5■優勝篇

うれしいなあ、賞金・賞品、

それ以上に勝った実感が素晴らしい。




内外優勝賞金事情

 かつては、高額現金プレゼントのクイズ番組がいくつもあったのですが、最近はすっかり鳴りをひそめてしまいました。その理由の一つは、現金はあくまで額面どおり支払わなければならないのに対し、海外旅行や宝石などの賞品なら、額面はそのままでも仕入れ価格を下げて、予算以上に豪華に見せれるからです。だから最近のクイズ番組では賞金は10万円程度まで、あとは海外旅行、それもグァムとかハワイで、お茶を濁す番組が増えてきたように思います。
 もとより賞金・賞品が目当てでクイズ番組に出ているわけではないので、こだわるのではないですが、貨幣価値が下がっている今、一昔前の100万円の上限が、いまだ変わらないのは不思議です。今なら500万円くらい出す番組があってもいいと思います。10万円位もらったって生活費のタシになるくらいで、キャーキャー飛びはねるほどじゃないですからね。
 その点、アメリカのクイズ番組は賞金の上限がないそうです。だから1000万円くらいのヨットが賞品になったりして、獲得した出場者は文字どおり飛びはねています。ただ、アメリカではクイズ番組には1年に1回しか出れない制限があるそうです。こちらの方に制限があった上で、賞金の上限がないんだから、アメリカはおもしろいですね。聞くところによると、アメリカのクイズ番組に出た日本人もいるそうです。
 さて、ぼくがもらった最高額の賞金は上限の100万円。確定申告をしたら税金の追徴を受けてしまいました。
 「何に使った?」との質問が多いのですが、クルマを買うから、事業を始めるからと、目的があって出たわけではないので、なんとなくパラパラと使ってしまいました。かつて潰れた会社の社長がクイズタイムショックに出て100万円を獲得し、それを元に会社を立てなおした話を聞いたことがありますが、本当でしょうか。ぼくもベルトクイズQ&Qで勝ち抜いているとき、対戦する主婦から「いいかげんに負けてよ。ワタシ家のローンがいっぱい残っているんだから」と言われたことがありますが、そういう悲壮感漂う人って、きっと勝てないと思う。クイズはもっと気楽に出るものです。遊びなんだから。


パネルクイズアタック25の優勝旅行

 パネルクイズアタック25のパリ旅行は、毎年4月と10月に優勝者だけのツアーを組んでエールフランス機で旅立ちます。優勝者だけのツアーですので、誰もがテレビでのおなじみさん。会ったことがないのに、知ってる人ばかりという変わったメンバー構成で、機内からたちまち話がはずんでしまいました。年によって違いますが、パリ市だけでなくロワールの古城めぐりやマスタードで有名なディジョン、海岸が美しいニースなど、もう一箇所訪れますので、フランス一ヶ国とはいえ、充実した旅になります。ロワールの古城の美しさ、荘厳さ。フランスの田舎料理のおいしいこと。いまでも鮮明に覚えています。
 旅行のアドバイスをするなら、訪れるのがフランスだけですので、通貨はドルでなく、フランスフランに換えておくのが一番便利。東京銀行ならフランに換えてくれます。また、フランスでは水道の水が飲めませんので唇が乾き、リップクリームは男性でも必需品になります。水はスーパーなどで売っていますが、ノンギャス(炭酸なし)を選ばないとゲップばかり出てしまいますよ。
 なお、25枚のパネル全部を埋めるパーフェクトを達成したら、賞金10万円の他にさらにパーフェクト賞として40万円が出ますのでご期待ください。

クイズタイムショックの優勝旅行

 クイズタイムショックの優勝賞金は、いままで勝ち抜いて得た賞金と、100万円と、さらに海外旅行の計200万円相当くらい出ると思っている人が多いようですが、あくまで合計が100万円です。優勝したら勝ち抜き賞金はチャラになり、100万円の中から旅行費用を除いた分が現金で支払われるようになっています。だから40万円の海外旅行をしたら、賞金は60万円で、しかも税金がつきますので手取りはもっと少なくなります。旅行は必ずしなければならないのですが、一昔前のネクラなクイズマニア全盛のころ、「優勝100万円とテロップで流しているのだから、現金で100万円くれ」と内容証明郵便をテレビ朝日に送りつけ、現金で100万円を手にした女性がいたと聞きました。
 旅行代理店は年によって変わりますが、現在は日本交通公社です。日本交通公社の扱っている海外旅行ならどれを選んでもよく、一般のパックツアーとして参加します。だから香港程度に行って差額の現金をガッポリもらうか、自費を足して南極へ行くかは自由です。
 ぼくはアフリカツアーを申し込みましたが、参加人数が少なくツアーキャンセル。しかたなくアメリカ西海岸という、おのぼりさんコースへ行ってしまいました。できれば他のクイズ番組では行けない、珍しい土地へ行くといいでしょう。

アップダウンクイズの優勝旅行

 他のクイズ番組でも優勝賞品にハワイ旅行が多いのは、ハワイが日本人にとって完成された観光地であるからと思います。アップダウンクイズでは一時勝ち抜き制をとっていて、米西海岸旅行にも行ける仕組みになっていましたが、勝ち抜き制はなくなり、元に戻りました。
 旅行はジャルパックで、優勝後14ヵ月以内に一般のツアーで行きます。一人でハワイへ行ってもしょうがありませんが、家族や友人を連れていく場合は、かれらの分は自費になります。ハワイといっても最高のツアーを楽しんでもらう趣旨で、ホノルル到着後すぐ、カウアイ島かマウイ島へ飛び一泊します。どちらを選ぶかは自由ですが、観光が好きな人ならカウアイ、ゴルフやスイミング、ドライブなどのレジャーが好きならマウイをお勧めします。
 ホノルルに戻ってからは高級ホテルに泊まります。ぼくらの部屋は20階で、しかも角という優遇された部屋でした。さらにオプショナルツアーが毎日付いており、最初の夜はポリネシアンダンスショー。次の日はハナウマ湾で泳ぎ、その夜はサンセットディークルーズで、夕刻ホノルル湾を出航する船に乗り、夕日が海に沈むのを見ながら食事をします。もちろん通常の食事は全部ついています。とにかくいたれり尽くせりで、はじめての海外旅行でも安心です。逆に何回かハワイへ行ったことのある人だったら、煩わしいかもしれません。

三枝の国盗りゲームの優勝旅行

 番組最後の海外旅行に挑戦する坊主めくりをして、見事お姫様を引き当てた人が優勝者となります。いくら前半のクイズができても、後半で一気に逆転される可能性が多いので、この番組に計画的に勝つのは非常に困難、まず不可能です。だから優勝者はバラエティに富んでおり、しかもユニークな人材が多いようです。
 4月と10月に、それら優勝者だけ10人前後のツアーを組んで、スポンサーのマレーシア航空によるオーストラリア・マレーシア10日間の旅をします。参加するのは4月でも10月でもよく、1年以内にどちらにも行けない場合は放棄したとみなされます。優勝海外旅行の権利を他の人に譲ることや、現金に換算することはできません。
 まずマレーシアの首都クアラルンプールを訪れ、3日滞在したのちオーストラリアへ。シドニーを中心に、コアラパークを始め観光地巡りをします。ここで5日滞在ののち、再びマレーシアへ。ペナン島へ渡って島の休日を楽しんで、帰国となります。なんだかマレーシアへ行ったり来たりでムダみたいですが、こうなっています。
 食事も当然ついて(昼は別)、ホテルも高級ホテルに泊まる、いたれり尽くせりの旅。若い人達中心の少人数のツアーですから、非常に行動的な楽しいツアーとなります。


クイズ金魂巻

 現代人気職業の金持まる金と、ビンボー人まるビを面白く解説した本「金魂巻(渡辺和博著・主婦の友社刊)」が若者に大ウケし、84年のベストセラーになりました。そこでクイズ界にパロッてみました。
 まず一般傾向から述べましょう。
 まるビがクイズに出る目的は、とにかく実利を求めてです。ローンの足しに、エアコンの購入にと出場前から賞金の使い道を決めています。一方まる金はまったくのホビーとして出ます。港区での夜遊びも、次々と買い換えていったクルマにも飽きた今、新しい刺激としてテレビにでも出てみようかと、軽い気持ちで出ているのです。
 まるビのクイズ展開には生活感がありありと現れます。点数を賭けるルールであれば、負けても必ず何点か残るように賭けます。それでいてペアの海外旅行を獲得して、司会者から「誰と行きますか」と尋ねられたら、もったいぶって「まだ決めてません」と答えます。これは一緒に行かせてもらおうとする友人知人が、いろいろと取り入ることを期待しての発言です。
 その点まる金は、優勝したら銀座の寿し幸のような高い店で、友人知人を大勢呼んで自ら祝宴を上げ、さらに人望を高めるのです。
 まる金はクイズで優勝する前にも世界各国を巡っていますが、まるビはクイズでしか行ったことがないので、行き先はハワイかアメリカ西海岸と決まっています。だからまるビのおみやげは、マカデミアナッツチョコとこれまた相場が決まっており、しかもハーフパックです。
 それでは、現状に当てはめてシュミレートしてみます。
 ここにまる金の学生とまるビの学生がいるとします。二人はそれぞれの理由からクイズに応募しました。まるビはクイズ・ミスターロンリーに、広告付きのハガキを20枚出し、ようやく予選に呼ばれました。まる金はパネルクイズアタック25に、寄付金付き年賀ハガキの余りを1枚出し、予選に呼ばれました。まるビは森進一とアントニオ猪木のものまねをしてスタッフに受け、軽く予選に通過したのですが、なにしろクイズの予選なんて初めてでしたので、天にも登る気持ちでした。まる金はこれといった芸はないのですが、大学のマーケティング研究会で、サントリーの日本料理店におけるワインの販促を研究していると淡々と話したら、すんなり予選に通ってしまいました。
 まる金はクイズの勉強のために、朝日新聞と読売新聞とサンケイスポーツを講読しました。まるビは普段は新聞を取ってないのですが、クイズのために東京新聞を取って勉強しました。さらに古本屋で「TVクイズ大研究」という本を50円で売っていたのを見つけ、小踊りして買って帰りました。まる金はあんまりクイズばかりやっていると彼女が不機嫌になりそうなので、彼女の前ではクイズの話をいっさいせず、USA for アフリカのLPで、どのパートをどの歌手が歌っているかなど、そんな話ばかりしていました。一方まるビは、予選に通った日からは毎日クイズの話題で持たそうとし、
「シシカバブーというトルコ料理は何の肉を使うか知ってる? ライオンとカバとブタの肉じゃないよ。羊の肉を使うんだ」
 などと、彼なりのジョークを交えながらも、勉強した成果をさも偉そうに彼女にしゃべっては、自分は頭がいいんだと印象付けるようにしていました。
 録画は大阪でありました。まる金はアルマーニの服を軽くはおって出掛けました。いつものようにJALカードで航空券を買い、伊丹からはタクシーで局に入りました。まるビは会社訪問用に買った紺の背広を着て東京駅から国鉄夜行バスに乗り、大阪の駅から無料の送迎バスで局に入りました。まる金はうるさい車販を避けて平然と飛行機にし、交通費は新幹線代しか精算しませんでしたが、まるビは航空運賃が出ることを知っていたのに、格安の夜行バスにしたのです。そして幾ら儲かったかを指を使って計算し、ほくそえみました。
 まる金はパリ旅行を獲得しました。パネルの枚数は11枚で、ちょっと見にくかったのですが、チラッと見えたエーゲ海と冩樂の浮世絵から見事に池田満寿夫を当てました。まるビもハワイ旅行を獲得しました。10万円コールがあったのにもかかわらず6問目でやめたのは、5問目で獲得したブライダル・コスチュームがなんとしても欲しかったからでした。まる金は自分の勇姿を録るために、フジフィルムのビデオテープHG451を買って帰りました。まるビは自分の蛮声を録るために、ダイエーの3巻パックのカセットを買って帰り、餃子の王将のバイトを辞めました。
 いよいよ明日海外に旅立つ夜、まる金は彼女を部屋に呼んで、モエエシャンドンのドンペリニオンを傾けました。これは彼女がお祝いにくれたシャンペンです。ビクターのハイファイビデオHR・D725は、彼の優勝シーンをソニープロフィールHGの27インチに映しだしています。ワーッという割れんばかりの歓声が、テクニクスサラウンドシステムを通してボーズのスピーカーから二人の身体を包み込みました。
「これ、わたしと思ってパリまで持って行って……」
 ほんのり染まった彼女が差し出したのは、成田山新勝寺のお守りでした。彼女らしいかわいい気持ちがたまらなく、彼はそれを握りしめ、おみやげはカルロス・パルチのセカンドバッグだけでなく、化粧ポーチも買ってきてやろうと密かに決め、ダイナースカードをカードホルダーに入れたのです。彼女は彼の左頬に軽くキスをしてくれました。
 そのころまるビも彼女と一緒に部屋にいました。ゼネラルの16インチの白黒テレビには何も映っていません。でも、クイズの音が聞こえていました。そうです、彼はビデオがありませんでしたので、サンヨーのラジカセで録っておいた優勝シーンを聞いては、再び感激に酔いしれ、ニタニタしてるのでした。3本目のハイリキ・ワインカクテルを飲みほした彼女は、

まる金のクイズマニア まるビのクイズマニア
  1. 彼女……キヤノンのOA機器のコンパニオン。大田区下丸子に住む。最近すっかり「その気」のようで、喜んでいいものやら。
  2. アルマーニのセーター……彼女のヨーロッパ土産。西武百貨店で見たら79800円だった。
  3. アウディ・シュバルツ……日本に200台しかない。これに換えてからつきあう女性が増えた。
  4. スポーツ……もっぱらスカッシュと乗馬。
  5. 住居……港区南青山のマンションに一人住まい。両親は岐阜におり、父親は地銀の監査役。母親は美容院を経営。
  6. ルイジ・コラーニのボールペン……BMWをひやかしで見に行ってもらったもの。
  1. 彼女……幼稚園の先生。足立区竹の塚に住む。人見知りする性格で、いつも下を向いている。そこがかわいい。
  2. ROCのスーツ……26,000円のスリーピース。父親の見立てだからズボンのスソはダブル。
  3. 無印良品自転車……一度盗まれた。三日捜した末、隣の駅に乗り捨ててあるのを発見。何事も忍耐で解決すると思った。
  4. スポーツ……もっぱらスカの競馬。野球もよく見る。
  5. 住居……荒川区に下宿している。6畳一間。両親は名古屋におり父親は市役所勤務。母親は専業主婦。ふたりともひまそうだ。
  6. アップダウンクイズのボールペン……予選でもらったもの。なぜか2本ある。まだ出場はしていない。

「これ、わたしと思ってハワイまで持って行って……」
 と、貴重品入れになる腹巻を取り出しました。彼は早速ピカピカの一次旅券と旅行代理店で作って貰ったトラベラーズチェックとAIUの保険カードを入れ、腹に巻きました。そして、「おみやげのムームーはどんな色がいい? 君には明るいのが似合うよね」
 と精一杯ヨイショを言うのでした。彼女は彼の唇に長いキスをしてくれました。この2組カップルがその後どうなったかは、ご想像におまかせします。
 翌日夜、成田空港南ウィングのダイナースラウンジで、脇に小さなボストンバッグを一つ置いたまる金は、留守中に貸すアウディ・シュバルツのキーを彼女に渡していました。そのころまるビは京成の特急からバスに乗り換える検問所で留まっていました。アコムで借りた大きなスーツケースの鍵が見つからず、汗だくになっていたのです。
 エールフランスの機内でまる金は、早くもスチューワーデスに声をかけていました。ようやく大韓航空に乗り込んだまるビは、シートベルトの替わりに自分のベルトを締めてしまい、スチュワーデスの失笑を買っていました。
 でもまるビは、まだ見ぬワイキキの浜辺と、市内半日観光で行くパンチボウルの丘とヌアヌ・パリを想像し、幸せな気分でいっぱいでした。そしてまる金も、スチュワーデスと一緒に行くことになった高級レストラン・アンブロワジーの料理を想像し、幸せな気分でいっぱいでした。


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