マスグレーヴ家の儀式
THE MUSGRAVE RITUAL
「古文書に隠された“王家の遺産”の謎」
第4章 「地下に眠る秘密」
「ワトソン、僕はもう確信していたんだ。ここにあるのは三つの別々の謎じゃなくて、ひとつの謎だけだってね。そしてもし僕が《マスグレーヴ家の儀式》を正しく読み解ければ、執事ブルントンと女中ハウエルズの真相にたどり着く手がかりを握れるはずだ。だから全力を注いだんだよ。どうしてブルントンがあんなに必死で古い文書を理解しようとしたのか? それは、代々の田舎紳士たちが見逃してきた何かを彼が見つけて、そこから自分に利益を得ようとしたからに違いない。じゃあそれは何で、彼の運命にどう影響したのか?」「儀式を読んでみてすぐに分かった。あの数値は、文書の他の部分が示しているある場所を指しているんだ。もしその場所を突き止められれば、由緒あるマスグレーヴ家がわざわざ奇妙な形で封じ込めた秘密を解き明かせるはずだ。手がかりは二つ――樫の木と楡の木。樫の木については疑いようがない。屋敷の正面、車道の左手に、まるでこの家の主のようにそびえる樫が一本ある。僕が今まで見た中でも最も壮麗な木だった」
「この樫は、儀式が作られた頃からあったんだろうな」僕は馬車でその横を通り過ぎながら言った。

「ノルマン征服(1066年)の頃からあったんじゃないかな」マスグレーヴは答えた。「幹回りは二十三フィートある」
これでひとつ、確かな基準点が定まった。
「古い楡(にれ)の木は残ってないか?」僕は尋ねた。
「昔はあそこに一本あったんだが、十年前に雷に打たれてね。切り株も処分した」
「跡は分かる?」
「もちろんだ」
「他に楡は?」
「古いのはない。ブナならたくさんあるがね」
「その楡があった場所を見たい」
僕らは馬車で屋敷に着いたが、家には入らず、マスグレーヴがすぐに芝生の傷跡へ案内してくれた。楡の木は樫と屋敷のほぼ中間に立っていたらしい。調査は順調に進んでいるように思えた。
「楡の高さを知るのは無理だろうな?」僕は聞いた。
「すぐに言えるよ。六十四フィートだった」
「どうして分かるんだ?」僕は驚いた。
「昔、家庭教師が三角法の練習を出すときは、いつも高さを測る課題だったんだ。子供の頃、屋敷の木や建物を全部計算したことがある」
これは思いがけない幸運だった。必要なデータが予想以上に早く集まってきた。
「教えてくれ。執事がそんな質問をしたことは?」僕はさらに尋ねた。
レジナルド・マスグレーヴは驚いた顔をした。「そう言われてみれば……数か月前にブルントンが木の高さを聞いてきたな。馬屋番とのちょっとした口論のついでだった」

これは朗報だった、ワトソン。僕が正しい道を進んでいる証拠だ。僕は空を見上げた。太陽は低く、あと一時間もすれば古樫の枝の上に来るだろう。儀式に記された条件のひとつが満たされる。楡の影とは、幹ではなく影の端を指すに違いない。ならば太陽が樫の上に来たとき、影の端がどこに落ちるかを突き止める必要がある。
「楡がもうないのに、それは難しかったろう、ホームズ」僕は口を挟んだ。
「いや、ブルントンにできたなら僕にもできるさ。それに難しくはない。僕はマスグレーヴの書斎で木の杭を削り、長い紐を結び、一ヤードごとに結び目を作った。さらに釣竿を二本繋げて六フィートの棒を作り、楡の跡地へ戻った。太陽はちょうど樫の頂をかすめていた。棒を立て、影の方向を印し、測ったら九フィートだった」
計算は単純だ。六フィートの棒が九フィートの影を落とすなら、六十四フィートの木は九十六フィートの影を落とす。線は同じ方向に伸びる。距離を測ると屋敷の壁のすぐ近くに来た。そこへ杭を打ち込む。ワトソン、想像してみてくれ。僕の杭の二インチ横に円錐形の窪みがあったんだ。ブルントンが測った跡だと分かった。僕はまだ彼の足跡を追っていたんだ。
そこから僕は歩測を始めた。まず方位をポケットコンパスで確認する。十歩ずつ北へ進み、屋敷の壁と並行に歩いて杭を打つ。次に東へ五歩、南へ二歩。すると古い扉の敷居に出た。さらに西へ二歩――つまり石畳の通路を二歩進むことになる。そこが儀式に示された場所だった。

「ワトソン、あんな冷たい失望を感じたのは初めてだったよ。計算に根本的な間違いがあるんじゃないかと思ったくらいだ。沈む夕陽が通路の床を照らしていて、古くて人に踏み固められた灰色の石はしっかりとセメントで固められ、何十年も動かされた形跡がなかった。ブルントンはここでは作業していない。床を叩いてみても音はどこも同じで、割れ目も隙間もなかった。だが幸いなことに、僕の調べの意味を理解し始めて興奮していたマスグレーヴが、手稿を取り出して僕の計算を確認したんだ」
「“そして下へ”だ!」彼は叫んだ。「君は『そして下へ』を抜かしている!」

「掘れって意味だと思っていたけど、違ったんだな。じゃあ、この下に地下室があるのか?」僕は声を上げた。
「あるさ。屋敷と同じくらい古い地下室が。ほら、この扉からだ」
僕らは石の螺旋階段を下り、マスグレーヴがマッチを擦って、隅の樽の上に置かれていた大きなランタンに火を灯した。瞬間、こここそが本当の場所だと分かった。そして最近、僕ら以外の誰かもここを訪れていたことが明らかだった。
地下室は薪の貯蔵に使われていたが、床に散らばっていた薪は脇に積み上げられ、中央が広く空けられていた。その中央には大きく重い石板があり、真ん中の錆びた鉄の輪には厚手の格子柄のマフラーが結びつけられていた。
「なんてこった!」マスグレーヴが叫んだ。「あれはブルントンのマフラーだ! 彼が身につけていたのを見たことがある、間違いない。奴はここで何をしていたんだ?」
僕の提案で郡警察の巡査が二人呼ばれ、僕はそのマフラーを引っ張って石を持ち上げようとした。少ししか動かせなかったが、巡査の助けを借りてようやく横へずらすことに成功した。黒い穴が口を開け、僕ら全員が覗き込むと、マスグレーヴが膝をついてランタンを差し入れた。
そこには深さ七フィート、幅四フィートほどの小部屋が現れた。片側には真鍮の金具で補強された木箱があり、蓋は上に開く仕組みで、古風な鍵が錠から突き出ていた。外側は厚い埃に覆われ、湿気と虫に食われて木が腐り、内側には青白いキノコが群生していた。底には金属の円盤がいくつか散らばっていて、古い硬貨らしかった。だが、それ以外には何も入っていなかった。