6■勉強篇

ここから先を読んだら、
本当のクイズマニアになっちゃう、
お勉強コーナー。





クイズにはクイズの道がある

 クイズ番組で次々に勝ち抜いているクイズマニアを見て、「なんてこの人は頭がいいんだろう」と感心する人も多いようですが、かれらはクイズ専門の勉強をして番組に臨んでいるのです。クイズに勝つためにわざわざ勉強するなんて、ネクラのイメージがつきまといますが、クイズは知識量を競うゲームです。そう、百人一首が上の句を聞いて即座に下の句の札を取るゲームであるように、クイズは問題のフレーズを聞いて即座に答えるゲームなのです。それに、一般的にクイズはテレビの番組という「ショー」の構成要素ですから、普段の生活に必要な知識だけでなく、クイズならではの話題の取り上げ方や、普通の考えとはちょっと変わった知識もいるんです。だからクイズに勝つにはそれ相当の知識を仕入れてなければなりません。
 さて、それではクイズの勉強にはどんな方法があるのでしょうか。ジャズダンスやゴルフやテニスだって当然、上達するためのカリキュラムがありますね。そこでこれから、クイズに勝つためにクイズの練習をしてみませんか。とにかく、いろいろなジャンルからの問題に、次々に答えていくってことは、やはりクイズ専門のエクササイズを積まなくてはできることではありません。ま、今現在の自分の知識量を試すつもりで出る人も中にはいますが、決していい成績をあげられないでしょう。
 例えば、次の問題はクイズ番組でよく出題されているものです。おわかりになりますか?

  1. スエズ運河開通を記念して作られた、ベルディの歌劇は。

  2. ロリコンの語源となった「ロリータ」の作者は。

  3. 都道府県名に使われている数字を表す漢字で、もっとも数の大きいものは。

  4. 官製ハガキの縦の長さは14.8cm、では横の長さは。

答え、 1.アイーダ  2.ナボコフ  3.京都府の京  4.10cm)

 どうです、音楽や文学など、それぞれの分野に強い人でも、こんな問題にはちょっとてこずったのではないでしょうか。できた人はすでにクイズの勉強をしていますね。実はこれらは、ぼくでさえもクイズ以外ではお目にかかったことのない、普通の暮らしをしていてはほとんど知りうることのない、あるいは関心を示さない話題なのです。クイズ番組にはそんな問題がよくでます。または日常の暮らしの盲点を突くような問題もでます。しかも、あらゆる分野から出題されるのです。そうです、クイズにはクイズならではの思考があるのです。
 クイズで勝つために、クイズのエクササイズを始めましょう。

クイズのエクササイズ、オリエンテーション

 この講座は、単にクイズに興味を持っている人がよりクイズ番組を楽しむためのものから、本格的にクイズ番組に優勝したいという人のためまで、順を追って全部で10にわけてあります。各講座は簡単に記しているものから、小項目まで詳しく書いてあるものまで様々ですが、詳しく書いてある部分ほど、クイズ優勝を目指している人にとって有益な部分のはずです。
 実際、こんなことをクイズマニアがやっているのか、疑問に思われるかもしれませんが、有名クイズマニアはみんな似たようなことをしています。

1.とにかくクイズ番組を見る
2.ビデオで見る
3.ルールを覚える
4.クイズの本で知識を仕入れる
5.わからない問題をメモる
6.早押ししながら見る
7.スコアをつける
8.出題傾向をつかむ
9.事前に出題を予想して調べる
10.自分で問題を作る

 この10のポイントをひとつひとつ実行していくと、必ずクイズでいい成績をあげられるようになります。いやになって途中で辞めても、文句をいう人はどこにもいませんので安心してください。要するに、クイズの楽しみ方の度合をより広げるんだ、といった気楽な気持ちでやっていただくといいでしょう。
 でも、ここでひとつ、誤解のないようにしておきますが、これらは大学生や社会人のためのエクササイズです。小学・中学・高校生の読者の方は、普段の学校の勉強をキチンとしてさえいれば、クイズはこわくありません。そのわけは、大人が出る通常の番組でさえも、問題のレベルはだいたい中学生を基準にして作っているからです。しかも、小・中学生大会や高校生大会では、当然みなさんに合ったレベルで出題されます。学校の勉強をおろそかにして、成長期にヘンにクイズの勉強ばかりしていると、ヘンな人になってしまいますよ。
 では、具体的に解説しましょう。

エクササイズ1 とにかくクイズ番組を見る

 見てもいない番組に出るのはいくらなんでもムチャ。第一、ルールも出題傾向もあったもんじゃない。ただ、最初は熱心に見る必要はありません。ゴロリと横になって、食事をしながら、チラリチラリと見るだけでも結構です。つまり、自分をクイズのある環境に置くのです。
 こうして見ていくうちにクイズ番組のファンになれば、自然とクイズ番組の雰囲気がつかめてきます。そして「この問題は先日の新聞記事にあった」「ずいぶん女の子にエコヒイキする司会者だな」「今日の優勝者はよくクイズ番組にでている人ね」「この程度のクイズならわたしにもできそうだわ」などと考えながら見るようになるでしょう。
 こうなればシメタものです。いつの間にかあなたは、いっぱしのクイズ通になっています。 さあ、出場してみたくなったら、迷わずハガキを出しましょう。
 実はこの「テレビのクイズ番組を見る」ことが一番の勉強なのです。このあとの項目には、新聞やクイズの本から知識を得る方法がクドクド出てきますが、それ以上にクイズ番組を見るほうが有効です。なにしろたくさんの問題が手を換え品を換え、毎日のように出題されているのですから。

エクササイズ2 ビデオで見る

■ビデオは必需品
 クイズの出場が決まったり、クイズを見ないとその日がクラーイ一日になってしまうほどのクイズ中毒患者になったのなら、ビデオの購入をお勧めします。ビデオの普及率は、ちまたでは30%台だそうですが、クイズマニアの間では120%を越えています。つまり、持ってない人はなく、一人で2台3台と持っている人が多いのです。クイズマニアがみんなビデオを持っている理由の第一は、自分が出た栄光のシーンを長く保存しておきたいからです。
 ぼくが最初のビデオを買ったのは、クイズタイムショックに勝ち抜いている77年夏のことでした。当時は学生で、しかもビデオは高級品。1台25万円はするので、簡単に手はでませんでした。でも、クイズタイムショックで優勝すれば賞金が入るし、自分の姿をとどめておきたかったから、おもいきって買ってしまいました。その後クイズタイムショックに優勝。ビデオ代も払えて、自分の優勝シーンは今でも見れるし、ビデオは最高の機械です。
 ビデオのメリットはまだあります。クイズのカンは、常にクイズに身をさらしていないと養われません。しかし、デートもするだろうし、勉強や仕事もあるから、いつでも必ずクイズ番組を見れるわけでもないでしょう。ビデオならタイマーを利用して、いついかなる時でも番組を録画してくれます。そして、繰り返し番組を見て、じっくり研究できるのです。

■ビデオライブラリーを活かす
 自分が出た番組は録画しても、他人が出ている通常のクイズ番組は一度見たら消してしまうのが普通です。でもクイズ番組を欠かさず録画すると、大変な戦略兵器になることも知りました。
 板橋区の自営業、大木一美さんは80年ごろから有力クイズ番組を欠かさず録画。クイズのビデオだけで約300巻持っており、クイズグランプリのような終了してしまった番組のビデオもあります。クイズタイムショックは何百回記念といった特番の際、過去の百万円獲得シーンのビデオを大木さんから借りたほどです。テレビ局ではクイズ番組のビデオテープはほとんど保存していないので、クイズ番組のライブラリーに関しては日本一のはずです。
 さて、クイズ問題は同じようなものが繰り返し出題される場合が極めて多いのです。だから9月にアップダウンクイズ出場が決まったとしたら、1年前・2年前・3年前……の同番組の9月放送分のビデオをひっぱり出して再生してみるのです。特に季節や行事にちなんだ問題なら、同じ問題が再び出題される可能性が高いでしょう。
 あるいは、対戦相手がすでに他の番組に出場しているのなら、その番組を再生してみて、相手の得意不得意を前もってさぐることだってできるのです。
 ぼくは大木さんに影響され、82年から有力番組をすべて録画するようになりました。今や、毎週、惰性で録画しています。(注、貸し出し・複写などのサービスは一切行えません)
 ビデオのクイズへの利用法はまだあります。先行投資とみれば、安いものですよ。

エクササイズ3 ルールを覚える

 クイズで大事なのは単に知識量を競うことだけではありません。すべてのスポーツがそうであるように、クイズにもまたルールが存在します。単に問題に答えるだけでなく、どこかひとひねりしてあり、それがまた番組を盛り上げているのです。
 アタックチャンス、シルエットクイズ、シンクロクイズ、がっくり都市、転送、ゴールデンハンマーなどの用語、挑戦者とチャンピオンの得点がどうであれば勝ち抜けるかといったルール、これらは充分理解しておく必要があります。本番直前にスタッフからルールの説明がありますが、これを聞いて初めて納得するようじゃ、優勝はおぼつかないですね。ルールをうまく利用して勝ち抜ける場合もありますから、番組をよく見てルールを覚えてください。

エクササイズ4 クイズの本で知識を得る

 テレビ番組のシナリオが、そこそこに売れているそうですが、クイズ番組の本、あるいはクイズ問題ばかりが載っている本も出版されています。あるいは、ここ数年大流行した雑学をテーマにした本も多数でています。これらの本は問題や話題が整理されて掲載されており、効率よくクイズ問題を覚えるにはもってこい。友達同士でクイズごっこをするのにも便利です。リストアップしてみますが、中には絶版となったものもあります。どうしても欲しい場合は版元に問い合わせるか、古書店を丹念に捜してください。

■クイズ問題の本
クイズグランプリ 第1集〜第5集(サンケイ出版)−−−−絶対お勧め
クイズグランプリで出題された問題を社会・科学・文学歴史・芸能音楽・スポーツ・ノンセクションのジャンル別に掲載。問題の要素が短いセンテンスに凝縮されているため、問題を暗記するには最適。いわゆるクイズ問題らしいクイズ問題は、このシリーズですべてがわかる。有名なクイズマニアはみんなこの本で勉強しており、中には全八千五百題をすべて暗記している人や、答えを聞いただけで問題がわかるまで読み込んでいる人も。ぼくは、問題を妹に読んでもらい答える、という練習を繰り返しやった。そしてできなかった問題には×印をつけていったが、できない問題は何度やってもできず、×印がいくつもになってしまった。

アップダウンクイズ(二見書房)
番組15周年を記念して出版された。放送開始時の問題や15周年記念全国大会での難問、あるいは季節にちなんだ問題の特集を載せるなど、構成に苦心が見られる。また、番組のエピソードなどの読物もあり楽しい。

クイズタイムショック 第1集〜第4集(テレビ朝日)
同番組を手掛けている放送作家、多村映美氏が書いている、かなりクセのある本。1集は読物ばかりで、クイズ問題の練習には役に立ちそうもない。2〜4集は問題が多数掲載されている。

クイズ・100人に聞きました (朝日ソノラマ)
同番組で出題された、さまざまな問題が網羅されている。掲載されているのと同じ問題が出場時に再び出題されたとしても、データが変わっているのだろうから、答えは当てはまらないはずだ。しかし、いろんな人のいろんなものの考え方、とらえ方がわかるので、読んでいて興味深かった。友達同士で雑談しながら出題しあうとおもしろいだろう。

アメリカ横断ウルトラクイズ 第1集〜第8集(日本テレビ)
同番組で放送された問題を出題順に掲載。出題されても放送時間の都合でカットされた問題は載ってないのが残念。機内三択クイズ以外は解答に解説がついているのがとても良い。機内のクイズは、やっているときは夢中だが、冷静な時に本で読みかえしてみると、随分簡単な問題も出題されていることがわかる。

全国高等学校クイズ選手権 第1集〜第3集(日本テレビ)
いわゆる高校生ウルトラクイズで出題された問題を出題順に掲載。高校生用のクイズとはいってもレベルはかなり高い。なかには、いたいけな高校生を単に興奮させるだけの問題もあるようです。

ホントにホント? 第1集〜第12集(日本放送出版協会) −−−−絶対お勧め
NHKで放送されていた「ホントにホント?」から、へぇー、ナルホドと感心してしまうような精選した問題を掲載。81年に「雑学おもしろ読本(日本社)」という本が大ベストセラーになり、テレビ・出版界に雑学ブームをまきおこしたが、「雑学おもしろ読本」に載っている話題の大部分は、この本からデータまでそっくり拝借したものである。

パネルクイズアタック25(大泉書店)

クイズ面白ゼミナール(日本放送出版協会・講談社)−−−−ぜひ、お勧め
同番組を紙上で再現。クイズの答えのみならず、どうしてそうなのかといった解説が充実しているのが良い。

常識クイズ・新常識クイズ(永岡書店)
二択・三択式の問題が多いが、よくまとまっている。しかし、内容がもう古くなっているので、読みづらいかもしれない。

クイズ3週間総仕上げ 荒井 央 (三恵書房)
筆者はクイズマニアが嵩じてクイズ作家になってしまった人。ぼくらの仲間では残念ながら彼を知る者はいないので、かなり昔に活躍された方と思う。クイズ番組に出る3週間前からこの本のクイズをやっておけば、バッチリ勝てるという内容。

各種就職試験用問題集(法文社など各社)
特にマスコミ用の問題集はいかにもクイズ。

 このほかにも子供向けの分厚い文庫サイズのシリーズの中に、クイズ関係のものが多く含まれています。また、一般向けの新書判にも、クイズについての本は数多くありますが、枚挙にいとまがないので、割愛させていただきます。

■雑学の本
 クイズ番組問題集のほかにもクイズに役立つ本は多数あります。これらを略してクイ本(くいぼん)と言いますが、会社社長の森田敬和君は、この種の蔵書約200冊というクイズ本収集の第一人者で、彼のマンションはクイズの本が散らかり、床を見た者がいないほど。子供用の物知り事典から、絶版になった本や雑誌のコピーまでなんでもあります。
「暇をみてはひたすら歩き廻り、本だけでなく、クイズのレコードやカセットまで、役に立ちそうなものを集めているんだよ」
という敬和君に、問題集以外のクイズに役立つ本を紹介してもらいました。これらはなにも、クイズ用として書かれたわけではありませんので、クイズ以外にも活用できます。

雑学おもしろ読本(日本社)
雑学話のタネ本(日経通信社)
雑学のタネ本(永岡書店)
大人のウンチク読本(実業之日本社)
おもしろ教室なるほど百科(学校図書)
もうひとつ利口になる雑学事典(梧桐書院)
ことばの知識百科(主婦と生活社)
生活の雑学大事典(主婦と生活社)
ちょっとシャレた話のタネ本(ダイヤモンド社)
雑学おもしろ百科(角川文庫)
雑学事典シリーズ各種(毎日新聞社)


これ以外にも、○○雑学事典・○○雑学百科と名のつく本がいっぱいあるのだが、とりあえずこのくらいに。これらの本の大部分は、例えば「Q.ずいずいずっころばしの唄にある、“とっぴんしゃん”とは何のこと。A.戸をピシャンと閉める音……」といったQ&A式の構成。なお、おもしろい話題がいろいろ載っているが、クイズ作家に言わせれば、雑学本の内容はいいかげんなものが多く、とてもそのままではテレビで放送できない不確定なものが平気で載っている、とか。

三六五日事典(社会思想社)−−−−絶対必要
パネルクイズアタック25のアタックチャンスやアップダウンクイズには、よく放送日にちなんだ問題、例えば放送日が8月18日なら「1227年8月18日、蒼い狼と呼ばれたモンゴルの英雄が亡くなっています。誰でしょう」といったのがよく出題される。この事典は○○年のこの日に何が起きたかと、年表とは逆に日付けから事件を引ける本。このほかにも、
史話366(TBSブリタニカ)
カレンダー日本史(岩波ジュニア新書)

などがあり、放送日や季節にちなんだ問題に答えるためには、なくてはならない本である。
日本史こぼれ話(角川文庫)
世界史こぼれ話(角川文庫)

歴史上の人物のおもしろいエピソードを紹介。

人名事典(各社)
なるべく写真が豊富に載っている本をお勧め。

名数事典(大泉書店)
三大○○、六歌仙といった数にちなんだあらゆることのわかる本。

故事名言由来ことわざ総解説(自由国民社)
ことわざや古くからのいいまわしは、これ1冊でほとんどOK。

現代用語の基礎知識(自由国民社)
読んで知識を仕入れる事典にも、わからないことをすぐに調べられる事典にも、どちらにも使える。最新版を用意しておきたい。

カラーブックス各巻(保育社)
1冊ごとにテーマが決まっており、不得意ジャンルの強化に便利。例えば男性なら「茶道」とか「着物」とかいった巻を読んでおけば、その種の問題に一通り答えられるようになる。
 これ以外にも、世に出ているありとあらゆる本がクイズのタネ本になるといっても過言ではありません。書店に足しげく通い、クイズのネタに使われそう本を捜してください。

エクササイズ5 わからない問題をメモる

■クイズ問題は繰り返される 
 クイズ番組を熱心に見ていると、以前出題された問題が再び出題されていたり、パネルクイズアタック25で出題された問題が、その夜のアップダウンクイズでも出題された、なんてのに気づくこともあります。先にも書いたように、クイズ問題は中学生レベルを基準に作っているので、一定の傾向を維持するには、どうしても同じような問題になってしまいがちなのです。クイズ作家に言わせれば、「答えてくれるならいくらでも難しくする」そうですが、難しくすると視聴者の方が「この番組はなにがなんだかわからない」となり、チャンネルを変えられてしまうので、そのレベルはくずせないとか。
 だから、クイズ問題は無限に作れるとはいえ、番組で出題される問題にはある程度の限界があり、同じ問題が繰り返し出題されている、と考えて差し支えありません。となると、番組を見て「えーっと、この答えはなんだっけ」と悩んでいるその問題が、出場したときに再び出題されるかもしれないのですよ。

■ノートをとる
 ぼくは普段、わからない問題、頻出問題などをノートにメモしながら番組を見ていました。ノートはいわゆる大学ノート。将来、ジャンル別や難易度別に分類するつもりでもあるなら、バインダー式のも便利でしょう。見開きの右ページにはクイズ番組で出題された問題や、自作の問題をメモし、左ページには新聞や雑誌のクイズになりそうな記事の切り抜きを貼った「クイズノート」を作っていました。問題を「書く」ことによって覚え、さらに再び「見返す」ことでまた覚えることができ、ノート作りもぜひお勧めします。

■ワープロの利用も
 さて、今ぼくは問題メモにワードプロセッサを利用しています。ワープロは文章の挿入・移動・削除などが簡単にでき、印刷すればいつでも鮮明。さらに問題文を並べ換えたり、あるジャンルの問題だけを出力したり、特定の語句の検索もできます。
 検索機能を使えば、例えば、夏目漱石について過去にどういう問題が出されたかを知りたい時、ワープロに「入力してある問題文中から夏目漱石を捜せ」と命令してやると、お利口にも「夏目漱石」を捜してくれるわけ。また、出場者のデータも入力しておけば、対戦相手研究にも役立つでしょう。ビデオやワープロなどの文明の利器も、りっぱにクイズに応用できるのです。

■カードも役立つ
 問題メモのほかにクイズによく出題される事柄をカード化するのもいい方法です。例えば、「アメリカンフットボールは1チーム何名?」という問題が出たなら、野球は、水球は、バレーボールは、ラグビーは、ハンドボールは、と次々に同様の問題が作れますね。そこでB6カード(文具店で売っている)1枚に1項目ずつ、こういうクイズ問題になりやすい事柄のデータを記入していきます。上部に「スポーツチームの人数」という具合に見出しを入れ、メモした日付も書いておきます。カードは自分なりに分類してバインダーに綴じておけば、スタジオなどへの持ち運びも楽だし、クイズ用事典の体裁も果たすでしょう。 このカードには問題データだけでなく、クイズ番組のデータ、すなわち予選ハガキや予選問題、出場依頼通知、スタッフの性質などもメモしておけば、かなり強力なデータバンクになります。
 B6カードよりも小振りな図書カード大のカードを利用している人もいますが、こちらの方が携帯には便利です。知識を自分なりに整理できるよう、ノートとカードをうまく使いわけてください。

エクササイズ6 早押ししながら見る

■早押しはクイズの醍醐味
 「クイズ番組を見ていると8割方は解答できるんですがね、でる気はないですが……」なんてお父さんにときどきお目にかかります。でる気がないのは結構ですが、でたところで8割なんてできやしない。3割がいいところでしょう。なぜならクイズには千分の一秒を争う早押しがあるのです。答えがいくらわかっていても、相手より先にボタンを押して解答権を得なければ得点になりません。知識があれば優勝できるほどクイズはカンタンではないのです。
 最近のクイズ番組は早押しをしないものも多いですが、クイズの醍醐味はやっぱり早押しにあります。問題のポイントをいちはやくつかみ、人より早くボタンを押し、正解した瞬間の心地好さは出場した人でないとわからないでしょう。そこでクイズに出るつもりでクイズ番組を見ているなら、テレビの出場者と同じように、早押しをしながら見るべきです。
 あなたはクイズ番組を見ています。問題が出ます。
「シェイクスピアの悲劇リア王で、ただひとりリア王に親切だった、3番目の娘の名はなんでしょう」
 テレビを見ながらボタンに見立てたもの、机でも膝でもなんでも構いません。適当なものを答えがわかったところでポン!とたたいてください。テレビの解答者が押したピンポーンが早かったらあなたの負け。あなたのボコッが早ければあなたの得点です。たぶん「3番目の」のあたりでテレビではピンポーンとボタンを押すのではないでしょうか。「親切だった」のあたりで押せれば合格です。(答えはコーデリア)
 テレビを見ながら机などをボタンに見立ててたたく勉強法を「発明」した当時、「オレも本当にビョーキだなあ」となさけなくなったものでしたが、その後いろいろなクイズマニアの方と知り合ってみると、みんな指を動かしながらテレビを見ていたので安心しました。

■ビデオのリモコンを使う
 机や膝じゃ雰囲気がでないという方にはとっておきの方法があります。再びビデオの登場です。ビデオのリモコンスイッチに「一時停止/静止」がありますが、このボタンを早押しのボタンに見立てるのです。つまりクイズ番組をまず録画。この時は見ないでおきます。録画終了後再生し、ビデオと一緒にクイズをして、答えが分かったところでリモコンボタンを押す。あなたの方が早ければ画面が停止するだけ。テレビの方が早ければピンポーンの音が聞こえる、というわけ。この方法なら判定がかなり正確にできるし、いかにも早押しボタンを押している雰囲気がでます。 ビデオの一時停止ボタンなら、世界一周・双六ゲームの電子サイコロをストップさせるのにも応用できますが、ビデオの機種によっては、画面が美しい状態で停まるように、ボタンを押してから少しテープが先に進むものがあるので、機種によるクセをよくのみこんでください。
 これをやりすぎてビデオのリモコンボタンを壊し、修理にいった電器屋さんに「これは壊れることはないんですがねー」と不思議がられたマニアもいるくらいです。

■自作の早押し機も登場
 しかし、友達同士で遊んだり練習するのにはビデオは不向きです。かといってわかったら手を挙げるのも原始的。判定が曖昧になり、喧嘩のもとにもなりかねません。
 そこでついに、ぼくらの仲間では早押し機械を作ってしまいました。みんなで金を出し合い、電気メーカーに勤めている仲間が組み立てたのです。この機械は最高8人までが同時に遊べ、本物の早押し機と同じく千分の一秒までの差を判定できるスグレもの。過去のクイズ番組のビデオを見ながら、みんなで早押しして対戦する姿はなかなか壮観です。しかもぼくらの仲間はあちこちのクイズ番組で優勝している者ばかりだから、ビデオに出ている一般の人たちよりレベルが高く、順番待ちしている仲間から、テレビよりこっちの方が凄いと言われました。
 こうして早押ししながら番組を見ていると知識を増やすだけでなく、早押しが実戦でいかに大事かかってくるし、問題文のどこでボタンを押せばいいのかタイミングもつかめて、ボタンの差で勝ち抜くこともできるのです。
 この早押し機、いまでは各大学のクイズ研究会にもあるそうですが、元祖はやっぱり我々のグループではないでしょうか。

■つねにボタンに指をかけておく
 ボタン押しのコツは、つねにボタンに指をかけておくこと。テレビを見ていると、力一杯押せばいいのかと、腕を上にふりあげて、おもいっきりボタンにたたきつけている人がいますが、あれはまったくのムダ。手を上にふりあげる時間で、すでに何人もの人がボタンを押してしまっています。また、人差指1本で押すのじゃ、神経が指先に集中しすぎてしまい、指がブルブルと震えてしまいます。逆にてのひをおおいかぶせている人もいますが、てのひらでは神経が鈍く、瞬間の反応が遅れると思います。
 ぼくの場合ボタンの形状にもよりますが、人差指・中指・薬指の3本をボタンにかけるようにしています。そしてボタンの遊びをギリギリまで無くすというのでしょうか、力を若干加えておき、問題のポイントを聞いた瞬間に、指をパーンとはじくようにして押しています。でも、体重をかけすぎて、問題がでる前からボタンを押してしまい「さあ、答えは!」と司会者に迫られた人もいますので、力の入れ具合はほどほどに。どの番組でもリハーサルがありますから、充分練習してください。

エクササイズ7 スコアをつける

 野球でもなんでも、刻々とかわる試合の姿をキチンと記録しておくのは、将来にわたって大きな意義があるものです。クイズも、机をたたきながら見るだけでなく、その結果も記録してみませんか。つまり、スコアをつけるのです。
 クイズに出れば、何問できたか何問間違えたかを単純に問うよりも、何点取れたかが重要になってきます。そこで早押しをしながら「どの問題に答え」「どの問題に間違え」「どの問題をテレビに先取りされ」「どの問題がわからなかったか」などをノートに記録しましょう。そうして番組終了後にクイズ番組と同じ方法で点数を集計してみるのです。
 スコアをつけると、例えばアップダウンクイズでは、どんなにたくさん答えても1問間違えると途端に振り出しに戻ってしまう恐ろしさが身をもって体験できるだろうし、また、間違えずに10問答えるのが、いかに難しいかもよくわかります。
 クイズ・ミスターロンリーでは、クイズ開始後すぐの問題につまずけば、あとの問題がいくらわかっても、みんな無駄になってしまいます。そういう悔しさが実感となってわかることでしょう。 スコアのつけかたは、上図をご覧ください。
 以上、 5早押ししながら見る、 6スコアをつける、で説明してきたことは、すなわち、テレビを相手に実戦さながらのクイズをするということです。早押しや採点をしながらテレビを見るのだから、一種のテレビゲームですね。こうすれば「1回“お出”になったけど、シルエットゲストを見事に当てたのでハワイへ行けた」「市販のサイコロを振りながら世界一周・双六ゲームを見たら、いい線までいったのだけど、がっくり都市へ入ってしまった」などと、かなり現実的にクイズの得点が出ます。そして自分の実力のほどもわかり、今が出場時か、あるいはまだ勉強が必要か、よくわかるでしょう。

エクササイズ8 出題傾向をつかむ

 クイズ番組は、それぞれの番組カラーを出すために、出題にある種の傾向があるのが普通です。時事問題が多い、スポーツの問題が多い、問題文が長い、問題文が短い、かなりつっこんだ内容まで出る、ナレーターが早口などなど。あるいは、シルエットクイズやイントロクイズ、漢字クイズなどといった、毎回必ず出題される、特定コーナーを持つ番組も多くあります。これらについての対策をあらかじめ立てておくと、1〜2問は確実に取れる可能性が強く出てきます。だから番組をじっくり観て、どういう出題傾向があるか、どういうコーナーがあってどの程度の問題が出されるかをよく研究しておきましょう。

エクササイズ9 事前に出題を予想し、調べる

■最大のクイズソースは新聞
 出題傾向に合わせ、何が出るか予想をたてておけば自信がつきます。出題を予想するには、クイズ作家が何をもとしてクイズ問題を作るかを考え、そのクイズソースを手に入れればいいのです。そして最大のクイズソースは新聞です。
 まず新聞各紙のなかで、どの新聞を読むかですが、テレビ局と新聞社は密接な関係がありますから、出場するテレビ局と同系列の新聞を読むのが一番ベターでしょう。系列新聞にしか載ってない話題から出題されることも多いのです。
 東京・名古屋・大阪の放送局と新聞社の関係は、

日本テレビ−−−中京テレビ−−−−読売テレビ−−−読売新聞−−−−報知新聞 TBSテレビ−−CBCテレビ−−−毎日テレビ−−−毎日新聞−−−−スポニチ フジテレビ−−−東海テレビ−−−−関西テレビ−−−サンケイ新聞−−サンスポ テレビ朝日−−−名古屋テレビ−−−朝日テレビ−−−朝日新聞−−−−日刊スポーツ

と、なります。例えばパネルクイズアタック25は朝日テレビですから、系列の朝日新聞からの話題がよく出ます。また、選抜高校野球は毎日新聞社の主催ですから、他のクイズ番組より、アップダウンクイズでの出題率が高いはずです。その他のスポーツ大会や、囲碁の対局の勝敗を問うものも、まず主催新聞社の系列クイズ番組でしか出題されません。
 なお、一般紙を読むのはもちろんですが、スポーツ新聞も1紙は読みたいものです。

■この紙面のここを読む
 まず政治面・経済面・外交面の、普通の人があまり読まない紙面からは、内容ズバリより語句の意味がよく問われます。例えばSDI(戦略防衛構想)、ASEAN(東南アジア諸国連合)、OPEC(石油輸出国機構)、インテルサット(国際商業衛星通信機構)などの略号とその意味を問うもの。ニュースになっている国名と首都や主要都市・元首の名を問うものが多く出題されます。サミットや大統領選挙の結果などの大きな話題は、内容を問われる場合もあります。海外トピックス、特派員報告などのコラムには、海外のおもしろい話題が載っているので、ここからの出題もよくあります。
 これらの面の下部にはよく本の広告が載っていますが、話題作や有名作家の作品もマークしておきましょう。
 家庭面は意外とクイズになる記事があります。例えば「ミセスのための秋のファッション」という記事からはファッション用語や今年の流行がクイズになりますし、植物・動物の育て方や料理についても、クイズ問題はいくらでも作れます。主婦向けのコラムにも最近のヤングにはやっている遊びやアンケート調査の結果が載る場合もあるので、家庭面はアナです。
 次のスポーツ面では、スポーツ大会の優勝者・優勝チームを必ずマークしておきます。極めて出題率が高い話題です。このほかルールや記録、外国での話題などもよく出題されますので、スポーツ新聞と合わせてよく目を通しておきましょう。
 地方版の記事からはあまり出題されません。他地区の人にはなじみがないからです。それでもよっぽど変わった話題はヤマカンクイズなどに取り上げられることもあります。ヤマカンクイズの問題は、地方新聞の小さな記事をよくネタにすることを付記しておきます。
 社会面では、見開き右ページの、いわゆる第二社会面からの出題が多いようです。ここには明るい話題や楽しい話題がよく載るからです。左ページには殺人や強盗、事故などの痛ましい記事が多く、あまりクイズにはなりません。
 最終面はラテ面(ラジオ・テレビの番組表)です。今日はどんなクイズ番組があるか捜してください。
 夕刊では、芸能ニュースと第二社会面、それにラテ面下の映画の広告が必見。芸能ニュースはスポーツ紙の方に、はるかに詳しく載っています。映画の広告は話題作の監督と主演、あらすじをチェックしてからクイズに臨みましょう。
 総合すると、
▽明るい話題、楽しい話題がクイズ問題になりやすく、暗いニュースや個人・団体の名誉にかかわることがらはまずクイズに出ません。
▽「天声人語」「編集手帳」「海外トピックス」「時事用語解説」などのコラムからの出題もよくあります。
▽「……の予定」「……の見込み」と、近い将来変更が予想される記事はクイズに出ません。録画終了後、内容が変わってしまったら大変だからです。

エクササイズ10  自分で問題を作る

 最終的には新聞などのクイズソースから自分で問題を作ってみることです。問題を作ると、クイズ作家が一つのネタをどう料理するか、その心理がわかり、解答する際に役立ちます。
 例えば政治面に、
『九月の国連総会を機にニューヨークで開催するサミット参加七カ国の外相会議では、米ソ軍縮交渉、東西関係と並んで米国のSDI(戦略防衛構想)が討議の重要なテーマになる……』 という記事があったとします。この記事からどのような問題を作れるでしょうか。
問題「いま、盛んにとりざたされているアメリカの戦略防衛構想のことを、アルファベット3文字で何というでしょう」(答え、SDI)
 これなら勉強して出た人なら「……防衛構想のことをアルファ……」くらいでボタンを押せるはず。そこで、もう少し別の資料を加えて、
問題「いま、盛んにとりざたされているアメリカの戦略防衛構想のことを、ある映画のタイトルを使って、俗に何計画というでしょう」(答え、スターウォーズ計画)
 としてみます。解答者は「……防衛構想のことをある……」で押して「SDI」と答えるでしょう。でも判定はブー。ワザと間違えるように作ることもできるのです。そこで、
問題「いま、盛んにとりざたされているSDI・戦略防衛構想のことを、ある映画のタイトルを使って、俗に何計画というでしょう」
 としたら、今度は素直に答えてもらえますね。
 あるいは記事の別の項目に注目して、
問題「この九月に、国連総会が開かれる都市はどこでしょう」(答え、ニューヨーク)
 これは普通は「国連本部のある都市は」という問題なのですが、「総会が開かれる都市は」と表現を替えているのがミソ。ニュースでおなじみの会議場は、当然ニューヨークの国連本部にあるのですが、「総会」とすることにより問題の幅を拡げてみました。
 こういう作業をしてみると、一つの記事からもいろいろなクイズを作れることがわかります。しかも出題者は「どこでボタンを押させるか」「この問題は答えさすか」「ちょっとひねって間違えてもらうか」「ボタンのスピードで勝負してもらうか」「じっくり考えた末に押してもらうか」など、演出も含めた、さまざまな思惑の上で問題を考えていることもわかるのです。
 クイズ問題を自分で作ってみると知識がつき、さらに出題者の心理もわかってボタン押しのタイミングも上手になります。漠然と資料を読まずに、工夫を凝らして問題を作ってみてください。
 では、次からは出題方法別、ジャンル別の勉強法・対抗法を書いていきます。


○×クイズはこう考える

 ○×クイズは、すなわち二者択一です。問題文が正しいか間違いか、二つのうちのどちらかを選ぶクイズなのです。なお、○×のかわりにイエス・ノーを用いることもあります。
 ○×クイズはいうなれば、クイズ作家と解答者のチエ較べ。クイズ作家の手に引っ掛かるか、見事にかわすか。単純だからこそ、おもしろさがあるのです。
 ○×クイズで生き残りたいなら、まず豊富な知識を得ておくことです。○×クイズが10問出題されたとして、そのうちの7問を知っている人と、2問しか知らない人とでは、7問知っていた人の方が当然有利です。
 でも○×クイズには、なかなか一般に知られていないようなことがらから出題される場合が多いので、そんな問題に対しては、意外性のあるものは○。あまりに非常識なものは×。もっともらしいものは×。と考えるのが一つのセオリーです。
 しかしやっぱり問題が出た瞬間に自分の直感を信じて、信念をもって判断するのがベストだと思います。 実は、この本のためにいろいろ必勝法を考えたけど、これだ!というものが見つからなかったの。クイズマニアにとって○×クイズはもっとも単純で、複雑で、おもしろく、悩ましいクイズなのです。


三択クイズはこう考える

 問題「現在の宝くじにあたる江戸時代の富くじは、どのような方法で抽選したのでしょうか。

  1. 番号を書いた的をグルグルまわして、矢で射た

  2. 番号を書いた板を箱の中に入れ、キリで突いた

  3. 番号を書いた棒を束ね、抜き出した」

 このように、三つの例の中から正解を選ばせるクイズが三択(三者択一の略)クイズです。知っていればわけないのですが、おおむね意外なことがらから出題されるので、カンで答えざるを得ない場合が多いのです。では上手な解答法はないものでしょうか。

■異質なものを選ぶ
 三つの例のうちの二つはクイズ作家が考えたニセの答えです。この二つの答えはどうもまともな線でまとまってしまう気がします。ほら、「事実は小説より奇なり」というでしょう。本当の答えが「事実」で、ニセの答えが「小説」なのです。また、○×クイズと同じく三択クイズは珍しいとか、おもしろいとか、ヘエーなるほどといった珍な話題から出題しているのですから、真の答えは作家が考えた二つの答えよりも、はるかに意外で、かつ異質なものであることが多いのです。
 そこで三つの例を分析すると、 1の的をまわして矢で射たというのは、現在の宝くじの抽選で用いられている方法にすぎず、あたりまえです。明らかに違うと思う例を最初に消します。つまり消去法を利用するのです。こうすると残りの二つのうちのどちらかを選ぶ二択になって、確率的にも有利になります。 3の棒を抜き出すのもなんとなく占いの筮竹みたいで、わざわざクイズにするほどの珍しさは感じられません。そうなると板をキリで突いた 2が光ってきます。正解はそのとおり 2で、木札を突き刺したところより富くじのかわりに「富突(とみつき)」とも呼ばれたそうです。
 このように三つの中の異質なもの、ちょっと想像しがたいものが正解であることが極めて多いのです。では、次の例題にいきます。

■数字は極端なものを選ぶ
問題「人間の身体で水分がもっとも多いのは脳です。では脳の何%くらいが水分でしょうか。

  1. 45%

  2. 65%

  3. 85%」

 数字が解答例になっている問題ですが、これにも答え方があります。数字は極端なものを選べばたいていそれが正解です。なぜなら、「そんなに多いのか」「それっぽっちでいいのか」と、視聴者に意外感を与えるのを狙いとして出題しているのですから、この場合は当然 3の85%が正解となります。物事を考える脳ミソの5分の4以上が水分とは驚きで、それがこの問題のミソなのです。だから数字を選ぶ三択では、 2が正解になることは少なく、たいてい 1か 3の、大きいか小さいかの数値が答えになります。
 しかし、常に意外なものや極端なものが正解とは限りません。何問も三択クイズが続く場合は、意外なものと素直なものが巧みに配されています。そのときこそカンを働かせて、あまり深く考えずに素直に答えを選んでみるのもいいでしょう。


早押しクイズはこう答える

 早押しクイズは、クイズの花形です。ナレーターの読みあげる問題文のどこでボタンを押すか、そのタイミングとスピードにはもっともテクニックを必要とします。あまりに早く押しては、その後問題文が変化するかもしれないし、じっくり聞いていたのでは、他の人に取られてしまいますから。

■テレビを見ながら指先の練習をする
 まず先に説明してあるとおり、クイズ番組を見ながらボタン押しの練習をしてください。クイズ番組に出たときだけボタンを押すのと、普段から指先をピコッと動かす練習をしているきとじゃ、スピードが違います。また、ボタンの押しどころが自然と身についてきます。

■問題の先を予測する
 クイズマニアは問題をただ聞いているのではありません。問題文がこの先どのように変化するのか、常に先を予測しながら聞いているのです。そしてポイントとなる言葉が聞こえたらパッとボタンを押します。例えば、
問題「夏目漱石の小説の題名で、漢字一字の小説は一つしかありません。なんでしょう」
 こういう問題文をダラーッと聞くのではなく、まず「夏目漱石の小説の題名で……」と聞いたら「坊っちゃん」「それから」「我輩は猫である」「明暗」など、漱石の小説の題名をズラーッと思い浮かべます。次に「漢字一字の小説は……」で「門」「心?」など、漢字一字のものを次々に浮かべます。そして「一つしかありません」で「門」に絞り、ボタンを押すのです。「こころ」はひらがなでした。この場合「漢字一字の小説は……」で押してしまってもかまわないでしょうが、そのあと「漢字一字の小説は門ですが、ではひらがな三文字の小説はなんでしょう」ともなりかねないので、そこらへんの判断のしどころに早押しクイズならではのおもしろさがあるのです。
問題「江戸時代の三大改革とは亨保の改革、寛政の改革ともう一つはなんでしょう」
 このようなグループの中からどれか一つを答えさせる問題では、最初にグループ全体を思い浮かべます。「江戸時代の三大改革とは……」と聞いたら亨保・寛政・そして天保の三つを思い浮かべ、「寛政の……」と聞こえたところでボタンを押し、最後の一つ「天保の改革」を答えればいいのです。
問題「十和田湖にある乙女の像を制作した彫刻家で、詩人としても有名な人は誰でしょう」
 こちらは「乙女の像」を聞いたときすでに頭の中には「高村光太郎」が浮かぶようでないといけません。「制作した彫刻家」を聞いたあたりでボタンを押し「高村光太郎」を答えられるはずです。とにかく問題の前文を聞いて、今後の展開について推理をはりめぐらすのです。

■「……ですが」は前文と対応する
問題「卒業式によく歌われる歌で、『仰げば尊し』は8分の6拍子ですが、『蛍の光』は何拍子でしょう」
「……ですが」と変化する問題は、何を答えとするか前文と対応するのが普通です。これは音楽のテンポを聞いているのですから、後半の答えも同じテンポを問うことになります。だから、「仰げば尊し」が出たなら「蛍の光」や「君が代」のテンポを問うのではないかと容易に予想できるのです。「蛍の光」を聞いたらボタンを押して「4分の4拍子」と答えます。間違っても「卒業式によく歌われる歌で『仰げば尊し』は8分の6拍子ですが、『蛍の光』はどこの国の民謡が原曲でしょう」とはなりません。
問題「マンガ“Drスランプ”のヒロインはアラレちゃんですが、“うる星やつら”のヒロインは誰でしょう」
これも「うる星やつら」が聞こえたらボタンを押してラムちゃんと答えられますね。
但し「……アラレちゃんですが、アラレちゃんの声を演じている声優は誰でしょう」くらいには変化するかもしれませんので、「……ですが」の後に続くものを聞いた方が安全です。
 次のは「……ですが」の後の変化のしかたが、いままでの問題例とは違うもの。
問題「トランプの一組は13枚ですが、そのうち数字の書いてあるフダは何枚でしょう」
 どちらにしろ、「……ですが」「……では」「……逆に」などは「さあこれからが本筋ですよ」といった指示ですので、これらが出たら、すぐにボタンを押せる体制にしておきます。

■「ある○○」なら○○を答えさせる
問題「黒澤明監督は映画『乱』で、ある動物を延べ数千頭も使いました。その動物とはなんでしょう」
このような「あるなんとか」がどうした、という問題は「あるなんとか」を答えさせるのです。だから、ある動物が聞こえたら、次の数千頭でボタンを押して「馬」を答えます。「その動物……」まで聞く必要はありません。

■やっぱり豊富な知識がいる
 例題をあげてボタンの押しどころの説明をしましたが、豊富な知識がないとどうしても即座には押せません。早押しクイズを制するには、知識の勉強が欠かせないのです。


社会の問題は新聞から

 クイズである程度の成績を修めたいのなら、不得意分野をなくして、広くまんべんなく答えられるようになることです。しかし人間は興味のないものを覚えるのは苦痛です。楽しいものや好きなものなら自然と身に付くのに、そうでないものなら、何度読んだり書いたりしてもすぐ忘れてしまいます。でも即席で強化したい人のために、クイズに出る前に、不得意分野の勉強を一夜漬け方式でする方法を伝授しましょう。
 社会のジャンルから問われるのは、政治・経済・地理・外交・国際・法律などです。どれも女性には不向きのジャンルですが、一番いい勉強法は日々新聞を読むことです。新聞を読めば最近の出来事はたいていわかりますし、クイズによく出る「時事用語」もコラムを設けて毎日解説してあり、切り抜いてファイルしておけば、それだけでクイズ用の事典が作れてしまいます。出場が決まった時だけでもするといいでしょう。
 また、いかにもクイズらしいOPEC・FAO・UNICEFなどの略号を問うものは、就職試験用の問題集を読めばみんな出ています。世界一面積の広い国は、日本一大きい半島は、といった地理の問題は、小学校の地図帳にも出ていますので、子供のを取り上げるか、自分が昔使ったのを押し入れから引っ張り出してください。


科学は子供向きの本を読む

 物理・化学・動植物学・数学などに関する問題は、女性の他、文化系アタマの男性も苦手です。そのワケは、「どうしてそうなのか」と深く理由を探ってしまう性格にあります。いい例がコンピュータで、「どうしてこんなことができるのか」と考え出したら、コンピュータの勉強をよほどした人でもわからないでしょう。その点子供は「おもしろい」と感性で付き合い、なかよく遊んでしまいます。
 だからこの分野の勉強は難しい専門書を読んでもムダです。一番やさしく書かれた、それこそ小学校低学年向きに書かれた「理科なぜなに質問箱」「宇宙のひみつ」「発明王エジソン」といったたぐいの本を読むことです。
 百科事典を買うにしても、世界大百科事典のようなおおげさなシリーズを揃えるのではなく、一冊になっているデスクタイプのものをお勧めします。ぼくは両方持っていますが、実際使ってみると、クイズにはデスクタイプの方がはるかに便利です。
 なお、電気科の学生が電気の問題に間違えたり、医師が人体の問題に間違えたりすることがよくあります。専門的に考えてはダメ。問題を作っているクイズ作家の大部分は文化系です。そんなに難しいクイズを作ったりしません。深く考えないで、単純に考えて答えてください。

文学は作品と作家名を

 文学の問題で多いのが、作家と作品の名をあてるもの。
「第1回芥川賞受賞作品は石川達三の何という作品でしょう」(蒼氓)
「鉄道を舞台とした推理小説で、十津川警部といったら西村京太郎、では鬼貫警部といったら作者は誰でしょう」(鮎川哲也)
 クイズマニアは文学書なんて読まなくても、こんな問題ならみんなできちゃうのです。これらは岩波文庫・新潮文庫などの文庫本目録を書店からもらってくれば、作家・作品名・あらすじがみんな載っていますから、それを読めばOK。また、新刊書は新聞の広告を見たり、書店へ行って平積みされている新刊書のタイトルと作家を暗記してくればいいのです。
 でも、有名な作品、話題作は内容まで問われます。しかし「源氏物語の光源氏を取り巻く女性の名」や「川端康成の小説に出てくる主人公の名」や「坊っちゃんのエピソード」など、ある程度限られています。
 芥川賞・直木賞はじめ文学賞関係のリストは朝日年鑑などに載っていますので、出場前に図書館で調べてください。


歴史は中学生用のミニ参考書を

 歴史のクイズ問題は学校のテストにも出そうなものから、歴史上の思わぬエピソードなど、幅が広いのですが、手頃なのは、中学生用の文庫本サイズのミニ参考書でしょう。これには歴史の大事なポイントが要領よくまとめられていますので、時代の流れを知るにはちょうどよく、しかも重要なことがらについては別項目で解説まで載っています。高校生用のミニ参考書もあるのですが、こちらはさすがにレベルが高くなり、クイズ向きではありません。
 ミニ参考書はなにも歴史だけでなく、物理・科学などいろいろな科目のがありますから、必要に応じて揃えるものいいでしょう。
 エピソードなどは「日本史・世界史こぼれ話」などを読むのが手頃です。


芸能・音楽は雑誌から

 一般新聞の芸能・音楽欄は「芸術」領域ですが、一夜漬けでクイズに臨むなら、ミーハー芸能情報がたっぷりのスポーツ新聞を読みましょう。ダレとダレがくっついた離れたから、ダレが本を書いた、ダレが新しい映画に挑戦するなど、モロモロの記事が満載されています。それから忘れてならない女性週刊誌。これまたそんな記事がいっぱい。さらに、世の中の珍しい話題もよく載っており、クイズに出る前は女性週刊誌はゼヒものです。
 次に、ドレミファドン!とまではいかなくても、アップダウンクイズやパネルクイズアタック25、三枝の国盗りゲームなどにも音楽を聞いて曲名をあてるイントロクイズがあります。これには日頃から音楽番組を聞いて耳を慣らしておくのが肝心です。特にラジオの音楽番組はレコードが出る前からプロモーションテープで曲を聞かせてくれ、重宝します。ラジカセでエアチェックし、イントロ部分だけを毎日聞いて覚えます。
 それから「ふけゆく秋の夜……と歌われる歌の題名はなんでしょう」といった、唱歌に関する問題も季節がらみでよく出ます。これらは唱歌集を前もって読んで、出そうな曲をチェックして臨みます。
 映画については、最近の話題作なら新聞広告で充分です。


スポーツはスポーツ新聞で

 スポーツのクイズは「記録を問うもの」「選手に関するもの」「ルールに関するもの」に分類できるでしょう。
 まず過去の記録は野球・相撲・オリンピックについてくらいしか出ません。これらは少年向けの分厚い文庫本サイズの本に「プロ野球記録事典」などがありますから、参考にしてください。最近のものについてはスポーツ新聞を読みます。
 選手についても、大きな活躍をした選手を中心とした問題ですので、スポーツ新聞で間に合います。
 ルールは、実際に自分でやったスポーツでないと、よくわからないはずです。でも簡単に知識を仕入れるなら、高校の授業で使ういろいろなスポーツのルールを集めたルール集が手頃でしょう。テニスやバレーボールのコートの、ラインの名称などはよく問われますので、一通り目を通します。相撲の土俵まわりについてもよく出ます。
 オリンピックは開催年でなくてもよくクイズになりますので、過去、どこの都市で開催されたかくらいは知っておきましょう。
 クイズをするテレビ局主催のスポーツ大会については、詳しく調べておくべきです。


雑学はクイズの本で

「カルーセル麻紀はパスポートでは男である」(○、本人の弁)
「男子の学生服を俗に学ランといいますが、このランとはランドセルのことである」(×、オランダのラン。江戸時代はじめてオランダから洋服が献上されたので、洋服のことをラン服といった)
「鉛筆の固さを表す記号のFは何の略でしょう」(ファーム=firm=堅固な)
「テニスで0点をなんというでしょう」(ラブ)
 こういったどうでもいい知識、つまり雑学はクイズにもっもよく出題されるのですが、日頃から物事に興味を持っていないと、つい見落としてしまいます。クイズマニアは好奇心旺盛な人が多く「あれはなんだ」「じゃ、こういう場合はどうなるのか」といった会話がよく交わされています。好奇心が強くないとクイズも強くなれません。
 雑学については、一時雑学が大ブームになったおかげで、雑学の本が多数出版されていますので、そういう雑学本、あるいはクイズの本をヒマなおりに読んでいくと、雑学知識が自然に身につきます。また、クイズ番組をよく見るだけでも、雑学知識は自然と身についてきます。 身につけた雑学が生活にも役立てばいいのだけど。夕食の雑談のネタになるくらいかな。



あとがき

 「TVクイズ大研究」に続き、クイズについての二冊目の本を上梓いたしました。
 前回の本は、TVクイズにもっともいれこんでいる時期に執筆したもので、クイズの攻略法主体でした。そこで今回は攻略法はもちろんですが、肩の力を抜いて、クイズを取り巻く話題を中心に、読物として楽しめるように書いてみました。
 クイズを始めて9年になります。いまさらぼくなんてクイズ番組に出してはくれないでしょうし、出してもらったところで、できはしないでしょう。細く長くクイズをやりたいなら、目立たないようにやるのが得策だと、あるクイズマニアは言いましたが、ぼくにはそんな器用なマネはできません。
 では、テレビに出る以外でクイズを楽しめないものか。その一つの方法が、クイズマニアから見たクイズの話題を広く皆様に伝えることでした。幸い新聞・雑誌などから依頼を受け、小さな記事ではありますが、恐らく本邦唯一の、クイズマニア側からのクイズ情報を書いてきました。この本はそれらの集大成でもあります。
 クイズはあくまでも趣味なのですが、本職でもないぼくに2冊も本を書くチャンスを与えてくれた「クイズ様」。狭い世界ゆえのしがらみもいろいろありましたが、なにはともあれ、人生前半の画期的なホビーとなりました。これからどれだけ細く長くできるかはなはだ疑問ですが、ぼくなりにクイズで楽しんでいきたいと思います。読者の皆様のクイズに対するお考え、新しい情報などもお聞かせいただければ幸いです。
 出版にあたりましては、多くの方々から、さまざまな形でご協力をいただきました。厚くお礼申し上げます。
 なお、この本はすべてワープロで執筆しました。会社で仕事を終えて帰宅後、深夜までのわずかな時間での執筆は、ワープロがなくては不可能だったでしょう。そのおかげで、レイアウトの必要もなく、しかも電算写植機にフロッピーディスクをかけることによって、直接版下を作りました。だからこの本には原稿用紙を1枚も使っていません。新しい本作りのハードウェアに積極的にお取り組みくださった、印刷関係の方々にも感謝いたします。また、もし、クイズの本の第3弾を出せるのなら、ワープロの分類検索機能をフルに活用して、クイズの問題集を作ってみたいと思っています。
 末筆ながら、読者の皆様の「勝利」をお祈りいたします。

    1985年6月
                                 北川宣浩


著 者 紹 介 

北 川 宣 浩 (きたがわ・のぶひろ)
1954年、東京都生まれ。獅子座。血液型A型。
東京都立大学工学部建築工学科卒業。現在広告代理店勤務。
大学時代よりクイズに興味を持ち、「パネルクイズアタック25」「クイズタイムショック」「クイズハッピーチャンス」「第2回アメリカ横断ウルトラクイズ」「クイズグランプリ特番」「アップダウンクイズ」「三枝のホントにホント」に優勝。
趣味はクイズのほかに旅・写真・ビデオ・コンピュータ・ワープロなど。


スタッフ(敬称略)

■協力
岩野裕一/西住啓/林良太/廣谷昌隆
■イラストレーション
川田夏子/北川宣浩
■写真
各放送局提供/北川宣浩
■使用ワードプロセッサ
富士通オアシス100F
■レイアウト
北川宣浩
■装丁
K2


TVクイズまる金必勝マニュアル
−−−名人が教える150のノウハウ−−−

                             検印省略
1985年7月15日 1刷     定価690円

著 者  北川 宣浩
発行人  神谷光男
発行所  株式会社サンケイ出版
     東京都千代田区麹町6−1−25  〒102
     TEL(東京)234−1591(代)
     大阪市北区梅田2−4−9 〒530
     TEL(大阪)343−1221(代)
印刷・製本  凸版印刷


●万一、乱丁落丁の場合はお取り替えいたします。
(C)北川宣浩 1985 Printed in Japan.(検印省略)
ISBN4-383-02404-1


この本はすでに絶版で版元にも残っておりません。書店・版元に問い合わせるような互いに無駄になる行為はお辞めください。
この本(文)の著作権は北川宣浩にあります。印刷して配布する、全文または一部または梗概(あらすじ・概要)を他ネットにアップするなど、著作権侵害となる行為はしないでください。
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