。普通は峠がトンネルだが。視界は必ずしも良くないが、時折あきる野市街が見開ける場所もあった。対向車は1台だけ、自転車で上っている青年を追い抜く。

盆堀林道

入山峠は舗装されているが砂利が散乱していた。下り側に「通行止め」の看板があるが、さきほどの軽自動車によって通れることが分かっているのは心強い。ならば、看板を撤去すればいいのにと思う。だが別の看板には不審者に注意するよう書いてある。山火事が発生したらしい。なるべくならこの道を通り抜けてほしくない管理者側の思いが見て取れる。ここは東京都だが、神奈川県なんてほとんどの林道を通行止めにして頑丈なゲートをつけている。

盆堀林道

1時を過ぎたので、非常食用に買っておいたおにぎり1個を食べる。すると、さきほど途中で追い抜いた自転車の青年が登って来た。そのとき音楽が鳴ったので青年のラジオかと思ったら、携帯電話の着メロだった。
「うわっ、携帯が通じる」
青年が話しかけるともなく話してきたので、相手をする。
すると、まだ高校生とのことで立派なものだ。親もアウトドアに理解を示しているようで、バイクの免許も取りたかったが自転車を買ってしまったのでいまは自転車に夢中のよう。ひとしきり自転車の話をして、青年は下って行った。
こちらも追いかけたが、下りは自転車のほうが早いと見え、最後まで見かけることはなかった。




下りの途中で修復工事を終えたがけ崩れの現場を通ったが、金網で養生されている部分が崩れたみたいで、さらに下の道まで土砂が落ちたようだ。こういう場所を通るのはスリルがあって面白いが、実際に崩れたときに居合わせたら姿かたちはないだろう。

盆堀林道

さらに下ると砂利道になり、その先に採石場があって、時折ダンプが通る。ずいぶんとすごい林道である。

しかし、忽然と瀟洒な建物が現れた。「民宿ももんが」「地中海料理メリダ」と看板が出ている。さっきおにぎり1個を食べただけだったから、町に出たら何か食べようと思っていたけれど、ここに入ってみることとした。

地中海料理メリダ

内装も白い地中海風で、奥からおばさんの甲高い声が聞こえる。店内だけを見たら目黒か白金のセレブなレストランに近所のおばさんが集まっているのと変わりない。
スパニッシュフライドエッグを頼んだら、オニオンスープとたっぷりのサラダも出てきた。目玉焼きには分厚いベーコンが添えられている。8月末に屈斜路湖のオーベルジュ旻で食べたベーコンより脂っこいが、十分おいしいベーコンだった。これで1100円だから安いといえよう。ちなみに民宿ももんがは1泊3000円で朝食付き。

地中海料理メリダ

食べている時も、予約に来たおばさんがいたし、まるで砂漠のオアシスのように忽然と現れた割には繁盛している。あきる野市方面からならさほど離れていないからだろう。私は八王子方面からトンネルをくぐってさんざんな林道を走ってきたので、違和感が強いのだと思う。
結局1時間かかった。向かいにはニコンの元保養所をリフォームしたギャラリーネオ・エポックという建物があり、トンボ玉(装飾用のガラス玉)のコレクションは相当なものらしい。さっきまでレストランでにぎやかにしていたおばさんたちが大挙してやってきたので、出た。

ネオ・エポック

あとは帰るだけ。JR武蔵五日市駅前経由で帰路に就いた。
帰宅は4時49分。走行距離は141kmだった。



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