十九世紀イギリス案内
ロンドンの鉄道
19世紀後半のイギリスは、鉄道が社会の血管のように張り巡らされた時代でした。
ホームズが活躍したヴィクトリア朝末期(おおよそ1880~1905年)には、すでに全国をカバーする鉄道網が完成し、ロンドンには多数の大駅と私鉄・地下鉄が混在していました。ロンドンでは他のヨーロッパの大都市同様に、方面別に駅が離れており、各方面に向かう国鉄系の終着駅が放射状に配置されていました。
これは現代の「ナショナル・レール(National Rail)」の前身で、下の表をご覧ください。

左はチャリング・クロス駅、右はセント・パンクラス駅(2010年撮影)
| 駅名 | 主な方面(行き先) |
|---|---|
| ウォータールー London Waterloo |
南西方面(Surrey、Hampshire、Dorset) (→ 地図を見る) |
| パディントン London Paddington |
西方面(Reading、Oxford、Bristol、Wales) (→ 地図を見る) |
| キングスクロス London King's Cross |
北東方面(Cambridge、York、Edinburgh) (→ 地図を見る) |
| セントパンクラス London St Pancras |
中央・北方面(Midlands、Sheffield、ヨーロッパ方面 via Eurostar) (→ 地図を見る) |
| リバプールストリート London Liverpool Street |
東方面(Essex、Norfolk、Suffolk) (→ 地図を見る) |
| ビクトリア London Victoria |
南方面(Sussex、Surrey、Kent) (→ 地図を見る) |
| ロンドンブリッジ London Bridge |
南東方面(Kent、Sussex) (→ 地図を見る) |
| チャリング・クロス Charing Cross |
南東方面(Kent) (→ 地図を見る) |
| ユーストン Euston |
北西方面(Birmingham、Manchester、Glasgow) (→ 地図を見る) |
| フェンチャーチストリート Fenchurch Street |
東方面(Southend-on-Sea、Tilbury) (→ 地図を見る) |
また、1863年にはロンドンで世界初の地下鉄、メトロポリタン鉄道(Metropolitan Railway)が開通しました。なんと、蒸気機関車(SL)がトンネル内を走っていました。1890年には世界初の電化地下鉄「シティ&サウス・ロンドン鉄道」が開通(現ノーザン線の原型)しました。

左は地下鉄グロスロード駅の立派な入口、右はホームズの事務所最寄りのベーカー街駅(2010年撮影)
ロンドン郊外にも多数の私鉄・ローカル線が敷設されました。