中年になってからバイク・オートバイの免許を取得し、北海道ツーリングや関東周辺のツーリングを楽しむノウハウ
雁坂トンネル(埼玉県秩父市) 2008/11/22
2008.11.22 Saturday
八丁トンネルから雁坂トンネルへ


八丁トンネルを通り抜けると、断崖絶壁に貼りついたような狭い林道をうねうねと行くのだが、ここにはもう一つの見どころがある。それは日窒工業(現ニッチツ)の鉱山と、作業員たちの住宅が廃墟のように残っているのである。

日本窒素

誤解されるといけないのだが、鉱山(ニッチツ秩父事業所)は稼働している。しかしこの集落はまるで炭鉱のあった夕張みたいに静まり返っており、作業員が寝泊まりしたり交流していたとみられる建物はほぼすべて廃屋になっているのである。すでに取り壊したあともある。まだ新しそうな建物も人の気配はなく、そこそこ通る車も速度を落としていぶかしそうに通り抜けていく。

たとえばこの建物は浴場だった。作業員たちが汚れを洗い落としたのだろう、男湯はもちろん女湯まである。しかし入口は板が打ちつけられており、もはや使われていない。

ニッチツ

一方で、秩父鉱山簡易郵便局には年賀状の幟がはためいており、土曜日なので休みだが営業している。

鉱山簡易郵便局

おそらく、かつてはかなりの量の資源を採掘していたのだろうが、理由は不明だが規模を縮小し、大部分の作業員はふもとから通ってきているのではないか。そのため住居や浴場、公民館などは閉鎖してしまい、それが廃墟色を濃くしているのである。
それにしても東京から数時間で行ける廃屋が連なる山間の集落は、心を複雑にさせてくれる。そしてこの環境になお働いている方々にはねぎらいの言葉しかない。

この集落の先(南側)も狭い林道が続き、見上げるような谷間をバイクは走り抜けていく。

大滝村

この写真の先、T字路からようやく道が広くなって走りやすくなるが、中津峡の山深さは変わりない。紅葉の名所だけれど、すでに茶色くなっており、そのうえ谷底のため3時を過ぎると太陽が隠れてしまい、余計に色がくすんでしまって見えるのは残念だった。駐車場があったので残りのおにぎりを立ち食い。で、寒いです




さらに下ると右手に湖が見えてくる。奥秩父もみじ湖と名付けられており、今年の3月に竣工した滝沢ダムによってできた人造湖だ。

実は工事中の2002年に会社の同僚と車で来ている。このときは眼下におもちゃみたいにトラックが多数動いていたが、ダムが完成しそれらがすべて水没したのだ。すごいとしか言いようがない。ループ橋は当時から供用していたようで、今回初めて走ったが、ダムの側面がループのため2度見える演出がニクい。

滝沢ダム

このように、いったん東の旧大滝村に戻るようにして、湖の南側を今度は西へと向かった。国道140号線とは言うものの狭く、山あいを縫うように走る。栃本集落は信玄が関所を置いた歴史ある場所で、急な山肌にへばりつくように家々が建っている。写真を撮りたかったが低くなった太陽が逆光となり断念した。時刻は3時を回っており、4時半には日が落ちるからなるべく早く帰途に就きたいのだけれど、まだウロウロしている。

そして雁坂トンネルへ。埼玉県と山梨県境の国道140号線不通区間を、一般国道の山岳トンネルとしては日本一の長大トンネル(6,625m)で結んだもの。バイクは560円の有料トンネルだ。

埼玉県側からは橋をアプローチにしてそのままトンネルへと入った。トンネルは景色が見えず反響音がうるさく、排気ガスも臭く危険だし、バイクにとっていいことは一つもないのだけれど、わざわざくぐっている。

雁坂トンネル

ようやく通り抜けて山梨側に料金所があった。
ETCが使えないので久しぶりに料金所にバイクを止めてグローブを脱ぎ、かじかんで震える手でウェストポーチから財布を取り出して、小銭をまさぐる。料金所のおじさんが「寒いので気をつけてね」と笑顔で言ってくれた。
こういうの、無性にうれしい。バイクに乗ると本当にみなさんから親切にしていただいている。これは北海道だけじゃないのだ。
外気温はなんと4度で、ならば体感温度は0度じゃないか?

すでに4時を回り、あとは勝沼ICから中央道に乗るだけだ。塩山のフルーツラインを走ると、MioMAPの道路のない部分を走っているようだったので、この道(広域農道)は新しい道なのだろう。右手に塩山の町並みと山の向こうに沈む夕日、そして富士山を見ながら走り、勝沼ICに出た。

一般道でも十分寒かったのだが、高速道路を時速100kmで走る寒さよ。身体が震え手はかじかみ足もガクガク震え、ヘタをするとハンドルから手を離してしまいそうだ。即刻死ぬので相当緊張して走った。
八王子を過ぎると渋滞となったが、車の間を走りぬけ、だいたいの予定通り6時半に帰宅できた。306km走っていた。

今回は距離があるのは分かっていたけれど、ここまで寒いとは予想していなかった。今年はもうこれで終わりかな。あと1回くらい走れるかな。

GPS
↑画面上から反時計回りに走りました。


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