3■予選篇
ハガキ1枚に賭ける命
必ず通るマニア必勝テクニック。




ちょっと待て、その番組に出る前に

 クイズマニアになりたくてなる人はあまりいないだろうけど、テレビを見ていてクイズに興味を持ち、自分も出ようかなって考えだすと、まず最初に決めなくてはならないのは、「どの番組に出るか」ってこと。この本を読んでいるあなたが、タレントさんか有名人でもない限り、なるほど!ザ・ワールドや、世界まるごとHOWマッチには出れませんので、これらは除外するとしても、手当り次第に応募するのは、ムダを生じます。つまりクイズ番組にはレベルがあって、初心者向きから中級者向き、そして上級者向き、さらには一発勝負型ヤマカンクイズなど、狙いを定めて出場しないと、「負け」を増やすだけに終わってしまうことも多々あるからです。どうせ出るなら優勝をめざした方がカッコいいでしょ。「勝ち」を増やすためには手順を踏んで出場していきましょう。
 となると、最初に狙うのは初心者向けのクイズ番組です。例えば100万円クイズハンター、社長かヒラか!ハイ&ローなど。これらは月〜金曜日の毎日放送されているため出場チャンスも多く、しかも主婦や自営業者がよく見る時間帯の放送なので問題レベルもやさしく押さえてあります。だから知識量がそれほどない初心者でも対応できます。スタッフも、出場者はあくまでもシロウトさんとして気を配ってくれますから、初めてのクイズでも安心して出場できるでしょう。
 それから「運」が勝敗を左右する一発勝負型のヤマカンクイズも、クイズ経験初期に出るには適しています。クイズDEデート、クイズ・100人に聞きました、ぴったしカンカン、変わったところではドレミファドン!、アイ・アイゲームなど。これらは明るく楽しく家族みんなで楽しめることを主眼に作っていますので、クイズ経験を積んでいる人は敬遠されがちなのです。但し、出場するにはユニークなキャラクターの持ち主でなければいけませんから、面接を切り抜けるテクニックは必要かもしれません。
 中級者向けでは、三枝の国盗りゲーム、世界一周・双六ゲーム、クイズ天国と地獄など。天国と地獄は初心者向けの仲間に入れてもいいのですが、たかが○×クイズでも、クイズの経験を積んだ人の方がよくできるのです。これらはルールにゲーム性をミックスしてあり出場者も楽しめる内容の他、クイズのレベルもそう高くはないので、少しクイズができるようになった人へのお勧めコースです。
 最後に狙うのは残った上級者向けクイズである、クイズタイムショック、パネルクイズアタック25、アップダウンクイズなどです。これらの番組はクイズ経験者でもちゃんと出してくれますし、第一ある程度クイズをやってないと、予選にも通りません。
 まれに初出場がアップダウンクイズでしかも優勝という人もおりますが、これらの番組は「クイズのための知識」が必要ですから、普通に出たら数問しか答えられないはずです。
 もちろん「出たいナ」と思った番組から手当り次第に出場なさるのは一向に構いません。誰も止めません。ただ、クイズ番組は、しょせん数が限られています。クイズをより長く楽しみたいのなら、高い視点に立って計画されるといいでしょう。
 さて、ところで、視聴者参加クイズでも出られない場合があるのです。まず年齢制限。上は成績次第でしょうが、下は普通は大学生(18歳) 以上から。小・中・高校生はそれぞれの大会が年に1〜2回開かれますから、そちらに出場しましょう。レギュラーに出たとしても大人向けに問題を作ってありますから、あまり点を取れないと思います。番組によっては子供大会のないものもありますので、それらに出たいなら、ご飯をたくさん食べて早く大きくなってください。でもパネルクイズアタック25には高校生がレギュラーに出たことがあり、成績によっては高校生でも出れる場合があるのかもしれません。番組を見て自分と同じ年齢の人が出ていたのなら、あなたが出られるチャンスもあるでしょう。
 もう一つ大事なのは、地区によって出られない場合があります。「全国ネット」とはいっても民放では完全に全地区にネットしてない場合もあり、その地区では予選会を行わないからです。だってその地区の人は他地区へ旅行でもしない限りその番組を見れないんだもの、番組名を言っても知らないんだから、予選をしないのは当然ですよね。
 普通予選会は東京・大阪・名古屋、それに札幌・仙台・広島・福岡を加えたくらいの地区でしか行われません。例えば北海道東北部・秋田・山形・鳥取・島根などからの出場者って、まず見たことがないでしょう。アップダウンクイズや、パネルクイズアタック25はかなり多くの地区で予選をしていますが、それでも洩れている県もあり、その県の人は必然的に出場できません。自分は出られるかどうか、こちらも番組を見て自分と同じ地区の人が出ていたのなら、あなたが出られるチャンスもあるでしょう。
 ただ、各地区から出場できる番組でも、どうしても出場者は東京と大阪で予選を受けた人が多くなってしまいます。名古屋などは意外と予選会がありません。名古屋の放送局がキー局でなく、ローカル局扱いにされているからだそうですが、予選回数も合格者数も少ないそうです。だから名古屋の人は「落ちてもともと」という気軽な気分で受けてはダメで、「必ず予選を通過するんだ」と、予選会には命がけで行くそうです。しかも東京・大阪の人は予選後1〜3ヵ月で出場になりますが、地方の人なら1年以上も待たされることはザラです。
 自分の住んでいる地区で予選がなかったり、あっても回数が少なくて激戦が予想されるなら、東京・大阪などの大都市の親戚・知人の家に、下宿していることにして申し込むのも手。但し予選会へも本番へも自宅からの交通費は出ませんし、番組ではずっと「東京(大阪)の○○さん」で通されますから、サイフと心臓の覚悟がいりますよ。

ハガキはとにかく出せばよい

 クイズに出た!と言い触らすと「クイズはハガキだけでもたいへんな枚数がいるんでしょう。よく出られたわねー」と驚いてくれるおばさんが、きっとあなたのまわりにもいるはずです。だからおばさんは、あなたが何百枚もハガキを出したのだと勝手に信じていますが、本当はハガキは数枚出しさえすれば拾われるものなのです。たくさん出さないと拾われないからと、最初から諦めてしまう人が多いから、ほんのちょっとの度胸で、ハガキをパラパラと出した人のが、テレビ局に届いているだけのことです。
 とにかく経験から言って、出せばハガキは当たるものですので、ある年の友人のスケジュールをお目にかけましょう。

80年10月18日 ウルトラクイズ1回目スタジオ録画。30日放送。
    25日 クイズDEボーイハント、クイズグランプリ予選。ウルトラクイズ2回目録画、11月6日放送。
    26日 三枝の国盗りゲーム予選。
  11月2日 クイズDEデート予選。ウルトラクイズ3回目録画、13日放送。
    8日 クイズマガジン80予選。
    9日 クイズタイムショック予選。
    16日 パネルクイズアタック25予選、クイズグランプリ予選。
  12月6日 クイズタイムショック録画。
    8日 アップダウンクイズ予選。
    20日 ホントにホント録画。
81年1月8日 アップダウンクイズ録画。
    10日 クイズDEボーイハント予選。
    15日 クイズタイムショック放送。
    24日 クイズ漫才グランプリ他予選。
  2月1日 パネルクイズアタック25放送。

ね、駆け出しのタレントなみのクイズスケジュールでしょう。
 このように出せばハガキは当たるのですから、あとは行動あるのみ。がんばってください。但し、これは極端な例。あまり集中して出すぎると、すぐに局に顔を覚えられてしまい、その後の出場が危ぶまれますので、半年に1回くらいのペースで出るのがベターでしょう。

思わず拾いたくなるハガキを出そう

 ハガキの抽選の方法は、あとで説明する抽選クイズの項で詳しく書きますが、クイズ番組では地区別、男女別くらいに分類してから抽選するようです。ということはどのハガキも一度はスタッフの目に触れるわけですので、まず分類しやすいように読みやすい字で書いてあることが拾われる第一の条件です。難読名はふりがなを振っておくべきです。さらにアパートの棟番号や電話番号などの必要事項がキチンと明記されていることが第二の条件でしょう。
 そんなことはあたりまえ、と思うでしょうけど、意外と守られていないのが現状です。年配の人に多い崩した字は若いスタッフには読めません。逆に若い人のまるっこい字や誤字だらけのハガキはスタッフをガッカリさせます。また、せっかく当選しても住所が不備で返事を出せなかったり、電話番号が書いてないため連絡が遅れることもよくあります。赤いサインペンでベタベタ書き込んだりの小細工をする前に、もう一度初歩に戻って丁寧なハガキを書くようにしてください。
 何かハガキに特徴を出したいのなら、自己PRを書くことです。自己PRは予選では必ず書かされる、スタッフとしてはどうしても知りたい項目ですから、前もってハガキにおもしろいエピソードを書いておけばスタッフは目にとめてくれるでしょう。ワンポイントのしゃれたイラストもいいかもしれません(但し、そういうのは全く関係ないと言うスタッフもいる)。
 そうして書いたハガキをポストに投函しますが、よく当たるポストなんてありません。お宅近所のポストで結構です。但し、よく当たる投函方法はあります。それは一度にドバッと出さないこと。2〜3日おきに1枚ずつ、計4〜5枚も出せばまず拾われますので、試してください。バラして出すわけは、まとまって局に着いた同一人物のハガキは、1枚だけを抽選の箱に入れて、ほかのは抽選からはずしてしまう場合があるからです。でもバラして出せばそういう心配はないでしょう。どのハガキも抽選に参加できるわけです。
 でも、せっかくこの本を買ったのだから、ウルトラCみたいな凄いハガキの書き方・出し方を知りたいという人のためにいくつかご紹介すると、
*ハガキに1円切手を貼って出す。1円切手は珍しいので拾ってくれる。
*広告付のエコーハガキや、年賀ハガキで出す。
*ハガキをクシャクシャにして出す。そこだけハガキが浮くので目立つ。(ちょっと失礼かな)*ハガキの周囲を赤で囲む。積みあげても目立つ。
*周囲にギザギザのある絵ハガキで出す。ハガキの厚さとギザのため積みあげても目立つ。
*ハガキを100枚くらい小包でまとめて出す。努力を買って貰う。
*キスマークをつけて出す。エッチなスタッフが期待して拾ってくれる。

なぜするの?抽選クイズ

 予選に出るにはハガキの抽選がありますが、ハガキの抽選だけですべてが決まってしまうクイズに抽選クイズがあります。そこでハガキの抽選方法などについて詳しく説明します。
 どの雑誌にもクロスワードなどのクイズが載っています。新聞も日曜版や別刷にはクイズが載っています。これらはなぜあるのでしょうか。一つは読者サービスが目的です。クイズを楽しんでもらい、抽選で賞品をあげて、さらに喜んでもらうのです。次に読者の意向を調べるためもあります。クイズと一緒に「今週号で一番おもしろかった記事は」といったアンケートがついているのが普通ですが、実はこっちが本心なのです。だからクイズの内容は簡単なものにして、賞品で釣ってアンケートを多く寄せてもらい、本作りの参考にしているのです。
 次にメーカーが広告で行う「○○プレゼント」も毎日のように新聞・雑誌に載っています。これらは業界用語ではプレミアムキャンペーンという、れっきとしたマーケティング戦略の一つ。別にメーカーが消費者にほどこしをしているのではありません。
 メーカーはプレミアムキャンペーンをすることにより市場を活性化させます。なぜならキャンペーンをすれば広告出稿量が増え、広告代理店やテレビ局・新聞社などの媒体が仕事になります。広告を見た消費者はそのメーカーや商品に関心を持ち、その商品を買うようになります。すると問屋や商店にも商品が多く出荷されるようになり、メーカーも儲かります。このように流通のさまざまな段階で金が動くようになるのです。それ以外にも企業イメージをアップさせたり、新商品の認知度を高めるためにもプレミアムキャンペーンはよく行われます。だから抽選クイズには「○の中にあてはまる文字は」というクイズが多く、しかも答えは企業名や新商品名、キャッチフレーズであることが極めて多いのです。
 プレミアムキャンペーンには応募方法からオープンとクローズドとの2種類があり、オープンは単にクイズに答えてハガキを出せばよいもの。賞金・賞品の上限は百万円までです。クローズドは空き袋3枚一口でとか、応募マークを貼ってとかいう商品購入が条件のもの。賞金・賞品の上限は、購入させる商品の価格が500円未満ならその20倍まで。5万円未満までなら1万円までの賞品を出せます。例えば1つ150円の商品の空き袋を3枚一口で、という場合の賞品の値段は、450円の20倍、9000円までのものです。また1つ200円の商品の空き袋3枚一口の場合は、600円の20倍は12000円ですから、1万円相当の賞品をプレゼントしています。また賞品の総額は、このキャンペーンで予想される売上げの2%までとなっています。この仕組みを知っていれば、応募方法からおのずと賞品の値段がわかるでしょ。
 抽選クイズの情報がいろいろと載っている雑誌「プレゼントマガジン」もありますので、抽選クイズマニアの方は参考にされるといいでしょう。

こうすれば当たる、抽選クイズのコツ

 抽選クイズは単純なハガキの抽選ですので、せいぜい目立つハガキを書くくらいがテクニックのようですが、なかなかどうして、当選しやすい方法があるものです。
 まず、先に述べたように抽選クイズはメーカーのマーケティング戦略ですので、メーカーの意図をよく汲み取ることです。メーカーは当然、自社の商品を売りたいがために抽選クイズをします。売るにはターゲット、つまり特に売りたい人の層があります。例えば婦人ブラウスの会社ならターゲットは中年男でなく女性です。目隠しをして厳正な抽選をしているのだろうけど、婦人ブラウス会社の抽選クイズなら、中年男よりもご婦人のほうがよく当たると思いませんか。特に海外旅行招待は、何日間かメーカーの担当者や他の当選者と一緒に過ごす特殊性があるので、抽選はより慎重になってるハズです。メーカーによっては仮当選書をまず送って、誓約書を書いてもらって始めて本当選としているところもあるくらいです。だからメーカー実施の抽選クイズは、メーカーの意図を読んで応募するのが当選率を高めるポイントです。
 次に抽選をする時期ですが、応募期間が終了したらセーノで全部のハガキをまとめて抽選するものと、1週間ごと、あるいは1ヵ月ごとに締切りを設け、抽選する場合とがあります。実は1週間ごとに抽選する抽選クイズが狙いです。最初の1週目は広告がそれほど浸透していないので、応募率が格段に低いのです。当選者数を下まわる場合もよくあるそうで、そのときは応募者全員が当選となります。だから日頃から広告をよく見て、あるいは売場にぶら下がっているメーカーのパンフレットなどをマメに貰ってきて、抽選クイズが始まったら迷わず即応募することです。逆にキャンペーン期間終了間近になると応募がグーンと増えますので、ハガキを出してもまず当たりません。
 さて、普通の人ならいい景品の抽選クイズに応募したいですよね。だから海外旅行やクルマが当たる抽選クイズは応募が殺到します。でも抽選クイズをよく見渡すと、なにを考えて決めたのかわからない賞品のものもあります。こういうのは当然応募数が少ないですから、当たる率が高くなります。また、空き袋などを送る場合、購入しなければならない商品の数も重要なファクターになります。例えばタンスに入れる防虫剤のような、いつもいつも使わない商品なのに空き袋を3枚も送らないと応募できないような抽選クイズは、応募期間が1年もあれば別ですが、たいてい3ヵ月くらいですので、応募率は当然少ないです。応募のために3袋買ってきて、全部一度に使う主婦はそういないでしょう。こういう思慮の浅いメーカーの抽選クイズがマニアの狙い目です。意外とこういう抽選クイズも多いので、「抽選クイズ」イコール「ものすごい数のハガキの抽選」イコール「当たるわけがない」と決めつけないで、よく研究して応募してみてください。

ハガキの大抽選会

 百枚程度の年賀状の整理にも手を焼くのに、何十万枚ものハガキが来る抽選クイズではどうやってハガキの整理や抽選をするのでしょうか。大きな箱にハガキをバラけて、目隠しして選ぶって? プールほどの箱が必要になりますよ。
 まず、都道府県別にハガキを分類してそれぞれ枚数を数えます。メーカーによっては地方営業所の管轄ごとに分類するときもあります。次に当選数をそれぞれの地区の応募数に応じた比率で配分し、地区ごとに抽選する方法が一般に行われています。何万枚ものハガキを一度に抽選するのはまず不可能ですので、このように地区ごとに小さく区分けして、統計的な数字に基づいて抽選するのです。
 例えばあるメーカーで、応募総数90736通、当選者数3000人の抽選クイズがあったとします。札幌支社管轄の応募数が2301通ならこの地区の当選者数は、
     3000人×(2301通÷90736通)の76.08人となります。
端数は他地区と調整します。
 しかし、海外旅行ご招待のような人気を呼ぶ抽選クイズなら、応募が何十万枚にもなり、地区ごとに分類しても相当な数になりますので、もっと細かく区分しなければとても抽選できません。
 そこで例えば40人を海外旅行に招待する抽選クイズに、三十万通の応募があったとしましょう。まずハガキを五千枚くらいずつに分けてミカン箱大の箱に入れ、それぞれの箱に番号をつけます。この場合には1から60の番号がついた箱が抽選会場に並びます。次に箱と同じだけの番号をふったカードを用意して、そのカードを目隠ししていくつか選びます。例えば10枚のカードを選んだとしましょう。このカードと同じ番号の箱のハガキだけを抽選の対象とするのです。この場合は全部で10の箱を選んだわけで、一つの箱から4通ずつ選ぶと、計40人の海外旅行当選者が決まりました。
 このように非常に多数の応募がある場合は、2段階に分けて抽選する方法がとられます。選ばれなかった箱に入れられてしまったハガキはかわいそうですが、よくよく考えると公平な抽選方法であることがおわかりになるハズ。
 大がかりな抽選会には、会場を埋めたハガキの他に、抽選クイズを実施したメーカーの幹部や広告担当者、警官や消費者代表の奥様方が立合人としてズラリと並び、なかなか壮観です。なお、抽選作業を実際に行うのはメーカーの社員ではなく、キャンペーンを請け負った広告代理店やDM業者、発送業者がするのが普通です。応募する側だけでなく、抽選する側にもノウハウが必要なのです。

とにかく答えよう、予選問題

 ハガキの抽選に通っても、それだけでテレビに出られる番組はまずありません。予選会の通知が、予選日の1〜3週間前には届きます。でもどうして予選なんてするのでしょうか。
 それは、多数の応募者の中から、番組にふさわしい、視聴者に喜んでもらえる人を選ぶためです。いやしくも公共の電波に乗って、その顔、その声、その姿が全国のお茶の間に流れるのですから、ある程度の基準というものがあるでしょう。それからクイズ番組なのですから、クイズにできる人に出てもらわないと番組が成り立ちません。いくらかわいい子でもニコニコしているだけで、どの問題にもパスしていたんじゃアクビが出てしまいます。
 だから予選では、おおむねクイズ問題を解いてもらい、その成績上位の人に対して面接をし、出場者を決定しています。
 予選会はたいてい土曜や日曜、休日などの参加しやすい日に、テレビ局の会議室やリハーサル室、近くの貸会議室などで行われます。受付に予選通知ハガキを出し、部屋に入ります。一日に3グループくらいにわけて予選をするのが普通で、遅いグループだと前のグループに「どんな問題が出たの?」なんて聞いてる人もいます。会場を見渡すと、テレビでおなじみのクイズマニアの姿もあるでしょう。こういうときは遠くから眺めてないで、「○○さんですね。ぼくずっと応援してるんですよ。お強いですね」とべんちゃらを言うと、言われたクイズマニアはいい気になって、いろいろ教えてくれますから、うまく取り入って仲間になることです。
 プロフィール表を渡されるので、席に着いたらまずこれに取り組みます。時間になるとスタッフが入ってきて挨拶ののち、ペーパーテストになります。これは20〜30問の問題を解くもので、問題はテープもしくはスタッフが読みあげ、解答用紙には氏名の他、答えだけを書きます。問題のレベルは、本番より多少高めに設定されています。時事問題もでますので、ここ2週間くらいの新聞や雑誌にはよく目を通しておきましょう。考える時間は10秒程度。答えを書くときはペンの音を、めいっぱいたてて書きます。まわりの人が「あいつはデキテル」とあせるようにです。なお、答えの漢字がわからなければ、ひらがなで書いて構いません。また、答えがわからなくても、なにか適当に書くこと。白紙なら得点にならないけど、適当でも書いてあれば、万一マグレで当たることだってあるでしょ。これは大事なことです。
 問題が終わると解答用紙を回収し、スタッフは即座に採点に移ります。普通の人なら半分くらいしかできてないはずですが、合格するには7割の正答は必要です。採点の結果上位の人の名が呼ばれますが、呼ばれる人はほんの一握り、全体の1〜2割にすぎません。その後かれらを対象に面接が行われます。
 一方、ヤマカンクイズなどは、得点に関係なく全員に面接をする場合が殆どです。

面接は明るく楽しく

 面接をするのは担当プロデューサーやディレクター、放送作家などです。とっつきにくいクライしぐさ、髪はボサボサ、脂ぎった顔のメガネの奥の鋭い目、季節のわりには厚手のセーター、下は色あせたジーンズ……面接官はこれらいずれかに必ず該当しています。
 知識クイズとヤマカンクイズでは面接の趣旨が違います。まず知識クイズの面接は補足的なものです。あくまでクイズのできる人を主体として選んでいるからです。それでも明るさは必要です。陰鬱な人だったらそれを見ているお茶の間の人だって鬱陶しくなります。それに、声が小さかったり、返事がはっきりしない人もいけません。答えても何を言っているのかわからないような人じゃ、番組が盛り上がらないでしょう。「明るく楽しくハキハキと」。これはどこの世界にも共通している選ばれる要因です。
 次にヤマカンクイズは出場者のキャラクターを重視しますので、クイズにできることよりも、どう答えるか、どう間違えるかのタレント性がポイントになります。たいてい「自己紹介してください」と言われますから、予選の前に何をどう言うか、練習してから臨むことです。その話題は自慢話よりは失敗談、趣味はゴルフやテニスと言ったありふれたことよりも、手相占いをするとか、日曜のたびにインスタントラーメンを作るといったような、おもしろいほうがいいに決まってます。隠し芸などは実演を求められます。番組で司会者が出場者の紹介をするときに、話題としてうまく利用できることがらを言ったりしたりするのがテクニックです。但し、やりすぎはかえってマイナスです。また、無芸でも悲観するには及びません。大きな声でゆっくりと、時にはジェスチャーも交えて話せばいいのです。
 ひととおり自己紹介が終わると、スタッフがプロフィール表に書いてある内容をもとに質問をします。この質問にハイ・イイエで答えるのはコンピュータの2進法。単純に答えるのではなく、答えをふくらませて楽しく表現します。なにしろ、番組中に司会者から簡単なインタビューがあるでしょう。これに「えー」とか「まー」とか言ってるだけじゃ、まだるっこい。相手の意を汲んで、上手に表現できるキャラクターを求めているのです。
 また、自分をよく見せようという気取りはダメ。バカさをさらけだして、ピエロになるくらいのサービス精神が欲しいものです。要するに、テレビを見ていると楽しい人っていますよね。あなたがその人になればいいのです。
 それからペアでするクイズの場合、男同士のペアはいけませんナ。女同士か男女のカップルで参加しないと絵になりません。カップルだったら「サークルの友達でーす」なんてのより、「親も認める恋人同士」のようなカゲキなほうがウケます。テレビってタレントが食事をしていただけで「スワ、婚約!」ってなるメディアでしょ。うまく乗せてあげましょう。

予選プロフィール表とは

 プロフィール表は身上書のようなものです。その内容と書き方のポイントは、おおむね次のとおりです。
*写真……事前に撮って貼りつけておく場合と、当日ポラロイドで撮る場合とがあります。
*氏名・住所……当然必要ですね。住所はアパートの棟・号番号までもらさずに書きます。近 々引越を予定しているなら、実家などの連絡のつく場所も記入しておきます。
*性別・未婚か既婚か……名前によっては男女区別のつかない名がありますから。
*生年月日・年齢・出身地……対戦者とのバランスを考えるのに必要です。
*電話番号……出場の連絡が電話の場合もあります。自宅と勤務先・帰省先それぞれを書くよ うになっています。どの番号は何時までOKか、それも明記しておきます。
*職業・勤務先名……珍しい職業の人ならそれだけで出られるかも。
*学校名……学生さんは学科や学年、専攻も書いておきます。
*テレビ番組の出場経験……「○○クイズで優勝した」「のど自慢で鐘が2つ鳴った」と、詳 しく書くべきなのでしょうが、あまりテレビに出ていると、視聴者参加番組には出してもら えないとする言い伝えがあるのも事実です。ホドホドに。

*出場不可能日……録画日基準で考えてください。長期の出張や試験が予定されているなら、書いておきましょう。この時期をはずしてくれます。
*趣味・好きな音楽・得意なジャンル・最近見た映画や読んだ本……わざと逆のことを書く人もいますが、スタッフは答えてもらおうとしているのです。見たばかりの映画のタイトルを尋ねる問題を意外と出してくれたりしますので、ひととおり書いておきましょう。
*応募した理由……海外旅行に行きたいから、子供の世話で疲れているので気分転換に、グァムで好きな釣りをしたい、田舎のおばあちゃんに元気な姿を見せたいから、賞金でクルマを買って彼女とドライブに行きたい、などいろいろ理由はつけられますね。
*自己PR……面接および応募理由と同様ここが一番の苦心のしどころです。せっかくテレビに出るのですから、自分のセールスポイントをおもしろく書いてみましょう。学校や会社で賞をもらった、珍芸ができる、戦後発行された切手は全部持っている、クイズ番組に10勝している、大学で失恋研究会に入っている、新婚旅行で国鉄全線完乗した、99歳になるおじいさんがいるなどなど、どんな凡人でもなにか他人の興味をひかせるものがあるはずです。
*番組に対する意見……単純におもしろい、よく見てますと書くより、ルールをこうしたらとかいう提案や、番組のキャッチフレーズを考えてあげるとかしたらどうでしょうか。
*スタッフのメモ欄……ここには記入しないでください。と書いてあるはずです。

隠れた景品

 クイズ番組では豪華な賞品が優勝者や参加者に手渡されるシーンはつきもの。でもテレビには映らない景品もあるのです。それは、予選会の時に交通費がわりに渡される簡単な記念品。豪華とはいえないけれど、クイズに出た人でないと貰えない、人気クイズ番組のネーム入りの“ブランド品”ですから、友達にミエを張れますぞ。いつも同じものとは限りませんが、一般的なものをリストアップしてみました。

○クイズタイムショック
 番組名を刺繍した野球帽、手提げバッグ、デジタル腕時計、トレーナー、Tシャツなどのう ちから一つ
○アップダウンクイズ
 ボールペン(黒一色)
○パネルクイズアタック25
 手提げバッグ
○世界一周・双六ゲーム
 ボールペン
○クイズ・ミスターロンリー
 ウォレット(サイフ)
○クイズ・100人に聞きました
 シャツの形をした手提げバッグ
○100万円クイズハンター
 ボールペン
○三枝の国盗りゲーム
 緑色の水性ボールペン、ノート
○クイズダービー
 はらたいらのイラストのTシャツ
○アメリカ横断ウルトラクイズ
 番組ロゴの入ったTシャツ(成田空港へ行けた人のみ)
 コンチネンタル航空の旅行バッグ(海外脱出をはかれた人のみ)
○クイズグランプリ
 なにもなかったなぁ


クイズDEナ・ン・パ

 クイズマニアはネクラだとか、女にもてないとか、そういう説もあるけど、クイズでナンパするのは意外とカンタンです。ま、まっかせなさい。
 一番てっとりばやいのは、予選会場などで、
「ネェネェ、キミ、クイズ出たいの? ぼくと一緒にクイズやらない。クイズの本もいっぱい持ってるし、クイズに強い人も知ってるよ」
と声をかけることでしょう。相手が、
「えー、うそー。凄いんですねー。わたしにも教えてくれますかー」と言った場合は脈あり。全身を下心にしてお待ちください。
「へー、ほー、そーれーでー」と言った場合は救いようがありませんので、それ以上声をかけないでください。
 まず極力明るく声を掛けておき、予選終了後、会場近くの喫茶店などに誘い込みます。東京予選でしたら、アップダウンクイズなら銀座のレカン洋菓子店、クイズタイムショックなら六本木WAVE内のレインツリー、パネルクイズアタック25なら芝の東京プリンスホテル増上寺寄りのレストランビラ、日本テレビなら四番町別館1階のトレビの泉、TBSのヤマカンクイズなら向かいのアマンドがいいでしょう。ここではまず、予選問題を次々に解いてみせることです。わからない問題も当然あるはずですから、会場を出る前に、百科事典を持っている友達の家に電話をして調べさせます。友達には礼として記念品で貰ったボールペンをやると喜ぶでしょう。そして彼女には「この人は本当にクイズに強いのね」と思い込ませると同時に、丁寧に解説してあげることにより、やさしい人だとの印象をうえつけるようにするのです。
 予選問題の模範解答が終わってまわりを見渡すと、近頃は大抵外人がいますから、次は彼等をサカナにして海外の話をしましょう。そして、
「キミはパリの街に似合う人だ」とか「そのバッグいいね。ローマで買ったの?」とか、クイズでめざす海外を話題にした歯の浮いたお世辞を言うのです。だいだいクイズに出ようなんて女の子は、見栄っ張りで自己顕示欲が強いのですから、こういうセリフにも感動してしまうのです。さらに「こないだ行ったニューヨークでは……」とか「渡辺淳一の小説の一節に……」とか、ちょっとハデなことを口からでまかせに言って反応を見ます。「それは違うんじゃありません?」などと抵抗したら、本当に学がある女ですから、いいお友達でいましょうね。いいかげんな話にカンシンするような女の子なら、胸や腰のラインを観察しておきましょう。
 とりあえず、電話番号や学校名や親と同居かなどを聞いて別れます。予選の合否が判るまで2週間くらいはかかりますので、その通知が来る前が最初の勝負時です。電話で、
「予選レベルが高かったね。どうもぼくは落ちたようだ」と、がっかりして見せます。これで母性本能をくすぐり、
「気晴らしに、ドライブでも行こう」とデートに誘うのです。えっ、クルマが無いって?。今やクルマが無くてナンパはできません。レンタカーのソアラでも借りなさい。
 さて、ドライブ先は埼玉県よりも湘南がいいでしょう。都内からですとスタートは夕方をお勧め。その理由はあとでわかります。鎌倉稲村ヶ崎のレストラン「メイン」へクルマをつけ、窓際の席へ。ここは手頃な値段の割に、雰囲気がいいのです。夕日の沈む江ノ島が背景となり、彼女はうっとりとします。あなたの顔はシルエットとなり、凛々しく見えます。
「今度はキミをハワイに連れていくよ。ぼくと一緒にがんばろう」とかいうセリフもフィットすることでしょう。
 夕方に都内を出たおかげで、食事が終わる頃にはすでに周囲は暗くなっていますから、誰もいない海岸へと歩いていきます。もうここまで来ればなにかしらの会話はできるでしょう。クイズの会話はしないことです。周りにはカップルもチラホラしていますから、恥じらいも消えてしまいます。波の音だけが聞こえます。風に彼女の髪がなびいて、あなたは彼女の香りに包まれます。いまこそアタックチャンスです。
「はじめて、逢った、ときから、好き、だったんだ……」
と、耳元で囁き、キスをしましょう。
 これでキスを拒むようだったら、さっき食べたアメリカンステーキのガーリックが効きすぎていたに違いありません。早押しボタンで鍛えた指で胸のボタンをはずそうとするのは、ここではまだ早いでしょう。
 さて、そろそろ次のカップルのためにクルマを動かしてやります。
 問題はこのあとです。第3京浜三ツ沢出口付近に施設もありますし、横浜のザ・ホテルヨコハマの海側の部屋で夜明けのコーヒーを味わう手もありますが、今日はこのまま家まで送ってあげます。誠実な面を見せておくことです。とにかく、最初はあせらないほうが無難です。
 しばらくして予選の合否通知がきますから、これをダシに再び彼女と逢う寸法です。もうキスまでしているので、合格していたらお祝いに、不合格なら残念会にと、どっちを理由にしても目的は達せられるでしょう。夕方、代官山ヒルサイドテラスのパッションで食事のあと、タクシーで六本木へ飲みに行くふりをして六本木プリンスホテルへ入るのが、必然性がありそうです。タクシーの中では、「毎晩調べものをしてたので、疲れちゃった。休みたいな」というセリフが有効でしょう。はやる下心を押さえるあなたは、優勝目前の心境に似ているはずです。 しかし、最後に最大の問題があります。それはクイズをやる女の子の中に、ナンパしてみたくなるような子が果たしているかということです。


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