ソア橋の謎
THE PROBLEM OF THOR BRIDGE
―憎しみの橋で交わる三人の運命―
第4章 囚われの家庭教師
その日は手続きが終わらず、僕らはウィンチェスターで一泊することになった。翌朝、弁護を担当する若手弁護士ジョイス・カミングズ氏とともに、僕らはダンバー嬢の独房を訪れた。美しい女性だとは聞いていたが、実際に会った瞬間、僕は息を呑んだ。
あの強大な大富豪でさえ、彼女の前では無力だった理由が分かった。彼女には、人を導く力があった。
顔立ちは強く、はっきりしているのに、どこか繊細さを感じさせる。背が高く、気品があり、堂々としているのに、暗い瞳には追い詰められた獣のような、逃げ場のない悲しみが宿っていた。
だが、ホームズの姿を認めた瞬間、彼女の頬にわずかな血色が戻り、瞳に希望の光が差した。
「……ギブソン氏から、私たちの間にあったことを聞かれたのですね?」
彼女は震える声で言った。
「はい」
ホームズは優しく答えた。「その件は、あなたが話す必要はありません。あなたが彼に与えた影響、そして関係が潔白であったこと――僕はギブソン氏の言葉を信じます。ですが、なぜ裁判でその事情を明かさなかったのです?」
「まさか、こんな罪が成立するとは思わなかったのです。待っていれば、自然に誤解が解けると……家族の内情をさらす必要はないと考えました。でも、状況は悪くなるばかりだと聞きました」
「お嬢さん」
ホームズは真剣な声で言った。「幻想を抱かないでください。カミングズ氏も認めるように、今は完全に不利です。全力で真実を探らなければ、あなたは危険な立場にある。どうか、僕に協力してください」
「……隠しません」
「では、ギブソン夫人との本当の関係を教えてください」
「奥様は私を憎んでいました、ホームズさん。南国の情熱そのままに、激しく、徹底的に。夫への愛が深いほど、私への憎しみも深かったのです。私たちの関係を誤解していたのでしょう。私は彼を正しい方向へ導きたいだけでしたが……奥様には理解できなかった。私は間違っていました。私が屋敷にいる限り、奥様は不幸だった。でも、私が去っても、奥様の不幸は消えなかったでしょう」
「では、あの夜のことを、正確に話してください」
「分かる範囲で……ですが、証明はできません。説明できない点もあります。最も重要な点が、どうしても……」
「事実を教えてください。説明は後で考えます」
「その夜、ソア橋へ行った理由ですが……朝、奥様からのメモを受け取りました。学校部屋の机に置かれていて、彼女自身が置いたのかもしれません。“夕食後に橋で会いたい。大事な話がある。他の誰にも知られたくないので、返事は庭の日時計に置いてほしい”と。
私は理由が分かりませんでしたが、奥様の望みどおり返事を書き、日時計に置きました。奥様は“このメモは燃やして”と言ったので、暖炉で焼きました。夫の扱いがひどく、奥様はいつも怯えていました。だから秘密にしたかったのだと思いました」
「でも、彼女はあなたの返事を大事に持っていた」
「はい。亡くなった時、手に握っていたと聞いて驚きました」
「それで、どうなった?」
「約束どおり橋へ行きました。奥様はすでに来ていました。その瞬間、私は初めて、奥様がどれほど私を憎んでいたかを知りました。奥様は狂ったようでした――いえ、本当に狂っていたのだと思います。毎日平然と接していたのに、心の中では燃えるような憎悪を抱いていたなんて……。
奥様が何を言ったかは申し上げられません。あまりに激しく、恐ろしくて。私は答えることもできず、耳をふさいで逃げました。私が去る時、奥様はまだ橋のたもとで、私にののしりの言葉を叫び続けていました」

「その場所で見つかったんですね?」
「はい。ほんの数ヤード離れたところです」
「そして……あなたが彼女のもとを去ってすぐに死んだと仮定すると、銃声は聞かなかった?」
「何も聞きませんでした。ですがホームズさん、あの時の私はあまりに動揺していて……あの激しい罵倒に恐ろしくなり、自分の部屋に逃げ帰ることしか考えられませんでした。周囲で何が起きても気づけなかったと思います」
「部屋に戻ったあと、翌朝まで外に出ましたか?」
「はい。奥様が亡くなったと騒ぎが起きた時、他の人たちと一緒に外へ出ました」
「ギブソン氏を見ましたか?」
「はい。橋から戻ってきたところでした。医者と警察を呼んだと言っていました」
「動揺しているように見えましたか?」
「ギブソン氏は、とても強くて感情を表に出さない方です。でも……長く仕えてきた私には、深く心を乱しているのが分かりました」
「では、最も重要な点に移りましょう。あなたの部屋で見つかった拳銃ですが……見覚えは?」
「ありません。誓って、ありません」
「見つかったのはいつ?」
「翌朝、警察が部屋を調べた時です」
「服の中に?」
「はい。ワードローブの床に、私のドレスの下にありました」
「どれくらい前からそこにあったか、見当は?」
「前日の朝にはありませんでした」
「どうして分かるのです?」
「その朝、ワードローブを整理しましたから」
「決定的ですね。つまり、誰かがあなたの部屋に入り、あなたを罪に陥れるために拳銃を置いた」

「そうとしか思えません」
「置かれたのはいつでしょう?」
「食事の時間か、子どもたちと勉強部屋にいた時間帯しかありません」
「メモを受け取った時のように?」
「はい。あの朝はずっと勉強部屋にいました」
「ありがとうございます、ダンバーさん。他に何か、調査の助けになることは?」
「思いつきません」
「橋の石に、何かが激しく当たったような新しい欠けがありました。遺体の真正面です。心当たりは?」
「ただの偶然では?」
「奇妙ですね、ダンバーさん。事件のまさにその時、その場所に偶然……?」
「でも、そんな欠けを作るには相当な力が必要です」
ホームズは答えなかった。
その顔に、僕がよく知る“天才の閃き”の時の、遠くを見るような緊張した表情が浮かんだ。
僕も弁護士もダンバー嬢も、息を呑んで彼を見守った。
そして――ホームズは突然、椅子から跳ね上がった。
全身が震えるほどの緊張と、行動への衝動に満ちていた。
「ワトソン、行くぞ!」
「どうしたんだ、ホームズ?」
「お嬢さん、心配いりません。カミングズさん、すぐにご連絡します。正義の神が味方してくれれば、イングランド中が驚くような真相をお見せします。ダンバー嬢、明日には知らせが届きます。どうか希望を持ってください。真実の光が差し始めています」
ウィンチェスターからソア・プレイスまでは遠くない。しかし、僕の焦りのせいか、そしてホームズの落ち着かない様子のせいか、果てしなく長く感じた。
彼は座っていられず、車内を歩き回ったり、指で座席を叩いたりしていた。
目的地が近づくと、彼は僕の正面に座り、両手を僕の膝に置いて、いたずらっぽい目で覗き込んできた。
「ワトソン。君は、僕らの旅にはいつも武装してきていたよな?」
確かに、ホームズは自分の安全に無頓着で、僕の拳銃が役に立ったことは何度もあった。
「もちろん持ってきてるよ」
「よし。見せてくれ」
僕は腰のホルスターから短く扱いやすい拳銃を取り出した。
ホームズは弾を抜き、重さを確かめるように手の中で転がした。
「重いな……驚くほどだ」
「しっかりした作りだからね」
ホームズはしばらく黙って考え込んだ。