中年になってからバイク・オートバイの免許を取得し、北海道ツーリングや関東周辺のツーリングを楽しむノウハウ
道東マイバイクツーリング 2008
2008.09.18 Thursday
昆布刈石から襟裳岬へ

スーパーホテル釧路駅前はその名の通り駅前のバスターミナル上にあり、駅前にバイクを一昼夜停めておくことになったので防犯上不安だったが、何の異常もなかった。外はまだうっすらと霧が出ており、寒い。そのため昨日よりも着こんで出発。今日は襟裳岬まで走るのだ。襟裳の宿は昨夜ケータイの楽天トラベルで予約をしておいた。ついでに帰りのフェリーも予約する。19日金曜日に苫小牧を出発することにした。気になるのは関東地方の天気、特に台風13号だ。

浦幌の手前までは国道38号線をトラックと一緒に走る。気温は走るとちょうどいいが、止まると暑い。ましてや動けば汗だくになる。これだけがやっかいだ。
郵便局と遭遇したら小額を貯金する。久しぶりの旅行貯金だ。もっともこのあたりはすべて制覇していると思うのだが、詳細な記録をつけていないのでわからない。お小遣いが貯まるのでいいでしょう。
厚内から海沿いの道を走って、昆布刈石を目指す。ここは未舗装の道が海沿いの小高い丘に連なっているところで、展望台から熊笹に覆われた丘陵地帯が緑のじゅうたんのように広がり、荒涼とした海が眼下に眺められ、はるかかなたに来てしまったという、旅情をそそるとても好きな場所。しかし道路の改良工事が行われており、来るたびに絶景度は減っているのが残念だ。
砂利道になったので慎重に進む。どうやらカムイワッカ湯の滝の林道並の路面状態で、砂利が深いところ、穴、そろばん状の段々など、けっこう悪路。マジェスティはタイヤやサスペンションともダート用には設計されていないので、本当はよくない。



ミラーを見ると、後ろから工事のトラックがついてきてウザイ。路肩に寄って追い抜いてもらいたいけれど、路肩は砂利が積もっており寄りたくない。バックミラーからいつの間にかトラックの姿が消えたところで、ちょうど展望台に付いた。すると、すぐ後ろにトラックが来たから、右手でお先へどうぞの合図をするが、すぐ後ろで止まった。
「なんか文句あるのか」
と思ったら、運転手が降りてきて、手には三脚を持っている。あっ!防水バッグと一緒に後ろにくくりつけておいた三脚が、砂利道の振動で落ちてしまい、それを拾ってくれたのだ。さっきトラックの姿がミラーから消えたときだったのだろう。カーブで相当揺れたからな。降りてお礼を言いつつ確認したら、ロープが外れて引きずっている状態で、防水バッグも落下寸前だった。昨日、釧路の六花亭のポイントカードの景品にもらった、妻のリクエストのオリジナルプレート(皿)が入っているので、割れたら大変だった。
重ねて運転手に礼をいい、再パッキング。そして戻った三脚を立てて記念撮影。

昆布刈石のすぐ脇には国道を作っているし、トンネルはすでに付け替えられたし、丘の上に船が打ち上げられている荒涼たる風景の場所もいずれ見られなくなるか。好きな道だったのにな、もう来ることはあるまい(と言いつつよく来ている)。



舗装路に出てほっとして、外周の旅よろしく海側を通って一路襟裳岬を目指す。国道336号線はコレと言った特徴のないところを走り、熊笹や防風林だけの殺風景な土地を、他のクルマも少なくひたすら走るのみ。何となくさびしくなって来た。
天気は曇り。この付近にはいくつかの沼があるのだが見たくなるような気分でない。見てもこの天気じゃしょうがないと思う。ようやく晩成温泉に付いた。ちょうど昼なので、まずは後期高齢者がゴロゴロしている休憩室でお昼ごはんにした。こういう店はカレーかうどんかラーメンか、今回いずれも食べてなかったので、カレーにした。
まだ1時前なので、せっかく来たのだから温泉に入った。湯は茶褐色をしており、ちょっとヌルヌルでしょっぱい。目の前が海だからだろうか。あとで能書きを読むとナトリウム泉で、ヨードが大量に含まれている珍しい温泉とのこと。傷や高血圧にいいらしい。

再び殺風景な景色の中を走る。どうも気分が滅入っている。これまでのルートでは人生観が変わるほどのいい気分でいたのに、とても寂しくなってくる。荒涼とした景色のせいか、ガソリンが残り少なく気になるからか、明日帰るからか…。
だんだんと晴れて、暑くなってきた。広尾の手前の豊似でようやくホクレンのスタンドがあったので給油。9.1リットル入り最長不倒量になった。タンクは12リットルまでなのです。ここでジャケットのインナーをはずし、オーバーパンツも脱いでお着替えをし、広尾の元駅前に着いた。
広尾からの道は黄金道路と呼ばれるが、これは黄金を敷き詰めたくらい経費がかかった道路の意味で、現に来るたびに工事をしている。バルセロナのサグラダファミリアのように、終わることのない工事だろう。今でも波が道路に打ち寄せているし、トンネルが増えている。かなり長いトンネルもあり、暗い中、爆音を響かせて来るトラックは本当に怖い。
ようやく黄金道路を通り抜けたようで、碑の前で写真を撮った。それからは岬を目指して、まぶしい日差しの中を、輝く海を見ながら走る。庶野、えりも岬の郵便局にも立ち寄った。




久しぶりに襟裳岬に来た。「風の館」という展示施設ができてから初めて訪れる。まずは岬を眺める。夕方の順光で、岩がきれいに見える。南に面している岬のため、昼間は逆光なのだった。岩が点々と太平洋に沈んでいくさまは、日高山脈のしっぽにふさわしい光景だ。岩場にはアザラシがいるらしく、風の館の望遠鏡で見られるらしいが、あとで見たがあまり居なかった。何箇所も「えりも岬」の看板があり、歌碑も森進一と島倉千代子のと2つある。
駐車場に戻って売店をのぞいていると、霧がフワーッと押し寄せてびっくりした。あんなに晴れていたのに真っ白く包まれた。売店のあんちゃんは「天気予報はアテにならない」と言うが本当だ。

襟裳岬

傾いたまぶしい太陽を左に見ながら、岬の宿に入った。この旅館 望洋荘はもはや老朽化激しくボロボロの宿。部屋は網戸になっているのに異様に暑く臭く、しかもコンセントがない。ならばパソコンは電池駆動だがケータイの充電はどうする!?。結局埃まみれのテレビの後ろにコンセントが1個あったが。そのテレビのボケボケの絵は、時々消えてはまたつく状況。

望洋荘

通路や便所、扉は相当ひどい。きれいに清掃されてはいるし、洗面の紙コップなども常備されているけれど、思い出すだけで気持ちが悪くなる。新館が建っていることだし、もう本館はおしまいにして新館で営業したほうがいいと思う。
寝る前に深呼吸をすることにしているが、カビなのかタバコなのか臭いがひどく、息ができない。サービスはよく、食事はおいしかったが、そうでもないと誰も泊まらないだろう。この20年の間に泊まった宿の中でも、施設はもっともひどい部類だ。これ以上の宿を思い出せない。これまで宿や食事には恵まれていたが、今日はがっかり。しかし場所柄仕方ないのだろう。最後の一夜を楽しもう(どうやって?)。



走行距離:216km

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