入院患者
THE RESIDENT PATIENT
「病室で起きた“密室の誘拐”と、偽りの患者」
第4章 「恐怖の階段」
若者は階段の絨毯に足跡を残していた。それを見れば、部屋に残した足跡をわざわざ確認する必要もなかった。彼の靴は角ばったつま先で、ブレッシントン氏の尖った靴とは違い、しかも医師の靴より三センチ以上長かった。これで彼の正体に疑いはないだろう。だが今は眠るとしよう。明日の朝にはブルック街から何か知らせがあるに違いない。僕たちはそのまま帰宅し、夜を過ごした。
翌朝、ホームズはいつも通り新聞を広げていたが、顔には期待の色が浮かんでいた。僕は彼の様子を見て、思わず笑った。
「ホームズ、君はまるで子供がクリスマスを待つみたいだな」
「そうかもしれないな、ワトソン。だがこの件は必ず動きがある。ブレッシントン氏は恐怖に押し潰されている。あの男が黙っていられるはずがない」
彼はパイプをくゆらせながら、窓の外を見やった。
「さて、今日こそ真実が少しは語られるだろう」
ホームズの予言はすぐに、しかも劇的な形で現実となった。翌朝七時半、まだ薄明かりの差す頃、僕は寝床のそばに立つ彼を見つけた。ガウン姿だった。
「ワトソン、馬車が待ってるぞ」彼は言った。
「どうしたんだ?」
「ブルック街の件だ」
「新しい知らせか?」
「悲劇的だが、まだはっきりしていない」彼はブラインドを引き上げながら言った。「見てくれ――ノートの切れ端に『神にかけて、すぐ来てくれ。P.T.』と鉛筆で走り書きされている。あの医師は切羽詰まって書いたんだ。さあ、急ごう。緊急の呼び出しだ」
十五分ほどで僕たちはトレヴェリアン医師の家に着いた。彼は恐怖に引きつった顔で駆け寄ってきた。
「なんてことだ!」彼は両手でこめかみを押さえながら叫んだ。
「どうした?」
「ブレッシントン氏が自殺しました!」
ホームズは口笛を吹いた。
「ええ、夜のうちに首を吊ったのです」
僕たちは中へ入り、医師は待合室らしき部屋へ先導した。
「もう何をしているのか分からないんです」彼は叫んだ。「警察はすでに二階にいます。私はひどく動揺しています」
「いつ分かったんです?」
「彼は毎朝早く紅茶を運ばせていました。女中が七時頃入ったら、不幸なことに部屋の真ん中で吊られていたのです。昨日見せたあの箱の上から飛び降り、ランプを吊るしていたフックに縄を結んでいました」
ホームズはしばらく深い思索に沈んだ。
「失礼ですが」やがて彼は言った。「二階を見せていただきたい」
僕たちは医師と共に階段を上がった。